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第14話 る、ルクスさん........


 今日はどうやらカイナさんもレヴィリアさんも朝は用事があるらしいので、お昼まで自由時間だ。



 うーん、ずっと待ってるのも暇だし城下町にでも行ってみようかな。



 流石にもう城下町までの行き方は覚えたし、人が沢山いるところにいれば多分大丈夫、のはず。


 ということで、レッツゴー!



 …と意気込みながら来ては見たものの…、何しよう。


 お金持ってないから何か買うってことは出来ないし……、何も買わないのにお店覗くのはちょっと引けるし……



 「……ん?あれは…………」



 どこかで見た事あるような人影が猛スピードでこっちに来る、というか……何かから逃げてきてる……?



 「 シアちゃん!?ごめん!!避けてーーーーーーーーー!!!!!!!!」



 この声は……!!



 「 る、ルクスさん!!?」



 そう、ルクスさんの声だ。

 猛スピードでこっちに来るルクスさんは、何かに怯えている様子だ。



 「 ルクスさん、一体何が──」


 シュンッッッ



 私がルクスさんに何が起こっているのか問いかけようとした瞬間、私の頬を何かが──銅貨が猛スピードでかすめていった。



 ……………………。



 とりあえず端に避けとこうか……。



 さっきの銅貨はルクスさんの後ろから投げられたものっぽいし……、ルクスさんの直線上にいるのは危ない、気がする……。



 というかなんで銅貨?


 なんでお金???



 「 承りましたにゃー。」



 「 ふぇ?」



 突然声がしたと思って見てみると、いつの間にか私の後ろには真っ黒な服装をした女の人が立っていた。


 その人はさっき私の頬をかすめていったであろう銅貨をしまいながら、こっちに来るルクスさんの方を向いて、駆け出した。



 「 え?え!?何!!?用があるなら後に──」



 避けるどころか迫ってくる女の人に驚きはしたが、足は止めることなく動かしているルクスさんのに、女の人は、



 「 ごめんなさいにゃ、依頼だにゃー。」




 足をひっかけ──






 胸ぐらを掴み──






 背負い投げをした。





 「 え……?わ、わわわ!? ごふっ」



 まさか投げられるとは思わなかったのだろう、綺麗に投げられたルクスさんはそのまま背中を思いっきり地面にぶつけて悶えている。


 そんなルクスさんの様子を見て、女の人は──真っ黒な毛並みの猫の耳と尻尾を持った獣人族の女の人は、尻尾をゆらゆらと動かしながらピースをした。



 「 依頼達成ですにゃん!」



 …………………………誰……???




 ドゴンッ!!


 軽く混乱してると、今度はルクスさんが悶えてた方から大きな音がした。



 今度はなに!?って思って音がした方を見たら、悶えてたルクスさんが青くなりながら固まってる。


 その原因は、多分、ルクスさんの顔の横にある、足。

 これが音の原因だろう。


 軽く地面が陥没してます……。



 またもや唐突に現れた女の人は、ルクスさんの様子を確認したあと、黒猫種の女の人の方を向いて、親指を立てた。



 「 ナイスですわ。」



 「 お褒めに預かり光栄ですにゃあ。今後とも、『気まぐれの黒猫商店』をよろしくですにゃ〜。」



 そう言って一礼をしたあと、黒猫種の女の人は人混みの中に消えていった。


 その様子を見届けたあと、女の人は再びルクスさんに視線を戻した。



 「 …さてと、や〜〜〜〜っと追いつきましたわぁ〜〜、もう、逃がしませんわよ?」



 「 ひぇっ……」



 「 貴方、(わたくし)たちのこと警戒してたみたいですけど…、残念でしたわね、しっかりと現場は報告されてますわよ。」



 女の人はニッコリ笑顔でルクスさんに話しかけている。


 対するルクスさんの顔色はどんどん青くなっていってる。



 「 ケジメ、つけてもらいますわよ?」



 その言葉にブンブンと首を横に振るルクスさん。



 「 え?嫌だ、ですって?自分は何もしていないですって???」



 女の人はルクスさんが全力で拒否拒否する姿を見て1つため息をついた。



 「 そこまで否定するのなら皆様にジャッジをしてもらいますわ。」



 すると女の人の後ろに大勢の人が現れた。


 見たことない人もいれば、街を歩いていた時に見たことがある人、すぐ側で露天を出していた人、とにかく沢山の人がいた。



 その人たちの共通点は全員女性であること、それと、金色の腕輪をしていること。


 そして、全員が口を開く。



 「「「「「 ギルティ!!!!」」」」」



 「 だそうですわよ。残念でしたわね。」



 そう言うと女の人はルクスさんの胸ぐらを掴み、ルクスさんを無理やり立たせる。


 ルクスさんは両手を顔の位置まで上げて降参の意を示す。



 「 うふふ、そんなので今更止めるわけないですわよ?」



 やめてと首を横に振るルクスさんの最後の抵抗をばっさりと笑顔で切り捨てた……。



 「 さあ!覚悟しなさい!!」



 女の人は手を大きく振りかぶり───




 ベッチィィィィィンッッッッ!!!!!!




 ルクスさんの頬を思いっきりぶった。


 ルクスさんは、横に吹き飛んで地面にベチャっと落ちた。



 「 なんで、僕ってこんな目によくあうんだろ……」



 ルクスさんは諦めたような苦笑いをしながら、そうボソッと言うと意識を失った。



 「 鉄拳制裁、ですわ!」



 女の人は今ので満足したのか、いい笑顔でそういった。



 ……今更だけど…ルクスさん何したんだろ。

 こんな目にあうなんて、相当なことしてないとなかなかならないと思うんだけど……。


 「 あの……。」


 私は好奇心に負け、聞いてみることにした。



 「 ん?貴方は…ああ、報告にあった子ですわね。どうしたんですの?」



 ほう……こく?

 私のことを報告にあった子って…、この人も魔王様関係の人なのかな?


 まあ、それは置いといて、



 「 あの…、ルクスさんって、なにかしたんですか……?悪いことをするような人ではないと思うのですが……。」



 「 ああ、そのことですの。いいですわ、お話致しますわ。」



 そう言うと女の人は気を失ってるルクスさんをキッっと睨みつけながら、



 「 そこのルクスという男は大罪を犯したのですわ……、そう──」



 ゴクッ……



 「 ───ただの兵士の分際でカイナ様に頭を下げさせたのですわ!!!!これは許されることではないのですのよ!!!」



 「「「「「そうだそうだ!!!」」」」」




 …………ん?


 ……んんんんんんん??????


 んんんんんんんんん??????!!!!



 「 だから、(わたくし)、カイナ様ファンクラブ会員幹部、コードNo.009がその名をもって正当な裁きを下したのですわ!」



 ふぁん……くらぶ……?カイナ……さんの?



 「 (わたくし)達ファンクラブは、カイナ様のお手伝いをすること、カイナ様に下心などをもって近づくやからを排除すること、カイナ様に不必要なことをさせたやからの鉄拳制裁をすること、そして、カイナ様の素晴らしさを世界中に広めることを目的として活動しているのですわ!!」



 何も言ってないのに説明しはじめた……。



 「 貴方もどうです?(わたくし)達の仲間(ファンクラブ)なる気(入る気)はありませんこと?」



 「 え、遠慮しておきます……、……ちなみにご本人にはこのファンクラブのことは……?」



 「 もちろん、言ってませんわ。言ったら止められてしまうでしょう?」



 確かに……。でも、カイナさんが気づいてないとは思えないんだけどな……。


 ファンクラブ会員の証が金色の腕輪なのかな?よく見たらカイナさんの髪の色とちょっと似てる気がする。



 「 あら?腕輪をじっと見て……もしかして気づきましたの?この腕輪が会員と証明するものだと。」



 「 あ、やっぱりそうだったんですね。皆さんつけていらしたので…。それに、カイナさんの髪の色と似てましたから。」



 そう言うと、女の人は何故かキラキラした目を私に向けて、



 「 …(わたくし)貴方に興味が湧いてきましたわ。時間があればで構いませんわ、この後一緒にお話しませんこと?」



 あ、やば、目をつけられちゃったかも…?


 ……まあ、いいか。悪い人では無さそうだし……。



 でも…、今日か……。


 日の高さからしてもうすぐお昼だよね……。

 今日は……無理かなぁ……



 「 今日はちょっと……」



 私がそう言うと、女の人はほんとに残念そうにしょぼんってなった。


 うっ……ざ、罪悪感が……



 「 ま、またお会い出来た時にぜひ、お話しましょう!」



 その言葉を聞くなり、女の人は嬉しそうに笑いながら



 「 ええ、そうですわね。また会う機会があれば、その時は是非!」



 と言って去っていった。



 残されたのは、頬に大きな手の跡をつけて気絶しているルクスさん。












 ……………………ルクスさんどうすればいいんだろ……。

更新不定期です

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