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第4話 出会い


 「 入れ。 」



 その一言を合図に、両開きの扉が開かれる。



 歩き出したルクスさんの後をついて行く。



 扉の中には3人の人影があった。



 2人は、扉を開けた双子と思われるメイドさん。



 そしてもう1人は、玉座に座る1人の青年、




 ーーーーーーーー魔王だ。




 その姿は、魔王と呼ぶにふさわしいまでの威圧を感じさせる。



 長い漆黒の髪の中から、ちらりと見える魔族特有の人族よりも少し尖った耳が、彼が人族でないことを教えてくれる。


 真紅の眼光が私の姿を捉える。



 目が合うとよく分かる……、この人とは敵対しちゃいけないって…。


 ちょっと前に決めた覚悟も、もう砕けそう…。

 正直、立つので精一杯だ……。



 そんな中、ルクスさんは魔王の前に跪いた。


 それを見て、魔王が口を開く。



 「 それが生贄か。 」


 「 はい。 」


 「 そうか… 」



 魔王がその言葉を発した途端、息が出来なくなるような重圧が無くなった。


 威圧……だったのかな……、逆らえないようにするための……



 魔王の瞳が再び私を捕らえる。



 「 おい、人間、単刀直入に言うぞ。 」


 「 …………。」






 「 貴様は、ーーーーーどうしたい? 」





 「………………????? 」



 ……はぁ!? えっ…ちょっ、どういうこと!!??

 どうしたい……??死ぬとか、奴隷だとかそういう宣言じゃなくて、どうしたい!?


 私に選択の自由があるの!?嘘でしょ!?


 物凄く驚いた。てっきり、ただただ殺されるのを待つだけだと思ってたから……



 「 貴様には現在、3つの選択肢がある。1つは、ここで見たもの全てを忘れ、人族の所へ戻る、 2つ目は、我々魔族の仲間となり、魔界に住む、3つ目は、人族の所にも戻らず、我々魔族の仲間にもならず、放浪する、 だ。」




 混乱している間にどんどん話が進んでいく。

 3つの選択肢の中に生贄らしい選択肢がなかったのは気のせい……???



 「 どれを選ぶのも貴様の自由だが、あえて言わせてもらうなら、1つ目の選択肢はやめておけ。生贄が逃げ帰ってきたと思われて殺されるのがオチだ。」



 アドバイスまでし始めた!??


 勝手に口を開くのは本当はダメなのかもしれないけど…、うん、無理。ちょっと聞いてみよう。



 「 ……どうして…?殺さないの……?」


 「 逆に聞くが、何故殺す必要がある? 我は貴様に恨みをだいているわけでもなく、人族を食べる訳でもない。」



 じゃあなんで貴方生贄制度を作ったんですか。


 あぁ、私の中の常識が崩れていく音がする……。


 覚悟を返して……




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 何回か質問を繰り返して分かったこと。


 まず、魔族は一部を除いて、人族という種族自体を忌み嫌っている訳では無いこと。

 ただ、人族は魔族という種族自体を忌み嫌っている為、危害を加えられ、一部の人族に恨みを持っている魔族は多いということ。


 次に、生贄は、戦争に負けた人族は、魔族に賠償金やらを渡さなければいけなかったはずなのに、戦争に全てをつぎ込んでしまい、払えなくなり、その救済として、生贄制度が出来たということ。


 魔族自身は、人族と好んで敵対したい訳では無いということ。




 結論。魔族、実はすっごくいい種族。


 つまり、魔族の悪いイメージのほとんどは人族の勝手な決めつけ、妄想だったってこと。




 私は、もう自分の中の常識を信じないことにした。

 実際に自分の目で見て、耳で聞いたことを信じようと強く思った。




 質問をしては、常識を崩されるということを何回か繰り返しているうちに、魔王への恐怖は、とっくの昔にどこかに吹き飛んでいってしまっていた。




 「 ーーそれで、話は戻すが貴様はどうしたいのだ? 」


 「 私は………… 」



 1つ目を選んだとしても、私には帰る場所も、待っててくれる人もいない。また酷い目に合うかもしれないし……。

 それに、魔王が言ってたように、もし帰ったとしても逃げ出してきたって思われて殺されちゃう可能性が高い。だから1つ目はありえない。


 3つ目もありえない。

 私、1人でふらふらしてて盗賊に目をつけられたんだよ?同じことになる結果しか頭に思い浮かばない…。


 そうなると必然的に、答えはーー



 「 ーー2つ目……。」


 「 ほう? 我々の、魔族の、仲間となるのだな? 」



 魔王は興味深そうに私を見つめる。



 「……。(コクン)」


 「 面白い! 我々魔族を忌み嫌わない人族は久しぶりだ。歓迎しようではないか!! 」



 魔王はなんだか、とっても嬉しそう。



 「 おい小娘。 貴様、名は?」



 そんなことを聞いてきた魔王を睨み返す。


 言えないこと、知ってるくせに。



 「 む?なんだ? …………ああ、それがあったな。 」



 そう言って、魔王は私の胸元を、胸に刻まれた奴隷紋を見た。


 奴隷紋は、その効果のひとつに、自分の本来の名前を言えなくする機能がある。

 奴隷は、人ではなく、物として扱われるから。物に、それ一つだけを表す固有名詞があるのはおかしいことだから。


 だから、奴隷前の名前は破棄されて、言えなくなる。


 今までの生贄も奴隷だって聞いたことがあるし、こんなこと奴隷文化がある国では知らない人はいない。


 だから、魔王が知らないはずがない。


 そう思って魔王を睨み続けてると、



 「 ーーカイナ、来い。」



 人の名前らしきものを呼んだ。



 その瞬間ーー




 「 はい。お呼びでしょうか、魔王様。」





 魔王の隣に、金髪金眼の、男性が現れた。



やっっっっっと更新出来ました……。

遅れてしまい申し訳ありません……m(_ _)m

次回から用語解説とかしていきます(多分)


それでは、ここまで読んで下さりありがとうございます!!

次話投稿まで気長にお待ち下さい〜!

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