#7
とりあえず、サキュバスによって気絶させられた泥棒が起きる前にこの場所から逃げようとした直後だった。
「嫌よ!こっちこないで!」
などという、女の子が誰かに襲われているような声が聞こえてしまった。
正直、もう僕は勘弁してほしいのだが。
「よっしゃカモ発見!」
強盗、泥棒を偽善的に倒した後は恐喝?でも相手にするのだろうか。
サキュバスに対する不信感しか感じず、僕は元気に走っていく彼女を追うしかなかった。
急いで到着すると、案の定一人の女の子が複数の男に囲まれていた。
「待ちなさいそこの衆愚」
あらかさまに格好つけたサキュバスだが、どう考えても愚かなのはお前だろう。
「あぁ?誰だてめぇ」
「死ね」
死ね、と言ったのはサキュバスで、何も聞かず突然小石を男の顔面に投げつけた。
ただの小石ではなく、魔力によるエンチャントだ。他の泥棒や強盗も魔力エンチャントによる物質強化された物で殴られ、一発で昏睡している。
突然奇襲を受けた男は、そのまま地面に倒れてしまったのを見るのはもう何度目だろうか。
「兄貴!?」
「てめぇ!きたねぇぞ!」
全くその通りだが、サキュバスの行動も早い。一瞬に他の一人に詰め寄り、謎の高威力ハイキックをかました。
最後の一人はナイフで彼女に振り回すものの、その手を握られた後に腕をへし折られるという残酷な仕打ちを受けてしまった。
「大丈夫ですか?」
僕は正直嫌になったので囲まれていた可愛い女の子に声をかけたのだった。サキュバスなどどうでもいい。
「え、えぇ。その、助けてくれてありがとう」
あまりにも突然の行為だったので、女の子もびびってしまっているようだ。
流石にこれはいけない。
「何かあったんですか?えらく怖い人たちに囲まれていましたけど」
「あの、その・・私・・・」
「何ナンパしてるのよ」
ナンパじゃねぇよ暴力メイド、と言いたかったがこらえておいた。
「そう、私困ってるんです。怖い人たちに襲われてて、あの、貴方たち強いんですよね」
「一応、そこらへんの人には負けませんよ」
「なら心強いです。私、追われてるんです」
「理由は?」
「言えません。あの、家には案内できないので、宿屋でお話できますか?」
「分かりました」
そう言うと、突然サキュバスが僕の袖を引っ張った。
「宿屋じゃなくてもっと大人の場所・・」
「あぁ?」
「こ、怖っ!?何で怒るの!?」
とりあえず、阿呆を放っておこう。
サキュバスを相手にしていたらどうにかなってしまいそうだ。