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ユナから酒を受け取ったバーンはそれを一気に飲み干した。


「うわっ。これ結構キツイな。」


「ドラゴンのお酒は人間の作るものより酒気が強いのよね。ドーラと随分仲良くなったみたいだけど何を話していたの?」


「仲良く…ユナの凄いところについて語られてただけだ。」


「何それ…ドーラったら何を言ってたのかしら……。」


少し遠くで楽しそうに話すドーラ睨みつけ、ユナは手に持っていた酒を豪快に飲んだ。


「ユナって今何歳だ?」


「16歳よ。」


「まだ成人してないのか?!……。9歳からここに来てるんだろ?怖くなかったのかよ。」


「ドーラが喋ったのね…。」


ユナは呆れた顔でため息をついた。

あまり自分の過去を話したくないユナにとってはドーラの口の軽さは不都合なので、後できちんと釘をさしておこうと誓い今回はバーンにちゃんとこたえる事にした。


「怖くなかったって言ったら嘘になるけど…ドーラとは7歳の時に会ったの。

まだ小さくて怪我をして動けなくなっているのを見つけて世話をしていたんだけど、元気になってきたら突然居なくなってね。

二年後、深夜に突然現れたと思ったらここに連れてこられたから怖いより驚きが勝ったわよ…。」


「な、なるほどな…。」


「さ、話はここまでよ。そろそろランクが上がりそうだから討伐系の依頼を視野に入れたいんだけど何かしておくべき事ってある?」


ユナの問に目を瞑り顎をさすって少し考えこんだ様子をみせるバーンをユナは真剣な表情でみている。


「しておくべき……明日依頼は受けずに魔物探索にでかけてみるか?」


「いく!」


「何なら街中デートでも一向に構わんが「魔物探索で。」…そうか…ハァ……もうちょい色気のある方にいっても良いと思うんだけどな~。」


「どこにそんな要素があるのかしら?」


バーンは項垂れながら空の杯を酒ではなく涙で満たした。そして勢い良く立ち上がると「やけ酒だ~!!」と叫びながらドラゴン達の元へと走ってき、そんなバーンの後ろ姿を呆れた顔で見送ったユナもドラゴン達の輪の中に戻り共に騒ぎ心地よい時間を過ごした。


深夜、ドラゴン達との宴から戻ってきたユナはバーンをベッドに投げ込んだ。

ドラゴン達に大量に飲まされたバーンはベロベロで、一人では歩けない程に酔ってしまった為にユナは魔法で浮かせながらバーンを運んだのだ。

バーンを運び終えたユナは自室に戻るときちんと寝支度をしてベッドに入った。

すると、自分の部屋に近づく存在に気づきユナは剣を握る。

バーンは泥酔しているので除外するとしてこんな時間に部屋に訪ねてくるような関係を持っている者など心当たりはない。

ユナは直ぐに逃亡出来るように荷物を収納しローブをまとうと窓を開けて剣を抜いた。

開いた窓から先程まで泥酔していたはずのバーンが静かに入ってきて声を出さないようにとジェスチャーをする。流石は高ランク冒険者だなと感心しながらもユナはドアを見つめた。


「俺の部屋に書き置きをしてきた。このまま宿屋を発つぞ。」


小声で話しかけてきたバーンに頷くとユナは窓に近づき窓枠に足をかけた次の瞬間、ドアが勢い良く開けられたのを合図にユナが窓から飛び降りた。

すぐ後にバーンも窓から飛び降り二人は人のいない街中を全力で走った。

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