45※残虐性有り閲覧注意(未読でも本編に影響はありません。)
その日の晩、レベッカがベッドに横たわり眠りにつくと腕輪が妖しく紫色の光を放ちレベッカは額に汗をかきながら苦しみだした。
「まぁ!急に倒れてどうされたのですか?」
レベッカは足をかけられ倒れた。
どうやら何処かの夜会に参加しているようで煌びやかなホールの真ん中ではペアでダンスをする人々がいる。
レベッカは今、ホールの端で自身に足をかけられて倒れたのだ。
「お怪我はしておりませんか?」
近づいてきた自身に近づくなと言いたいが声が出ない。そっと足に触れられた瞬間、チクリと痛みがはしった。
身体に力が入らず立ち上がれないでいると、「まぁ大変!」とメイドを呼び私を抱えさせ別室へと運ばせる。
別室に着くとメイドは私のドレスを破りドレスに赤いシミをつけて去った。
少しすると部屋に誰かが入ってきて大騒ぎになったところで今度は馬車の中に場面が切り替わる。
「一緒にお出かけできるなんて嬉しいわ。」
隣で微笑む自身の顔は感情の無いものだった。
殿下の婚約者としてどう在るべきか談話していると突然馬車が大きく揺れる。そして乱暴にドアが開かれガタイの良い男が入ってきた。
「依頼人はどっちだ?」
「キャー怖~い!」
恐怖ではなく狂気を含んだ笑顔で背中を押され男の胸に飛び込むかたちとなった私は男の持っていたナイフで顔を切りつけられた。
(ああ…こんな醜い顔をしていたから殿下は私をみてくれなかったのね…)
その後も全身が痺れて階段から落ちたり、街中で馬に踏み潰されたりして場面が切り替わっていく。
どの場面でも必ず醜く歪む自身の顔をみるので段々と自身の顔に嫌悪感がうまれていった。
「ハッ……」
何度も恐ろしい目にあいやっと目を覚ますと現実と夢の境界が曖昧でレベッカはキョロキョロと自身の姿を探した。
「いない……戻って…きた……?」
レベッカは安堵しながら額の汗を持っていたハンカチで拭った。
夢での事は鮮明に覚えており、外傷は無いが体験した痛みも覚えている。
今まで夢の中のように傷つけられた事が無かったレベッカは追体験により痛みと恐怖を知った。
逆に今まで他人が傷つけられる姿を喜んでみていた自分に心底吐き気もした。
「私は…許され時が来るのかしら…」
初めて後悔したレベッカはボーッと指輪を眺めていた。暫くしてコツコツと足音が近づく足音に顔を上げると朝食を持った兵が牢に入ってくる。
「朝食だ。食べたら回収する。」
トレーの上にはスープとパンが乗っており、空腹だったレベッカはそれを食べる為に近づいた。
すると、顔を近づけた瞬間に鉄製のトレーに自身の顔が映り夢の中での出来事がフラッシュバックしレベッカはトレーをひっくり返した。
ガッシャーンと大きな音をたてひっくり返った朝食はスープもパンも床に散らばり皿も割れて大惨事だ。
「何をやってる!!勿体ない…変わりはない。昼食まで食事は無しだ!自分で片付けろよ!」
牢の外で自分の朝食を食べていた兵はレベッカを怒鳴りつけると食事を続けた。兵は黙々と食事をし、食べ終えるとトレーを回収する為にレベッカに目を向けた。
「な、何をしている!」
兵は慌ててレベッカの手を掴んだ。
ぬるりとした感触に気持ち悪さを覚えながらもレベッカの手から皿の破片を取り上げる。
レベッカは皿の破片で自身の頬や手首を切り血だらけになっていた。
「おーい!大変だ!!医者を呼んでくれ!!」
兵は牢から離れた場所に待機する仲間に医者を呼ぶよう叫んだ。遠くで返事がしてパタパタと足音が遠ざかると兵はレベッカの顔を暗い瞳で見詰めた。
「まさかこんな事をするとはな…だめかじゃないか。妹の苦しみの半分も味わってないだろ?ちゃんと俺が教えてやるから焦るなよ…」
兵はニヤリと笑うとレベッカの服を引き裂いた。




