表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/155

65話 ミルピィ様はしばらくお休みです

タイトルとあらすじを変更しました。

予告無しですみません。思い付きなもので……。

何となく字面がもう片方の連載と被っていて、投稿とか間違えそうです。

「じゃあ、早速報告よろしく」


 アジトに帰ったらみんなの報告を聞く。

 経費(お小遣い)まで払ってるんだから、ちゃんと成果を見せてよ?


「まずは俺からだな。俺は裏通りの方が色んな噂を聞けると思ってよ、そっち方面を回ってたんだ」

「ふむふむ」


 僕があんまり行かないところだね。確かに、それなら僕とはまた違った情報を得られるかもしれない。


「最近は魔物が活発化しているらしくてな、警戒するよう周知されているようだぜ」

「ふむふむ、あとは?」

「こんなとこだな」

「……まあ、いいか。次」

「俺は店の人と接する機会の多い店に行ったんだ。よく客と話をする店員ってのは、いろいろ知ってそうだからな。それとなく訊いてきたぜ」

「ふむふむ、それで?」

「商人が護衛を増やさなきゃいけなくて手間が掛かるって愚痴っていたらしい。商人同士で費用を持ち合うにしても、同じ進路の商人で足並み合わせなきゃいけないからな」

「……まあいいや。次」


 残り三人の話も聞いたけど、全部知っているものか、それに人の主観が混じったような、結局は同じ内容のものだった。


「なるほどなるほど……君たちにはがっかりだよ」

「うわぁ、素直に傷ついた……」

「俺のはそんなに悪くなかっただろ?」

「まず、周知されている内容なんて皆知っていて当たり前なんだから、それだけを持ち帰ってもねぇ」

「ぐふっ」

「他のも、そこから発展性のない、言葉を変えただけの同じ情報だし」

「がはぁっ」

「そ、そういう旦那はどうなんだよ? そこまで言うからには、それなりの情報を持ち帰ったんだろ?」

「今日のミルピィ様は買い物目的だったから、ついで程度だけどね」


 そう前置きをして、僕の報告を始める。


 魔物警戒を出したのはナガテゼア・メーテトレ男爵。この町の領主だ(メモを見ながら)。

 このデブ領主は食へのこだわりが強く、食材、レシピ、料理人を集めるのに日々精を出している。美味しいパフェとかが多いのはデブ領主の政策(?)のお陰。

 こんな領主だけど、政治方面も結構強いらしく、定期的に取っているデータから魔物の出現頻度を把握して今回の警戒を出したらしい。聞いた話では、魔物被害は僕たちの魔物の振りした盗賊業よりも多かったから、僕たちとは無関係のところで魔物が増えて活発化しているみたい。

 警戒は近隣の町にも周知されていて、近々兵士による大規模な魔物討伐を行うらしい。


「気になったのはこんなとこかな」

「……でもまぁ、旦那は慣れてるだろうし?」

「そうだね、やっぱり君たち要らなかったよ」

「ひでえ!?」

「あ、そうだ。したっぱ君の報告も聞こうじゃないか」

「うす」


 冒険者ギルドは最近行ってないから、何かあるかもしれない。


「俺が冒険者ギルドに行くと、いつも通りリークル聖女が居ました」

「あの人、いつ仕事してるんだろ……」


 仮にも聖女でしょ? 忙しくないの?


「それで、声を掛けられて兄貴のことを探ってきました」

「そこはまあ、予想通りだね」

「うす、兄貴に言われたとおり、濁しておきました。その後もリークル聖女と話して、それで終わりです」


 暇してる聖女の相手で時間を使い切ってしまったようだ。


「ああでも、リークル聖女からいろいろ聞けましたよ。兵士主導の魔物討伐隊すけど、冒険者にも参加依頼があったそうです」

「へぇ、それじゃあ日程とかも決まってるのかな?」

「三日後から数日かけて行うらしいす」

「それなら、その討伐が終わるまでは大人しくした方が良さそうだね」

「それで生活は大丈夫なのかよ?」


 大丈夫じゃない?


「はっはっは、僕が居る限り飢えることは無いよ。大船に乗ったつもりでいたまえよー」

「確かに旦那は頼りになるが、病弱で寝込むという欠点があるからなぁ」

「あー、そういえば、そろそろ寝込む予定あるしね」

「予定済みかよ!?」


 体調チェックは毎朝【解析】でやってるからね。

 気温の変化で最近は弱り気味。ぼちぼち熱出すよー。


「実はさ、前に猪狩ったとき、かなり儲けたんだよね。だから結構貯金があるの」

「ああ、ヴァンダーボアは金になりましたよね」

「は? 旦那、いつの間にそんな大物倒してたんだ?」


 え? 知らなかったの?

 ……言われてみれば団長にしか話していない。したっぱ君も話してなかったようだね。


「旦那ってそんなに強かったのか……」

「副団長が一番強い盗賊団か……いや、前から分かってたけど」

「でも、旦那は団長に勝てないだろ?」

「なるほど、それなら問題ないのか。団長最強だな」


 確かに、武力だけが強さじゃないからね。団長には強力なバストがある。あれは異次元の代物だ。僕の次元では敵わない。


「じゃなくて、話を逸らさないでよ」

「ああ悪い、貯金の話だったか」

「そうそう。まだ余裕あるからへーきへーき。というわけで今日は多めに食料も買ったし、しばらくミルピィ様は休業するから」

「まあ、うちの団にとって旦那が重い病気になるのが一番ヤバいからな。体調が優れないなら気にせず休んでくれ」


 そうさせてもらうよ。

 ふう、これで今日の仕事も終わり。疲れたな。自分の足で帰ったからだいぶ汗もかいた。


 話が終わったから部屋に戻る。その後桶に水を汲んできて、いざ行水。

 あっつい身体に気持ちいい。


 髪まで丁寧に洗ったら着替えをして、ベッドにダイブ。

 ……? 筋肉痛になる程動いてないけど何だか関節痛。暑かったのに今度は寒気が。解析解析……うわ、やっぱ熱ある。


 結構ギリギリだったみたい。でもまあ、やることは全部やった。

 寝込むのも折り込み済みだから、大丈夫。


「旦那ー、魔物が出たから頼むって団長がー!」


 そういえば、最近魔物が多いらしいですね。

 部屋をノックしながら呼ばれ、重くなってきた身体を引きずって部屋を出る。おっと、仮面と幻術は忘れずに。今はパジャマだからね。


 アジトの外に出ると、団長が待機していた。


「来たわね。すぐそこで小さな群れが集まってるの。悪いけど頼める?」

「んー、任せてー。団長が看病してくれる権利でいいよー」

「看病って……あ、もしかして体調悪いの?」

「数日寝込むコース」

「体調悪いのなら、魔物の相手は私がやるわよ」

「それは駄目。団長はアジトを守っていないと」


 団長に魔物の居場所を聞いて早速向かう。

 はあ、はぁ……あー、息が乱れる。手元が狂うとマズイし、"錯誤惑う感覚"で体調を誤魔化しておこう。


 目標発見。

 またもやコボルトの群れ。


 手ぶらで来てしまったので転送テレポートでマジックアイテムのナイフを呼び出す。

 上に放り投げて、タイミングを合わせ念動テレキネシスで手元に引き寄せる。その間にいるコボルトにナイフぐさー。

 転送テレポートで手元に呼び戻したナイフで同じことを繰り返す。


 途中でこっちに気が付いたコボルトが向かってきて焦ったけど、幻術とナイフで対処できた。いや、最初から幻術を用意しておけば焦ることもなかったんだけどね。熱のせいかボケてた。

 よし、終わり。帰って寝よう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ