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ユナとバーンは街道を歩いていた。
次の街までは半日あればつける距離なので着いたら昼食を食べて今度は馬車移動の予定だ。
道中、バーンも変装すべきじゃないかとバーンに提案してみたユナだったがバーンはそれは出来ないと断った。
「俺程の有名人になると面が割れてるからな。変装したら偽物騒ぎになる。」
「ヘェーソウナンダータイヘンダネー。」
二人は順調なペースで歩き予定通り街に着くとバーンオススメの店で昼食をとり馬車に乗った。
「私がいたブルベン王国がココで、バーンと会ったファルファ国のミールがココ。で、こう経由して次の目的地のアルベール国境の街ベベルがココだから……着くのは明日の夕方…?」
「残念。到着は明後日の朝だ。途中にある橋は魔物が渡らないように日中しか渡れないようになってるしこの森は夜行性の魔獣が多いから夜は走らない。」
「ん~やっぱり経験値は大切だね。こういうとこは頼りになるな……。」
バーンは二度見した。
今までバーンを褒めた事の無い、むしろ貶していたユナを二度見した。
そんなバーンの行動が気に入らずユナはバーンの足を踏みそっぽを向く。
それから馬車には普通に揺られていたが何事もなく予定通り街に着きとはいかなかった。
野盗に馬車が襲われて返り討ちにしたり、御者が食事に睡眠薬を盛ってきたので吐かせると奴隷商と繋がっていたりと散々な旅路で街に着いて最初にしたのは捕まえた野盗と御者を突き出すことだった。
「臨時収入バンザイ…?」
「ポジティブ過ぎないか。」
「ポジティブは大切な事だよ。無事着けた事を喜ぼうよ?」
ベベルは炭鉱の街でミールのような華やかさは無いが武器や防具など冒険者に必要な物を売る店が多く実用的な面で充実した街で、まだまだ初心者のユナからすると全てがカッコ良く見える。
「どの店に入るの?」
「いや、俺は上級者だからな。店じゃなくて職人に直接頼むんだよ。」
バーンは裏路地に入ると迷うことなく進んで行く。ユナはバーンについて歩くが歩幅の違いから少し小走りになり必死だ。ゆっくり歩いて欲しいと声をかけるも聞こえてないのか無視されユナは腹が立った。
ユナがバーンの右手をつかみバーンは驚いて立ち止まる。
「な?!どどどどどうした?!」
「早いの!歩くスピードが!!こんなところで置いて行かれたら迷子だよ。」
「あ。すまん…。」
「ちょっとは気づいてよね!!」
ユナは手を離そうとしたが、それがとても惜しくなりバーンはユナの右手を掴みまた歩き出した。ユナの戸惑う声が聞こえるがそんな声は頬の赤さと共に気の所為にして目的地まで手を繋いだ。




