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パンクジャズ  作者: 林広正
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第2話、1


   第2話



 俺は一冊の本を眺め、音楽を勝手に想像し、その写真を真似て勝手に始めただけだ。不思議だが、その形のある本を開くとメロディーが流れてくるんだ。今でも変わらず、毎回違うメロディーが俺の頭の中に溢れ出す。

 俺は写真を見て楽器を作った。六弦、四弦、打楽器。俺は勝手にそう呼んでいたよ。今ではそいつから教わった名前でみんなに親しまれているけれどな。写真の見た目以外には、全てが俺の想像力の賜物だよ。なんていってもさ、演奏風景の写真が何枚もあったんだ。しかもカラーでね。なんとなくのイメージを掴むのはそれほど難しくはないんだよ。

 さらに俺には、協力者がいた。それはもうご存知だよな。ライクアローリングストーンの打楽器奏者だ。あいつはミカンと呼ばれている。その理由もご存知だよな。鼻の皮膚がミカンの皮のように凸凹しているんだ。

 ミカンは、俺のイメージと写真をもとに三つの楽器を生み出した。最高の仕上がりだよ。俺にとっては、ノーウェアマンの演奏と遜色のない音を出す。しかしそいつには、違って感じていたそうだ。俺の言葉に反応をし、やっぱりそうなのかなんて言いやがる。俺は少しイラっとしたよ。なんせ、ノーウェアマンの音源を聞いた直後だったからな。俺は正直、衝撃を受けていたんだ。音楽そのものにっていうよりも、そいつの作り出す曲は、言葉も音も、全てが最高に気持ちいいんだ。俺の作り出す音とは、似ている部分もあるようでいて、まるで別物だった。俺はそいつに、俺たちの音楽をバカにされたんじゃないかって感じたんだよ。

 あんたらの曲は、俺たちには作れない。俺はそう感じたんだ。楽器の音も似ているようで独特なんだよな。不思議だったんだ。俺たちには出せない音を出しているのはなぜかってね。その理由が少し、わかったよ。まさか手作りの楽器だったとはな。あんたら、凄すぎるよ。

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