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馬車の中でバーンとグロースライダーがバチバチ火花を散らしている間に馬車は城の門で停車した。


ドアが開くと先にグロースライダーが降りユナをエスコートする。慣れた手つきにバーンが感心しているとグロースライダーと視線が合い得意気にニッコリと微笑まれた。

バーンは苛立ちながらも心の中で「相手は王子」と呪文を唱え自身を落ち着かせた。


三人が馬車から降り終わるとグロースライダーはまず自分の執務室に向かった。


「ユリアーナだけなら準備は何時でも出来てるんだけどね。バーンの部屋が整ってないから部屋には後で案内するよ。」


「俺は同室でも構わないけどな。」


「馬小屋がお望みかい?」


「今の私は王女では無いのですから城に部屋を用意いただく身分ではありません。謹んで辞退させていただきます。」


泊まる気は無いと主張するユナにグロースライダーは立ち止まり向き直った。じっとユナを見詰め折れる様子の無いユナにため息をつく。


「もし泊まってくれないというのなら君の欲しがってる情報はあげられないかな~。」


「……もう一生口をきかな「ん~一日!一日でいいから!!ちゃんと挨拶無しで別棟にするから!!」い。」


「…仕方ないですね。」


「……全く意味が分からないんだが…。」



城に泊まれるのはごく一部の特別な者達だけであり、賓客でも婚約者でもないユナやバーンが泊まる事は本来許されない。もし素直に泊まればユナはグロースライダーとの関係を疑われバーンも何番目の王女の婚約者かと大騒ぎになったに違いない。


後になってユナから聞かされたバーンは全力でまた「意味が分からん!」と叫ぶ事になるが、この場ではバーンは無視された。




グロースライダーの執務室に着くと中は紙や本が雑多に山積みになっておりとても綺麗とは言えない状態だった。

勧められてユナとバーンはソファに座るが、そこもグロースライダーが上に散らばっていた紙を片付けて座れる状態にされた。


「ゴミ部屋……。」


「ゴミじゃないよ!この辺りはユリアーナの成長記録でその隣はユリアーナの好きな店の最新情報だ。あ、その目の前にあるのがユリアーナの探してる本のリストでつくえの上は各署の報告かな?」


「燃やすわ。」


ユナは手にファイヤーボールをつくり全てを焼き尽くそうとした。バーンは止めずにむしろ推奨したがグロースライダーは必死で止める。


「燃やさないで!これは僕の大切な資料なんだ!!」


「邪魔するなら貴方も燃やすわよストーカー。」


ユナがファイヤーボールを投げつけようとした瞬間、ドアが勢い良く開き入ってきた黒髪の青年がユナに頭を下げた。


「も~し訳ございません!!どうかお怒りを鎮めて下さい!流石に火の手は不味いのでどうか!!」


「ハルバート!!」


「その代わりユリアーナ様関連の物は全てお持ち下さい!!更に殿下は如何様にしていただいても構いません!」


「ハルバート?!」


少し冷静になったユナはファイヤーボールを消して青年の言葉を受け入れた。

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