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日が沈み夕食の時間になる前にユナは風呂に入れられ宝石の散りばめられた煌びやかなピンクのドレスに着替えさせられた。
本当は全力で着たくない、しかし周りを困らせるのは嫌なので大人しく着る事にしたがあまりにもサイズがピッタリすぎて着たことを秒で後悔した。
着替えが終わり、お茶を入れてもらいソファで寛いでいると部屋のドアが軽快にノックされた。
「どうぞ」
入室の許可を出すと部屋に入ってきたハルバートから晩餐の用意が出来たと伝えられ、ユナはソファから立ち上がりハルバートと共に晩餐へ向かうべく立ち上がろうとした。
しかし、足に力が入らずソファに尻もちをつくかたちとなり瞬時に察した。
(あっ。毒だ…)
すぐにハルバートが駆け寄りユナに声を掛けながらソファに寝かせる。全身に力は入らないが思考はマトモだったのでユナは頭の中でリムーバーと唱え毒抜きを試みた。
すると、毒が水球となって腹部から出て身体に力が少しずつ戻ってくる。
「全員動かないで!」
身体を起こしながら叫んだユナはドアが開かないように魔法をかけた。
部屋の中にはユナとハルバートの他に5人のメイド達がおり皆が顔を真っ青にして硬直している。
ユナは毒を自分の右肩の辺りに浮かせながら自分に近い者達から順に手や頬に触れて記憶を読んでいく。三人目のメイドに触れようとした時、メイドは隠し持っていたナイフでユナに襲いかかってきた。
ユナはナイフをギリギリ避けると浮かせていた毒をメイドの口に放り込んだ。
メイドは口から毒を吐き出そうとするがユナがメイドの口を押さえてハルバートがナイフを持つ手を掴み釣り上げる。
やがて毒がまわりメイドの手からナイフが落ちるとハルバートとユナはメイドから手を離した。
「申し訳ございません。このような者を紛れ込まされるとは…この責任は私の命を持って償わせていただきます。」
「必要ないわ。良い情報源が手に入ったのだもの喜ぶべきところよ。それよりこのメイドを拘束したら早めに毒抜きしなきゃ、死なれたら困るわ。」
ユナは残りのメイドに触れて仲間がいない事を確認すると収納からロープを取り出し患者のメイドを後ろ手に縛る。
念の為に足も縛ると手早く毒を抜き今度は収納から出した瓶の中に入れ、メイドに触れた。
「ふーん…貴女はそっちから依頼をされたのね…。」




