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重々しい空気の中ユナは自身の巻き込まれ体質を呪っていた。

ユナとしては自分とバーンに危害を加えないという約束の後勝手にかたをつけてくれれば良かった。それなのに現在、当事者の一人として王の前に膝まづいている。


「面をあげよ。」


その声にグロースライダー、ユナ、バーン、四人のメイド達、フラインゲティッシュ公爵、公爵令嬢が顔を上げる。


「グロースライダーよ、此度の件を説明せよ。」


「はい。私個人の賓客としてお招きしておりますユナ嬢、並びに従者のバーン殿につきましてユナ嬢は毒を盛られ切りつけられそうになり、バーン殿は部屋に閉じ込められるという我が国にとって恥ずべき事件が起こりました。」


「うむ。我が城でそのような事件が起き誠に遺憾だ。客人には申し訳ない事をした。」


「お気遣いいただき勿体のうございます。」


「して、何故フライゲティッシュ公爵とその令嬢が呼ばれておる。」


「実行犯より得た情報により首謀者がフラインゲティッシュ公爵令嬢であると判明しております。」


「なっ?!へっ陛下!発言のご許可を頂きたく存じます。」


いきなり娘を首謀者扱いされ公爵は驚きと共に静かに怒りの感情を押し殺した。当の本人は全く動じず、ただグロースライダーをじっと見つめている。


「話すがよい。」


「ありがとう存じます。殿下、一つお約束下さい。もし、娘の無実が証明されたのであれば娘を娶っていただきたい。このような醜聞が広まれば娘は結婚を望めません。」


「分かりました。」


グロースライダーの言質を取れたことで公爵令嬢は緩んだ口元を扇で隠した。


「では、我が娘を首謀者と決めつけておいでですが、証拠があっての事でしょうか。」


「現時点であるのは使用された毒物、実行犯の身柄だ。」


「では実行犯が娘に依頼されたと話をしたという事でしょうか。」


「実行犯から得た情報という事は間違いない。」


「ではその実行犯が我が家を陥れる為についた嘘である可能性もありましょう。」


公爵とグロースライダーのやり取りを周りの人間達は見守っていた。

もちろんユナの魔法を使えば早々に解決する事は可能だが、ユナの正体がバレるようなリスクは避けたいのでユナは口出しをしないしグロースライダーも口にはしない。


つまり確固たる証拠を突きつけるしかないのだ。


「縛りあげ余計な発言が出来ないようにしていたから実行犯は嘘をつけない。それに、貴方の娘は少々イタズラが過ぎる。」


「おっしゃる意味が分かりません。」


「同じ手口で数人の令嬢を罠に嵌めていますね。お茶会で毒入りの紅茶を飲ませ、痺れて倒れ込んだ所を辱める。または私のダンスパートナーに近づき指輪に仕込んだ毒で続行不可能にする…毒を使う以外もあったようだが……」


公爵は驚愕し身を震わせながら愛娘に視線を移す。


「それこそ、いわれなき事です。」


初めて言葉を発した公爵令嬢は全く動揺した様子は無かった。

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