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イエニスタが協会本部を襲撃している同じ頃、ガラガ王国の王城もユナ達による襲撃を受けていた。
流石に王女の姿で行動するのは不味いと判断し、ユナは仮面をつけている。
ヴィルーヴの手引きにより侵入するとそれぞれの役割を果たす為に散る。
裏部隊の相手はヴィルヌーヴとバーン。他の兵達はヤンナとユナが蹴散らし城の中を進んでいく。
ユンギとシンラは別行動で、妖精化したユンギが敵の有無を確認しながらユナお手製の城内地図を持って協会の関係者の拘束をしに向かった。
「おらおらぁ!」
「……ヤンナだけでいいんじゃないか?」
「そうですね。バーンの言う通りです。ユナ様とバーンは先に王の所へ行って下さい。」
「分かったわ。やり過ぎないようにね。」
ユナとバーンが走り去るとヴィルーヴは激しく剣を振るヤンナに目を向け後で苦言を言われる事を悟った。
謁見の間の前に着くとユナは仮面を取り素顔を晒す。
深呼吸してからバーンの顔をみる。
「開けるぞ。」
「ええ。」
バーンが扉を開けると王は玉座に座りどっしりと構えていた。
「まさか、自分から乗り込んでくるとはな。」
「ご無沙汰しております。」
「この城を落としてどうするつもりだ。」
「腐ったガラガ王国を無くしてしまおうかと。」
「お前ごときが…死に損ないの娘ごときが戯言を。」
「私は…この城ではいつも一人でした。でも、今は大切な仲間がいます。大人しくその座から退いてください。」
王は玉座から立ち上がり着ていたローブを脱ぐと剣を抜いた。
ユナの後ろにいたバーンが剣を構えるが、ユナはそれを手で制して剣を構えた。
「ほぅ…どこで習ったのかは知らんが様にはなっているようだな。何も出来ぬ娘かと思っていたが多少知恵をつけたか。」
「そうですね……子供にとって産みの親は必ずしも必要では無いという事です。」
「生意気な。」
王の眼は鋭さを増しユナは少し怯んだが構えは崩さない。
額に浮かぶ冷や汗も拭わず負けじと王を睨み返すと後ろからパンッと手を打つ音が聞こえた。
「たんま!ちょっとストップ。」
バーンはツカツカとユナに近づくとユナの両頬を掴み引っ張った。
「いひゃい…。」
「力入り過ぎだ。一人じゃないって言ったのはユナだろ?俺が付いてるんだから大丈夫だ。」
バーンはユナの頬から手を離すと一瞬抱きしめて耳元で「頑張れ。」とだけ言って離れた。




