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第2話 生贄の引渡し


 ここは……どこ……?

 いや、私はこの景色を知っている。

 私の、村だ。


 気づいたら私は、一人ぼっちで私の村にいた。

 雨でも降ったのか、地面は濡れている。



 水溜まりに、夕焼けの光が映り込んで赤く光って見える。


 否、水溜まりだけじゃない。


 見える景色全てが夕焼けの色に染まっている。






 夕焼けの…色……?









 ……ちがう………………



 違う、違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違うっ…………!!!







 夕焼けの色なんかじゃないっ……!!!












 これはっ……!血の色だっ……!!!








 私の全身は、村は、血で真っ赤に染め上げられていたーー





 「 いや……いやぁっ…! お父さん……、お母さん……、どこ……、どこにいるの……? 」






 自然と、自分の家へと足が勝手に動く…





 『 ……い、………ろ。 』





 そこで、私が見たものはーーーーーー










 「 おいっ!! 起きろっつってんだろうが!! 」


 「 ひっ……! 」



 起きると、目の前に男の顔があった。




 馬車も既に止まっている。

 どうやら、魔界に着いたようだ。



 嫌な夢を見てしまった……




 「 降りろ。 」




 男はそう言いながら、私の首の鎖を引いて無理やり立ち上がらせた。




 ……ちょっとくるしい…




 そう思いはしたものの、口には出さない。

 




 男に言われるがままに馬車を降りようとした時、1つ、問題が発生した。





 …………馬車が高くてなかなか降りられない……


 あ…足が地面につかないぃぃ……




 なんとか降りようと頑張ってるとーーー







 背中に衝撃が走る。






 もたついていた私に苛立ったのか、どうやら男に蹴られたようだ。




 私は、見事に顔から地面にダイブした。




 いたい……



 「 またそうやって、もうっーーーーー!!! 」


 「 大丈夫だって。 この傷は、こいつが勝手に転んで出来た傷だ。 」


 「 っ……! っっ……!! …はぁ…。もういいわ…。 あんたを相手にすると疲れる……。 」




 こちらとしては良くないんだけど……



 鼻血を拭きながら、私はそう思った。





 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 


 馬車が止まったその場所は、どうやら魔界との国境の近くらしく、後ろに大きな壁が見える。




 外って…魔界って…こんなに綺麗な所だったんだ……




 流石に国境近くは剥き出しの地面だけど、少し目を遠くにやると、一面草に覆われている。



 しかも、その草は発光性があるらしく、ぼんやりと光っていてとても幻想的だ。



 目線を上に向けると、視界いっぱいに広がる満点の星空。



 私が想像していた、どんよりとしていて、荒地が広がるばかりの土地などでは決してない。



 広々とした、美しい世界がそこに広がっていた。





 私が魔界の風景に圧倒されていた時ーー





 「 ーー来たわよ。 」


 「 とうとう、魔族様のお出ましか。 」


 「 いい? 対応は私がするから、あんたは変なことして怒らせないでね!? 私はまだ死にたくないんだから。」


 「 大丈夫だって。流石に俺だって相手は考えて、ものを発言するさ。」




 遠くに、馬に乗っている人影が見える。




 「 …あ? あいつ 1人だけか……? 」


 「 そう見たいね…… 」


 「 …1人なら…… 殺れんじゃね? 」


 「 あんたってなんでそんなに馬鹿なのよ……。 魔族と人族では基本的な体のスペックが既に違うんだから、たとえ相手が1人だろうと私たちみたいな駆け出し冒険者が魔族の訓練を受けている兵士に勝てるわけないでしょう……? それに、殺せたとしてどうするのよ……。 生贄は? 魔族の報復は? 」


 「 ………確かにそうか…。 」


 「 ほんとに分かってんのかしら、この馬鹿は……。 」



 2人の会話を聞いているうちに、いつの間にか魔族の男は顔がはっきりと見える位置まで来ていた。




 この人が……魔族ーーー




 一見、普通の人族にしか見えない顔立ちのその男は、兵士の姿をしていた。




 そして、私たちの目の前で、止まった。



 魔族の男は、私を見て少し目を細めたあと、馬から降りて、女と向き合った。


 「 そいつが生贄か? 」


 「 はい。 」


 「 …………生贄を確認した。 これが証明書だ。 受け取れ。 」




 そう言って、魔族の男は馬の側面につけていた袋から1枚の紙を取り出した。


 女はその書類を受け取り、一通り目を通したあと、



 「 確かに。 証明書を確認しました。 」




 と言って、男と一緒に私から離れた。




 「 これより1年間、我々魔族は、人族と停戦協定を結ぶ。 」


 「 我々人族は、魔族と停戦協定を結ぶ。 」




 魔族の男と、女が同時にそう言った瞬間、証明書が燃え尽きた。



 どうやらあの紙は普通の紙とは違い、特殊な魔力が篭っていたらしく、条約は魔術契約として結ばれたようだ。



 魔術契約は、その内容を違えば、大きな厄災が違反者に降り掛かる。



 国家同士の契約でよく用いられる方法だった……はず。



 「 条約の成立を確認。 それでは、失礼します。 」


 そう言って、女は踵を返した。


 これで……私は魔王の所有物になったのかな…?


 それなら……!



 私は、男の方を向いた。




 「 ……あぁ? 何見てんだよ? 」



 そう言ってきた男に向かって、私はーー









 「 …バーカ。 」



 と、一言、今までの恨み言を言った。





 「……あぁ!? てめぇぶっ殺すぞ!? 」



 当然、沸点の低い男が、奴隷、ましてや魔族の生贄に「バカ」なんて言われたら怒るだろう。


 殺そうとしてくるのも想定済み、


 でも、大丈夫。だって私はーー







 「 ーーその行動は、魔族への敵対行動と見なすが、いいのか? 」







 魔族の所有物なんだから。



 男の首には、魔族の男の剣が突きつけられていた。



 「 ……っ!! …………チッ! 」



 男は逃げるように馬車に乗り込み、人族の国へと帰っていった。



色々考えたのですが、書かない原因になりそうなので、書きだめ辞めます。( ˙-˙ )

次投稿は長かったり、短かったりと不定期になります…。m(_ _)m

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