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「そんな指輪いらないわ。」
ユナは指輪に見向きもせずバーンに突き返した。バーンはユナの予想外の言葉に少し驚きながらも、きっとこの場では仲間にして貰えないだろうと長期戦を覚悟した。しかし、ユナはそんなバーンに左手で握手を求めバーンを困惑させた。
「一体どういう事だ?」
「仲間になりたいのでしょ?私と握手しましょう。もし貴方に悪意とかがあれば貴方の手が吹っ飛ぶように魔法がかかってるわ。」
「魔法が使えたのか……。」
ユナの言葉に少し緊張しながらもバーンはユナの手を握った。
バーンの手は吹き飛ばず、ただの握手となりバーンは少し力が抜けため息を吐いて自分の手の無事を心の中で喜んだ。
「まだ完全に信用はしていないけれど、貴方は私に必要な事をたくさん知っているから貴方の申し出を受けるわ。」
「申し出を受ける……恋人になっ「ならないわ。」て…。」
ユナの食い気味の否定にわかってると苦笑いをしたバーンは改めてユナに手を差し出した。
「ところで、仲間と認めてくれたんならある程度事情を話してくれないか?」
ユナはどう話すか考えながら、とりあえず周りに遮音と不可視の結界を張った。
先程ユナが魔法を使えることを知ったばかりのバーンは結界も張れることに驚き惚けた顔をしていたのでユナは先に伝えておくべきだったと少し反省した。
「貴方が言った通り、私は貴族の娘だったわ。だけど、用済みで勘当されたから今は平民よ。」
「ふうん。貴族ってやつは冷たいんだな。」
「私の家は元々男しか認めていなくて、女が産まれたら殺すような家だったから生きているだけマシね。でも、もしかしたら…私には追手がかかっているかもしれない。」
「どういう事だ?用済みなんだろ?」
「私、家族を騙して出てきたのよ。頼まれた事をやったフリをしたの。そろそろバレてるわ。」
「は?」
バーンはなんでもない事のように言ったユナに絶望の顔を向けた。
貴族はプライドが高く残虐性の髙い者が多いという事をこれまでの人生で嫌というほど体験してきたバーンはユナがした愚かな行為に血の気が引いた。
そして仲間になった事を瞬時に後悔し、普段祈りもしない神に祈った。
「私の出身、隣の国だしまだ大丈夫だよ!死んでるって思われてるかもしれないしね。」
「ほんとかよ……。」




