始まり
さて、ここでなぜ彼らがあのようなことをしていたのかを話そう。
最初は、彼らは普通に生活していた。園芸家は庭師として、料理人は街の料理店、スリは裏道、荷物持ちは冒険者の野良パーティーを転々としていた。
ある日、それは偶然だった。スリは狙ってそうしたわけではなかったが、園芸家の仕事道具を盗もうとした。それに気が付いた園芸家は、大声で叫びながらスリを追った。
それを聞きつけた料理人が飛び出して来たのを見ると、それを避けて街の外へ飛び出した。
そう。それは偶然だったのだろう。そこにとても小さなダンジョンがあって、もんどりうって転がり落ちた際に巻き込まれた荷物持ちとともにそのダンジョン初の制覇者となったのは。
ダンジョンの初制覇者は、スキルの強化という形で称えられる。しかし、彼らの仕事があまりに特殊だったため、
園芸家・・・『園芸』→『植物王』
料理人・・・『料理』→『調理王』
スリ・・・『盗み』→『略奪』
荷物持ち・・・『荷物運搬・強』→『荷物運搬・剛』
という、全くもって自分達の仕事にしか使わなそうなものばかりだった。
しかし、それがとんでもない間違いだと、この後証明されることになる。