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「危ないから下がってろ!!」


「大丈夫だからちょっと見ててよ。」


「はあ?!」


「いいから!!」


全く譲る様子の無いユナにバーンは諦めて一歩下がるが、戦闘態勢だけは崩さない。そこにドスンドスンと足音が響き始め、木々の間から鋭い牙を剥き出しにした赤いドラゴンが出てきた。


ドラゴンはユナの前で止まり咆哮する。バーンの剣を握る手にも力が入り一触即発の中、最初に動いたのはユナだった。ユナはその場に膝まづき礼をドラゴンにとった。


「お久しぶりにございます。フォルム様。」


「我が名を呼ぶお前は誰だ。」


ユナは伏せていた顔を上げてドラゴンを見つめた。ドラゴンもユナに顔を近づけてじっくりと顔を確認する。


「お前は…ユリアーナか。」


「覚えていただいており光栄にございます。然しながら、今はその名を捨てユナと名乗っております。」


「ユナ…覚えておこう。」


バーンは目の前の信じられない光景に軽くパニックになっていた。

今までドラゴンと対峙した時は咆哮をあげると直ぐに襲ってきた。会話するなどありえないしそんな話は聞いた事がない。

しかし、バーンのそんな胸の内を知らないユナはバーンを無視して話を進めていく。


「大変恐れ多き事ですが、本日はフォルム様にお伺いしたき事がありフォルム様のテリトリーに赴きました。」


「ほう。我にわざわざ会いに来た用事とは何だ。」


「私は家族に捨て置かれてから冒険者として生計を立て始めました。その仲間がドラゴン族様の鱗を頂戴してくるという依頼を受けております。お譲りいただくには何を献上すれば宜しいでしょうか。」


「ふむ。我の鱗を欲すか……。」


少しの沈黙がその場を支配し、ユナもバーンも動かずにドラゴンの言葉を待っていた。顎に手を当てて悩んだ結果、ドラゴンは腕から鱗を一枚剥がしユナに差し出した。


「丁度三日後に我等の宴がある。久しぶりに皆に顔を見せよ。」


「フォルム様の御要望とあらば。宴には私一人で出席させていただけば宜しいでしょうか。」


「ん?まあアレも暴れないのであれば構わん。」


「ありがとう存じます。」


ユナが礼を深めるとドラゴンは元来た方へ去って行った。

バーンにはすでに戦意は無かったが、目の前で起きた事についていけず剣を握ったまま固まってる。そんなバーンを正気にする為、ユナは立ち上がるとバーンに近寄り左頬をビンタした。


「いてっ。」


「正気に戻った?鱗貰えたし帰りましょ。」


「いやいやいや、貰えたっていうかなんだアレ。どういう事だ?」


「とりあえず宿に戻りましょう。」


バーンはユナに背中を押され強制的に帰路につかされた。道中も質問をするも宿に戻るまで頑なに話してくれないユナにバーンは納得いかない様子で歩く。

宿に着くともうすぐ夕食が始まる時間だった。ユナとバーンはバーンの部屋に入り鍵を閉めると、早々にユナが遮音の結界を張った。


「なんで宿に戻るまで話さないんだよ!そんな不味い話なのか?!」


「ん~国家機密くらい?」


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