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馬車でベベルに戻りガッタを訪ねたがノックしてもガッタは出てこなかった。
「たぶん工房だな。」
バーンとユナは少し離れた場所にあるガッタ工房に向かった。すると案の定ガッタは工房で剣を打っており汗だくになりながら槌を振っていた。
「じぃさ~ん!剣の引取りに来たぞ!じいさ~ん!!」
「やかましい!今は手が離せんから待っとれい!!」
ガッタは此方に見向きもせず剣を打ち続ける。バーンはやれやれとユナを連れて時間潰しに街を見て回ろうと思いユナを見た。しかしユナは端に置かれているガッタのつくった剣達に興味津々でひとつひとつ食い入るように見ている。
「お城で腕輪つくってから色んな物に何らかの効果を付けたくて仕方がないの。」
「まさか剣をどうにかしようとしてるのか?」
「例えば刀身が見えない剣とか!ハンマーになっても面白いわね!!」
楽しそうに剣に付与する効果のアイディアを話すユナは輝いていたがバーンは呆れ顔でため息をついた。
「なんだ?面白そうな話をしてるな。」
一区切りつけたガッタがタオルで汗を拭いながら二人に近寄る。
そんなガッタを労いバーンが自分の剣の所在をきくと、近くにあったテーブルからピカピカになったバーンの剣を取り手渡した。
「サンキュー!流石じぃさん新品みたいだな!!」
「当たり前だ。ところで嬢ちゃんは付与ができるのか?」
「最近少しかじり始めたんです!」
「ほほう…」
ガッタは徐ろにその辺に置かれたナイフを手に取りユナに手渡した。
受け取ったユナはキョトンとしていたが、ガッタがそのナイフに付与してみるように言うと大喜びして何を付与しようか考査しだした。
「じぃさんいいのか?」
「量産型ナイフだから構わんよ。」
ユナは考え抜いた効果をナイフに付与すると「できた!」と小さな子供のように無邪気な笑顔でガッタに渡した。
ガッタが渡されたナイフを握るとナイフの刃が細長く変形し刀身が二倍になりナイフからショートソードのような見た目に変わった。
「「はぁ?!」」
「ふふっ。ナイフかと思ったら剣みたいな?」
まるでイタズラに成功した子供のような顔でユナは胸を張っているがガッタとバーンは驚きすぎて全く見ていない。
「こんなナイフ聞いたこともないわ!」
「暗殺者とかの手に渡ったら怖すぎるだろ!!」
ガッタとバーンはユナの突飛な発想に戦慄した。しかしガッタの中には同時多大なる好奇心が芽生えユナが何をつくり出すのか見てみたくなってしまった。
「嬢ちゃん、この辺の剣持っていきな!次来た時にどんな付与したか見せてくれ!!」
「本当?!いいの!!お金足りるかな…」
「いらんいらん!大したもんじゃない。」
ユナはガッタが指定した辺りの剣を根こそぎ収納にしまうと「ありがとう!」とガッタに抱きついた。
ガッタは大した事ないと言ったが、普通に業物ばかり渡していたのでバーンは開いた口が塞がらなかった。




