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「この件も概ね方が付いたようですし、そろそろガッタのところで剣を回収し旅立ちます。」
「ユリアーナ、迷惑をかけてしまった償いも出来ていないし、そんなに焦って旅立たなくてもよいのだよ?」
このやり取りを五回程してようやくユナとバーンは城を発った。
グロースライダーは最後まで食い下がったが、ハルバートが気を失わせその間に出てくるという何とも間抜けな旅立ちだったがユナとバーンの解放感は大きい。
「馬車に乗る前にギルドで遠征系の依頼がないか確認しよう。」
「そうね。そのまま出たいしベベルは依頼が少なそうだもの。」
バーンとユナは城から歩いて冒険者ギルドに向かった。
ギルドは街の端に近いので城からはすこし距離がある。観光も兼ねて店を色々見ながらギルドに向かったので朝食後すぐに城を出たのにギルドには昼前に着き、中に入ると冒険者はほとんど居なかった。
「この時間じゃロクなのが残ってないか…」
「バーン、私コレが気になるんだけど…どうかな。」
バーンはユナが指さした依頼書をみて唸り声をあげた。依頼内容は素材集めでフワモコロンという鳥の羽を5枚と書かれている。
フワモコロン自体は穏やかな性格で襲ってくる事は滅多に無いが生息地にいる魔物が厄介なのでバーンとしてはあまり行きたくない。
「ユナ、フワモコロンの生息地何処か知ってるか?」
「標高の高い山にある洞窟でしょ?本で読んだわ。」
「だったらそういう洞窟にいる魔物も知ってるだろ?」
「アイスホライモリとかストーンシャークとか……?」
「あとビッグゲジーな。」
ユナは収納から魔物辞典を取り出しビッグゲジーのページを開いた。
辞典には確かに洞窟に住むと書いてあるがそんなに強い魔物では無く初心者向けと書かれており、ユナはバーンが何故こんなに嫌そうにするのか分からなかった。
「まっ、何事も経験か……この依頼受けよう。」
バーンは依頼書をはがし受付に持って行った。
ユナは何だかモヤモヤしながらもバーンの後に続く。
「この依頼を受けたいんだが。」
「はい!ありがとうございます。ではランク等確認しますのでカードを提示して下さい。」
バーンとユナはそれぞれカードを受付に出した。
バーンのカードをみた受付嬢は一瞬目を見開いたが騒がず何事も無かったかのように受付業務を進める。
「ありがとうございました。受注処理が出来ましたので注意事項をお渡しします。どうぞお気をつけて。」
受付を終えたユナとバーンはギルドを後にした。




