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ALMA  作者: ヴィラノ・エンヴィオ
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第0話 プロローグ

世界観は繋がっていないけれど、同じ精霊や神の名前や設定が登場することがあるかと思います。同一の世界観で書いている話が多いので、いろいろ覗いてもらえると喜びます。

「どうしたんだ、皆」

「すんません、バート陛下。こうするしかないんです」


俺は、何がどうしてこうなったのか全く分からない。兄さんに呼ばれて、魔王城に向かって、そしたら、急に皆に俺は拘束された。魔力封じの黒くて重たい金属で作られた手枷を嵌められて、鎖で両手を後ろ手に繋がれる。

上段に兄さんが現れて、熱を帯びた瞳でこちらを見ていた。


「連れていけ」

「はっ」

「兄さん、何があったの!?」

「バート陛下、立ってください」


力自慢のゴーレムが俺を立たせる。何で誰も状況を説明してくれないんだ!?

俺の力ならある程度の悪魔を倒せるし、別の魔界の魔王が攻めてきたとでもいうの?


皆に話しかけても、誰も答えてくれない。誰か、俺にこの状況を説明してください。あの兄さんの目は、俺を疎んでとかそういう意味じゃないと思うのだけれど。途中から兄さんが合流してきて、それでも何も話してくれなくて、悲しくなる。

俺が連れていかれたのは、この魔界でもとりわけ危険だとされている“魔窟”のある場所だった。俺を拘束しているゴーレムの力が強いはずだ、ここに来れるということは、彼はレベル500はくだらない。


「ねえ、何で魔窟に俺を連れていこうとしてるんだ?」

「……」


何で何も答えてくれないんだよ。


「兄さん、どうしてしまったの」

「……」


「父さんは?」

「……」


「皆なんで何も答えてくれないんだよ」

「……」


「……なあ、」

「……」


皆、ゾンビになったわけでもないのにさ、何で何も答えてくれないんだ?

というか、ゾンビでも喋るよ?


死んだわけじゃないのになんでみんな答えてくれないのか、分からない。不安になってきた。言葉を交わす相手がいないって、不安なことなんだな。せめて何か、俺が悪いとか何か言ってくれるやつがいれば、まだましだったんだろうけれど。兄さんも何も言ってくれないし!


連れていかれた魔窟は、大きな口を開けて待っていた。この魔界でさえ生存には適さないと言われて久しいのに、この魔界よりさらに下の世界があると聞いている。

ここまで来たらもう、その先は1つしかない。ここに突き落とされる。処刑と同じ扱いとされている。俺が何をしたっていうんだろう。


「バート」

「!」


漸く声を発してくれた兄さんは、トン、と俺を突き飛ばした。バランスなんか取れなかった。腕が重い。一緒に投げ込まれたらしい小さな紙切れが、月の光にチラリと光ったのが見えた。


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