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バーンは頭を抱えてベッドに座っていた。
原因はユナの国家機密発言だ。
まさかそんな言葉が出てくるとは思わず安易にユナを連れてドラゴン狩りに行った事を酷く後悔した。
「そ、そうだ。まだ話されていないんだし聞かなきゃいいんだ!」
「すでに見ちゃったでしょ?それに私と行動してるのバレたら多分知らなかったは無理だよ。」
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛~俺のバカ~!!!」
「大丈夫。私、捕まらないしバレないから!」
「何処からそんな自信がくるの?!しかも俺信用されてなかったんじゃなかった?!」
「自殺願望が無ければ他人に話せないでしょ。」
バーンは言葉が無くなり大きなため息と共に黙り込んだ。
ユナの話からすると、国家機密に当たるのはドラゴンに知能がある事、ある所作をすると人間と会話をしてくれる事で、取引きできる事や宴を開いたりしている事はユナ以外知らないらしい。
「国家機密より怖いわっ!これはもう追手がかかっていなかったら奇跡だろ……。どう考えてもその辺の貧乏貴族じゃないもん…。」
「教えてあげてもいいけど……後悔するかもよ?」
「今現在真っ只中だよ!!」
不貞腐れるバーンだが一応秘密にする事を約束し、ユナはホッと息を吐いた。話の区切りがついたのでバーンにドラゴンの宴に参加するか聞くと、刺激が強すぎて無理だと断られた。
少し残念に思いながら仕方がないかと諦めたユナは結界を解除し、自分の部屋に戻ると手荷物をどうするか悩み始めた。
夕食の時間になりユナがバーンを誘いに部屋に行くと丁度タイミング良くバーンが出てきた。
「ご飯食べに行こう。」
「ああ。」
下に降りるとヘレンとカレンが忙しそうに働いていた。込み合っていた為に先に剣の稽古をする事にしたユナとバーンがいつもの場所に向かおうとすると、それに気がついたヘレンが呼び止めバーンの部屋に戻っているように伝えた。
ユナとバーンは大人しくヘレンに従いバーンの部屋で待機していると、夕飯を持ったヘレンが来たので部屋に入れるが、ヘレンは少しキョロキョロと周りを気にする素振りをみせて部屋に入るなり鍵を閉めた。
「どうしたんですか?」
「実はあんた達がいない間にフードを目深に被っ他怪しい奴らが来て人を探してるって言ってたんだけどね、持っていた似顔絵がユナにソックリだったんだよ。」
ヘレンの話ではフードを被っていた奴らの腕には蛇の刺青があり、執拗に女性客の滞在について聞いてきたが何とか誤魔化し帰らせたそうだ。
ユナとバーンは間違いなくユナの追手だと確信した。
「ヘレンさんありがとうございます。ちょっと変装するようにしますね。」
ヘレンはユナに頷くと部屋を出ていった。




