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第18話 城下町を散歩したら

更新不定期です


まだまだ主要な子が出揃ってない辛さ


 ぬん……


 どうやら何か事件が起こったらしくて今日はレヴィリアさんもカイナさんもいないらしい。


 ということで、最近の日課になりつつある城下町巡りにでも行こうかな。



 そんなことを考えながらお城の中を歩いてたらいつの間にか目の前に、大きな猫の人形を抱いた10歳にも満たないであろう女の子が私の事を見上げていた。



 ……うん、もう驚かないぞ、気配が全然しなかったなんて


 それにしてもこの子誰だろう…?見たことない子だ


 すると女の子は小さく口を開いて



 「 ち、あぶない……きをつけて。」



 と言い、私の前から走り去ってしまった。


 な、なんだったんだろう…


 ち……、ちって血のこと?それが危ない???


 な、なんにも分からない……

 とりあえず血に気をつければいいのかな?


 あの女の子がなんで私にそんな忠告をしたのかは分からないけど、忠告してくれたんだから注意しておくことにこしたことはないよね。


 怪我とかには気をつけよう


 まあ、「ち」が「血」で合ってるのかはわかんないけど…とか考えながら、私は城下町へ向かった。


 特に目的地もなくてくてくと歩いてると、お昼くらいに露店がいっぱい出てるところに着いた。


 このあたりは露店が沢山出てるだけあって人も多くて結構賑わってる。



 周りを見渡してると、見た事のあるアクア色のポニーテールとアホ毛がぴょこぴょこ跳ねてるのが目に付いた。


 クーちゃんがいる。


 両手と口に串肉らしきものをモグモグしながら歩いてる。

 あ、私に気づいたっぽい。


 こっちに向かって走ってくる。



 「 ふぃあふぉへへひゃん(シアお姉ちゃん)!!」



 ちょっ!!??



 「 クーちゃん!串くわえながら走ったら危ないよー!!あと、喋るのなら口の中のもの食べてから喋らないと何言ってるかわかんないよーー!!」



 私がそう叫ぶとクーちゃんは急ブレーキをかけ、一度立ち止まって咥えていた串肉を食べ切ってからまた走ってきた。



 「 シアお姉ちゃん!!こんにちは!!!」



 目の前まで来ると抱きつこうとし、両手の串肉が邪魔なことに気づいたのか、あたふたしてる。

 そしてじっと手に持つ串肉を見て


 「 ん!あげる!!」


 満面の笑みで私に差し出してきた。



 えっと…嬉しいんだけど……これは…



 「 ごめんね、今お腹いっぱいなんだ…、だから貰えないかな……」



 というのは建前で本当はクーちゃんが食べたくてお金出して買ったものだから、私が貰うのはちょっと申し訳ないっていう理由なんだけどね……



 「 ふにゅう…、残念……」



 私が断ったらちょっとしょんぼりしちゃった


 うっ……罪悪感が………



 「 あんまりそういうこと気にせずに、タダメシラッキーくらいの気持ちで貰えばいいと思うんだけどな。全く知らない仲って訳じゃないんだからさ。」


 「 レイフェスさん……」



 いつの間にか私の隣にレイフェスさんが立っていた。


 嘘に気づかれてる……

 なんで分かるんだろ……



 「 そんなに気になるなら、次会った時にでもクーに何か奢ってやればいい。」



 確かにそれなら万事解決なんだけど…


 次会えるのがいつになるか分からないし、その時お金持ってるかどうかもわかんないから不確定な約束はしたくないんだ……



 と、その時



 くるるるるる



 と小さな音が鳴った。


 思わずばっとお腹を抑える


 は、恥ずかしい……



 そういえば朝何も食べてなかったんだ…


 いつもならサニィさんが作ってくれるサンドイッチとかを食べてるんだけど、今日はお腹すいてなかったから作ってもらわなかったんだ……


 顔を真っ赤にして俯いてると、ポンッと頭に手を置かれた感覚がする。



 「 子供が我慢してるんじゃねぇよ。」


 ちょっと呆れたように私の頭をガシガシと撫でるレイフェスさん。


 「 あーー!もしかしてシアお姉ちゃんお腹空いた!!??はい!!これあげる!!一緒に食べよ!!」


 パッと目を輝かせて私に串肉を差し出すクーちゃん。


 う、ううううううううう〜〜〜!!



 「 あ、ありがとう…」



 結局折れて貰ってしまった…


 そんな私の行動にクーちゃんは嬉しそうに、レイフェスさんは満足そうに



 「 どーいたしまして!!」


 「 ん、素直でよろしい。」



 と言った。


 うう……、貰っちゃったものは仕方ないからレイフェスさんの言う通り気にしないことにしよう…そして自分のお金が手に入ったらクーちゃんになにかあげよう…


 クーちゃんが美味しそうに串肉をモグモグしてるのを見て、私も1口食べてみる。


 !!!


 おい、しい……


 串肉って硬くてただひたすらに味が濃いってイメージがあったんだけど、この串肉はイメージしてたのと全然違う…


 硬さは普通に噛んでるだけでかみ切れるくらいには柔らかく、確かに味は濃いんだけど、全然しつこくない…

 後味がすっとしてる、ボリューム感はあるのにいくらでも食べれそう…


 「 美味しいでしょ?僕この串肉大好きなんだ!!」


 「 うん、美味しい!ありがとうクーちゃん。」


 「 えっへへ、シアお姉ちゃんも気に入ってくれて嬉しい!!」



 そんな私とクーちゃんの会話を一通り見届けたレイフェスさんは



 「 じゃあ、俺はちょっと用事あるから。」



 といって、西の方へ進んで行った。



 「 りょーかい!ばいばいレイお兄ちゃん!!」



 クーちゃんがレイフェスさんに向かって手を振る。


 私も小さく手を振る。



 ……向こうの方って何があるんだろ?

 また今度行ってみよっと。



 「 ごちそーさまでした!」


 「 ご馳走様でした。」


 「 シアお姉ちゃん、シアお姉ちゃんはこれから何するの?」


 「 うーん、特に決まってないかな。」


 「 じゃあさ、じゃあさ!僕と一緒にお散歩しよ!!1人より2人の方が楽しいもん!!」


 「 いいよ。どこに行くの?」


 「 んと、んと、シアお姉ちゃんは何か興味あることとかある?」


 「 んー、特にこれって言うのはないかな。」


 「 わかった!!じゃあ色んなとこ案内する!!!」



 目をきらきらとさせてふんすふんすいってる。

 かわいい……



 「 ふふっ、お願いね。」




 クーちゃんは私を武具屋とか、雑貨屋、ちょっとした観光スポットなど、本当に色々なところに連れていってくれた。


 常に笑顔で楽しそうに紹介してくれて、クーちゃんの雰囲気に釣られて周りも笑顔になる。

 それにクーちゃん店員さんともとっても仲がいいから、わざわざ私のことを友達だよって店員さんに紹介しに行ったりして私も店員さんと仲良くなっちゃったていうね…

 凄いよクーちゃん……


 そんなクーちゃんは今も私の手を引いて歩いてる。


 「 こっちこっち!!」


 ふと視線を感じて右側の通路に目を向けてみる。


 右側の通路にあったのは今までとはちょっと雰囲気の違う住宅街があった。


 外に出ている人が少ないというか……、少し暗い雰囲気。


 クーちゃんに聞いてみる。



 「こっちには何があるの?」



 するとクーちゃんは私の方を向いて眉尻を下げて言った。



 「 えっとね、僕もわかんない。そっちには危ないから行っちゃダメって言われてるから行ったことないの。」


 「 危ない?」


 「 うん、みんなが悪い人がいるって言ってた。」


 「 そうなんだ…」



 悪い人…、治安が悪いのかな……?

 近づかない方が良さそう。



 「 ねぇねぇ、ちょっといい?」



 そんなことを考えてると、一人の男の子に声をかけられた。

 全然周りを見てなかったからちょっとびっくりした…


 その男の子は浅緑色の瞳をしていて、右頬に大小2つの星のマークがあり、途中で月白色から黒色に変わっている髪を後ろでひとつにまとめていた。



 「 こーんな感じのつり目でいかにも人と関わりたくないっていう冷たいオーラ撒き散らしてる人見なかった?多分黒いパーカー着てる。ボクのアニキなんだけど…」



 そう言って自分のクリクリの目の端を指で釣り上げる。

 つり目で冷たい感じの人……

 うーーん、見てないかな……



 「 ごめんなさい…、それらしい人は特に見てないです。」

 「 うーん、僕もわかんない…役に立てなくてごめんね。」



 クーちゃんも分からないみたい。



 「 んーん、全然大丈夫!!教えてくれてありがとね!!」



 男の子は私たちの返答を聞くと、ニカッと笑ってそう言って走り去っていった。


 人探してるのかな…?見つかるといいけど……


 ぼーっと男の子が走っていった方向を見つめてるとクーちゃんの声が聞こえた。



 「 次行こ!!シアお姉ちゃんこっちこっちーー!!」



 いつの間にかクーちゃんは先に行ってて少し遠くで手を振ってる。


 クーちゃんに今行くよと返事をしようとしたその時



 クーちゃんが……吹き飛んだ



 「 …えっ?」



 突然のことに呆然と立ちつくしてしまう。


 一瞬だからよく見えなかったけど、何かが……クーちゃんにぶつかった?

 いや、攻撃した?



 「 むー、驚かせないでよー!遊びたいなら言ってくれたらよかったのに。」



 もくもくとあがる砂煙の方を見ていると、ぴょこんと揺れるアクア色のアホ毛が見えたと思ったら、口元をむっと膨らませ片手にナイフを持ったクーちゃんが出てきた。

 きちんと攻撃を防ぎ、受身が取れていたのか幸い大きな怪我はなく、服が砂で汚れてるくらいだ。


 クーちゃんは服についた砂をぱんぱんと叩いておとすと、自分を攻撃した対象にナイフの矛先を向けた。


 そこに居たのは……



 「 っ……!?あなたは……!!どうしてここに!?」


 「 あっ!あの時の悪い筋肉のおじさん達だ!!」



 何日か前に私達を襲った男達5人がいた。


 そいつらは私たちを見てニヤリと嫌な笑みを浮かべた。



 「 久しぶりだなぁクソガキ共!!早速だがよぉ、死んでくれや!!!!!」

《豆知識コーナー》

小説の中でもちょっとだけ触れたけど、クーちゃんは殺しあいをなんとも思ってないというか、遊びとか訓練、物事を簡単に片付ける方法くらいにしか思ってない




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