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作者: 月見秋人

  サンタクロースが子ども達の元に行く頃、北風が吹き、音が鳴った。

「○○○-×××-□△○○」

 久しぶりに鳴ったポケベルには見知らぬ携帯番号が記されていた。「携帯電話が流行り出したこんな時に、ポケベルなんて」、と驚いたが、僕は見知らぬ携帯番号に電話をかけてみることにした。

「まだ起きてたんだ。」

 聞き覚えのある声だった。

「こんな時間にごめんね。ちょっと話し相手が欲しくてさ。」

 去年の末に別れた彼女だった。その声は柔らかく、少し酔っているように聞こえた。

「まぁ、少しなら。」と元彼女の話し相手になることにした。

「最近どう?元気にしてた?」

 なんてことのないを質問してきた。

「一応、元気にはしてたよ。」

「そりゃそうだよね!元気だよね!」

 やはり酔っているらしい。

「デートでもしてたの?」

「そうそうデートデート…クリスマスを満喫したって感じだよー。」

「楽しかった?」

「そりゃもちろん…クリスマスの夜だよ?」

 家で寝ていた僕とは反するようにクリスマスを謳歌していたらしい。

  「そうだ!新しい彼女はできたの?」

 いきなり大きくなった声で思い出したように聞いてきた。こんなクリスマスの夜に家で1人でいる時点で普通は察するはずだが、僕は答えてあげた。

「ううん、できてないよ。全然、彼女のかの字も出ないくらいだよ。」

「へぇー、お互い進んでないんだねぇー。」

 彼女はさっきよりも落ち着いたトーンで話し、そのまま続けた。

「ねぇもしもあの時泣いてたらかわってたかなー?」

「さぁー、かわったかもしれないし、かわってないかもしれない、そればかりはわかんないよ。」

「そっかぁー…そうだよね…」

 それからコーヒーを飲むために沸かしていたヤカンが鳴るまで僕たちの間には何も生まれずにただ時間だけが流れた。

  僕はその後のことをあまりよく覚えていない。会話が生まれずに電話を切って、そのまま眠ってしまったのかもしれないし、彼女のクリスマスについて聞いたのかもしれない。でも僕は楽しい夢を見たような気がする。









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