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「殿下?!」


バーンの驚きの声でグロースライダーは立ち上がった。


「ん?君はユリアーナを保護してくれたバーンだね。礼を言うよ!」


「あ、え、あ、はい!自分は当然の事をしたまでです!」


「なるほど!では当然君の告白は無かった事にし僕とユリアーナの仲を取り持ってくれるね?なんせ危険な冒険者と身分のしっかりした王族の僕とではどちららが彼女を幸せにできるか明らかだからね。」


バーンはグロースライダーに恐怖を覚えた。

初めて会ったはずの王子が何故バーンがユナに告白した事実を知っているのか、笑顔で牽制してくるのか訳が分からない上に普通ならここでイエス以外の言葉を口にすれば命は無いのだ。

爽やかそうな笑顔がどす黒く見え身体が勝手に身震いをした。


「勝手な事言わないで下さい。貴方達みたいな変態しか選べない人生なんて私は許しません!」


「酷い言われようだな~。僕はこんなにも君を思ってるのに。」


「俺も?!」


グロースライダーは絶対零度の視線を向けるユナに狂気に満ちた視線を返す。少し頬を赤らめ惚けたような表情は一般的にはとても美しいものだがユナには嫌悪の対象だった。


「もう本当に消えて欲しい…。」


「ご馳走様です。君のくれる言葉は何にも変え難いご褒美だね。もちろん今から城にくるでしょ?」


「行かないとガッタさんに迷惑がかかりますからね。バーンと一緒でなければ行きませんから。」


「……仕方が無いからバーンも来なよ。」


とても不服そうに言うグロースライダーにバーンは口の端を引くつかせ誰か助けてくれる者は居ないか目を泳がせたが、唯一当事者でないガッタは完璧に置物と化し役に立ちそうにはなかった。


「そうだ!バーン、馬車の中は暇だから僕とユリアーナクイズをしないかい?完膚無きまで叩きのめしてあげるよ。」


「恐れながら殿下、それでは彼女の心が離れていくばかりでしょう。」


「フフッ君なかなか言うね。」


三人はガッタの家を出て馬車に向かった。

家をでる時、ユナがガッタに声をかけたが「ハッ!この老骨がお役に立て光栄至極!」などと敬礼をされ、心労で倒れない事を願わずにはいられない。バーンの剣は預けたままなので次に来た時はきっと元に戻っていると信じたいところだ。


「城までは三時間程だからたっぷり時間はあるよ。」


その三時間かかる場所に居るはずの人物が三十分程で到着した謎をユナもバーンも解き明かしたくはなかった。


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