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「いや~冷や冷やしたよ。バレなくて良かったわ。」
「本当にね。あの人私と会ったことあるから誤魔化せて良かったよ。」
ユナはバーンの部屋を訪ねフードの人物の事を報告していた。
ユナはフードの人物に見覚えがあった。
蛇の刺青は王族付き裏部隊【庭師】の一員の印で、普段は王族の居住区の庭の手入れをしながら侵入者を排除する事が仕事だが、王命があれば暗殺等もする部隊だった。
何故ユナが会った事があるのかと言うと、抜け道を探すには庭師の行動も把握する必要があり見かける度に話しかけていたからだ。その時はただの庭師だと思っていたが様々な場所に入り込むようになり裏部隊の事を知った。
「会った事があるのによくバレなかったな……特に声。」
「気にならないようになる魔法使ってたからかな?」
「ユナの魔法は最強だな……。」
呆れながらもバレずに済んだことに安堵したバーンだったが少しの考え込む。
「間違いだったって事にして油断を誘ってるとか無いよ…な?」
「それは無いとは言いきれないかな?」
「言い切って欲しいよ~!」
「私世間知らずだから分からないデス。」
バーンは手を擦り合わせて「もう来ませんように」とまるで呪いでもかけているかのようにブツブツ言い始めた。
そんなバーンが少し面倒になったのでバーンが正気に戻るように頭にチョップする。
「遊んでないで教え欲しいのだけれど、この辺にドリリアンの扱いがある店か自生場所は無い?」
「ドリリアン?あの臭っいフルーツか?!無い無い!あんなの売ったら苦情がくる!!自生場所は知ってるが……持ち込む気か?」
ものすごく嫌な顔をしたバーンだったが、ユナに絶対に臭いはさせないようにすると約束させて場所を教えた。
しかし、一人で行かせるのは危険なので結局バーンも一緒に行く事なり、ユナはお礼に夕食を奢る約束をした。
ドリリアンが自生する場所は森の中にある。
とても強烈な臭いなので近づけば直ぐに分かるが、野生動物も臭いにつられ寄ってくるので採取時は注意が必要らしい。目的地はそんな奥地には無いので割と直ぐに着いた。ユナが採取してる間、バーンが警戒してくれるが臭い対策で鼻に綿を詰め上から布を巻いている為、他人に見られれば確実に不審者として通報されるだろう。
採取を終えて少し離れるとバーンが服に臭いが着いていると騒ぎ出したので、ユナは気の所為だと言いながら街に戻った。
「……臭い。先にお風呂入って。」
「「はい…。」」
宿屋に戻るとカレンが鼻をつまみながら有無を言わさぬ様子で風呂直行命令を出した。




