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「主従の指輪……」
公爵令嬢が絶望と共に呟いたその声は意外な程響き周りの者の耳に入った。
「主従の指輪…だと?!そんなものいつの間に……」
「その指輪、念じた者の指にはまるようになっていたんです。なので貴女の指にはまるよう念じました。」
「きっ貴様の仕業か!!舐めた真似をしおってぇぇぇぇぇぇ!!!」
怒りを爆発させる公爵とは裏腹にとても楽しそうなユナはチラリとグロースライダーに目を向けた。
展開についていけていなかったグロースライダーだったがその視線でハッとし公爵令嬢に命じた。
「貴女が今まで私に近づく令嬢方にした事を正直に話しなさい。」
その瞬間、公爵令嬢の目から光が無くなり無表情になる。その様子に公爵は不味いと娘の口を塞ごうとするがハルバートに拘束されそれは叶わなかった。
「私は…何もしていません。」
「で、殿下!やはり娘は無実です!!」
拘束されながらも歓喜に満ちた声をあげた公爵だったがその言葉にグロースライダーは反応しない。
「私はだた…命じただけ。死なない程度の毒を盛るように、身体の自由を奪うように、傷物にするように命じただけ。」
そこまで言うと公爵令嬢は正気に戻り無意識に口を手で覆った。
公爵は抵抗をやめグロースライダーも自白した公爵令嬢にそれ以上は問わない。
「白状して終わりなんて生温い事、被害者として私は許せませんよ?」
ユナは公爵令嬢に黒い笑顔を向けてそう言い放つと今まで空気だった王に礼をした。
「陛下、許しもなく発言しました事、大変申し訳ございません。」
「よい、許そう。そなたは被害者だ思う事も多くあろう。そなたは何を望む。」
「私は被害にあった者達と同じ事を彼女に受けてもらいたいと思います。」
「なっ?!こ…小娘が…陛下の優しさに付け入るとは何という恥知らず!」
「公爵、黙れ。」
王の一言で公爵は顔を真っ青にした。
ユナの意外な願いに動揺していたバーンとグロースライダーも何も言わずにただ成り行きを見守る。
「その願い、聞き届けよう。」
「ありがとう存じます。」
深く礼をするユナの後ろで公爵令嬢は首を振りながら何事かブツブツと呟きこれから自身の身に起こるであろう事を受け入れられないでいた。
「正式に命ず。」
その後、王から公爵の侯爵への降格と財産、領地の一部の没収と公爵令嬢へユナの望んだ罰の執行が命じられ公爵令嬢は貴族用の牢に入れられる事となり、兵に連れられて行った。




