3
ユリアーナは乗合馬車にゆられ今後の予定の確認をしていた。
魔力が核に奪われていない事が分かれば追手がかかる可能性がある。
捨て置かれる可能性もあるがどちらに転ぶかは分からないので早々に国を出るべきなのには変わりがない。
ともあれ、気を張り続けてはもたないのでたまに空を見上げ思いにふけった。
(あの司祭…打首にならないといいけど…。)
何年も逃走経路やその生活について考えてきたユリアーナは本から得たの知識と城を抜け出し得た街の情報で完璧な予定を立てていた。
魔力が使えない事を前提としていたので今の状況は予定より格段に良い。
ユリアーナは馬車の終点になっているそこそこ大きな街に降り立つと次の馬車に乗るまでに食料の買い出しや路銀の調達の為に屋台と質屋を探した。
まずは質屋、中に入ると年老いた店主がやる気の無い様子で挨拶をした。
ユリアーナは品質はまあまあの小ぶりのルビーを一つ出し買取り価格をきいた。
「ん~良くも悪くもない。うちで買うなら銀貨5枚だ。」
「それじゃあ宿屋に泊まれない。もう少し何とかならないかしら?」
「ふむ…銀貨7枚だ。それ以上は譲れん。」
ユリアーナは不服そうにしながらもルビーを売り店を出た。
実際のところ売ったルビーは銀貨10枚程の値がつくのだが、あまりモメて印象に残りたくないのと食料と馬車の料金の足しくらいにしか考えてなかった為そこまでごねなかった。
ユリアーナは城を出る前にパーティー用に与えられていたドレス、装飾、着替え、日持ちする食料を空間魔法で収納しているのだ。
売る物はたくさんある。
魔力が無くなる予定だったが対策は考えていたし、もし収納を開けなくても困らないように旅行バッグに小さな宝石と着替えを入れてあった。
まだ国を出ていない今は収納した物を使う訳にはいかないが、バッグの宝石を売って行けばひと月はなんとかなるので深追いはしなかった。
質屋を出ると次に屋台をみて回った。
串やホットドックなどたくさんの屋台が並んで美味しい匂いをさせる中、ユリアーナが引き寄せられたのはポテトフライとハンバーガーだった。
合わせても銀貨1枚程だったのでユリアーナは迷いなく購入し次の馬車乗り場へと向かった。
次は隣国の大きな街に行く為の馬車になる為乗り場は少し列が出来てる。
いざ馬車が来て乗車を始めると満員でギリギリ乗れたユリアーナは安堵しながらも快適とはいえない状況に少しゲンナリした。
馬車は半日程で目的の街の目の前につき関所がある為降ろされた。
長い列をなし門に並ぶ人々の後ろに並ぶとユリアーナの番になる頃には日が暮れていた。
「次の者、前へ!」
門番の声にユリアーナは一歩前にでた。