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ガッタから大量に剣を貰いホクホクしているユナの隣でバーンは勿体ないと恨めしそうな顔をしといた。
しかし、付与した剣を一番最初に見られるであろう人物はバーンなので少し楽しみにしているのもまた事実だった。
「剣も回収したし行くか。」
ユナとバーンはベベルを出て街道の脇にある細い道に入った。
こういった道には盗賊が多いので気をつけるようにとバーンが注意を促すとユナは居ないから安心して歩いて良いとすぐに返す。
ハッキリ言い切ったユナにバーンは疑問をぶつけると周りを探索していると何でもない事のように言うのでバーンは魔法の便利さに涙が出そうだった。
「目的地はグル高山にある洞窟だ。ここからだと一週間半くらいだが…歩いて行くって事で良いか?」
「ん~飛んだ方が楽そうだけど経験にはならないよね…」
「魔法で探索してる時点で変わらないだろ。」
結局、野営技術を学ぶ為と早く街に戻っても危ないので歩きで行くことにしたユナとバーンは人気の無い道をバーンが野営講義をしながら歩いていく。
ベテラン冒険者でありながらここまで大して頼りになるところを見せられていないバーンはノリノリだ。
「さてユナ君、野営で大切なものは分かるかな?」
「ユナ君…講習で第一に安全性、第二に水や食料って言われたわ。」
「うむ。よく覚えていたね。襲われにくい場所を見つける事は最重要事項だ。大きめの木の上で休む場合もある。」
「結界張ったら襲われないから安全。」
ユナの元も子も無い言葉はバーンの言葉を詰まらせた。バーンは咳払いし今のくだりは無かった事にして気を取り直し講義を再開する。
「水や食料は有限だから後のことを考えて摂取しなければならない。多少ひもじくても我慢して過ごすのも重要な事だ。」
「水は魔法で出せるし食料は収納にたくさんあるから数日では無くならないかな~。」
バーンは地面に崩れ落ちた。
せっかくの先輩冒険者としての知識や経験もユナの前には無意味。魔法が万能すぎて涙が出そうだ。
「何でも魔法に頼ってたら使えなくなった時に困るだろ?!他人に魔法が使える事隠してるんだよな?」
「魔法が使えなくなった時のために収納効果を付与したペンダントつくるから大丈夫!」
バーンは完璧に敗北した。




