8話
ブックマーク有難うございます!
今日は久々に休日なので、2話投稿しちゃいます。
よろしくお願いしますm(__)m
ガタガタと何台もの馬車が、石畳の街道を抜けていく。
先頭を行く馬車が豪華なせいか、もしくは見るものが見れば王族の物だと解るのか、視線が集中する。
(思っていたより建物が綺麗だ)
城壁の中側は貴族街らしく、建物が大きく綺麗な庭先が見て取れる。
商店も屋台などではなく、きちんとしたお店といった感じの物しかない。
それでも時たま歩いている人々の服装や容姿が、異国を感じさせる。
外敵への対策なのか複雑な道のりを経て、少し小高い位置に王城が見えてきた。
これまで見てきた華美なお屋敷ではなく、堅牢な要塞といった感じだ。
無駄な装飾はなく、かといって無骨すぎない芸術性が見て取れる。
(RPGでよく見るドラキュラ城みたいだな)
海外旅行にも行ったことのない自分には残念な例えしかできない。
しかし時刻は夕方に差し迫っているのか、辺りは薄暗く松明の明かりで照らされる城は、確かに映画などのそれによく似ている。
城門を通り厩舎や兵舎のある場所に馬車を止め、後から来る馬車を待つがなかなか来ない。
(30分はこないだろうなぁ・・・)
先程の一部の生徒達、風見優斗の取り巻きには2グループあり、いつもあんな感じだ。
一条 美香・・・金持ち、本人非公認のファンクラブを作り仕切っている。
成績は常に上位で容姿もいいが、特別というほどでもない。
神崎 詩織・・・ギャル、香水臭い、成績は常に下位。
読者モデルをやっているらしい。
陸上の成績がよく、運動神経は抜群。
この2人を中心とした、2グループの抗争により、他の先生方からは嫌味ばかり言われてきた。
この後国王謁見があるらしいが、問題とか起こさないだろうか?
問題を起こすという点では、他の生徒も似たりよったりだが・・・。
(あれ・・・ここでこいつらが問題起こしたら俺が責任とるのか!?・・・絶対に嫌だ、無理、不可能っ。)
このまま流されては、絶望的な未来しか見えない。
どうにかしなければ、と考えを巡らせる。
(諦めるな、諦めたらそこで・・・)
しかし考えを巡らせるにしても、情報が少なすぎた。
「あかんわ・・・」
ボッと火を点け、紫煙を曇らせる。
・・・
・・
・
日が沈み始め、夕焼け空が見て取れる、地球と同じならばあちら側が西だろうか。
兵士達らしき人物たちが、慌ただしく木箱や、大きな壺のような物を運んでいる。
剣や鎧もあったが、一つの木で作られたケース、その中に置かれている、薄いピンク色の液体の入ったガラス瓶に目が行く。
(あれって・・・ポーションとかかな?魔法だってあるんだし、あってもいいはず。)
毎日何千何百と作った・・・ゲームの中でだけど、その実物があると思うと、興奮する。
木のケースに近寄り、一応兵士に会釈し、1本手に取ってみる。
手に取り西日に照らしてみると、なんとなく呟いていた。
「鑑定・・・」
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錬金アイテム:下級生命回復ポーション
ランク:コモン
飲む又はかけることで対象の生命力を徐々に回復させる。
失った血液や、部位欠損には効果はない。
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>錬金アイテムの鑑定に成功しました。
>異界の錬金術に新たなレシピを獲得しました。
>新たなレシピを確認しますか?Y/N
「はっっ?」
唐突に頭の中に現れる情報、その後流れる機械的な音声に、思わず声を漏らす。
手から滑り落ちたポーションは割れることはなかったが、兵士に睨まれた。
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