SS タンパンボーイズ ②
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次は月曜に更新します。
王都の近くにダンジョンができた。
そんな話を聞きつけた彼らはひた走っていた。
「はぁっはああ!はぁ・・・っは・・・!」
「無理に声ださなくていいよ、大悟。」
「死ぬぞぉ〜。」
「陸上死(笑)」
これからダンジョン。
それも氾濫し魔物が溢れでている場所に向かおうというのに、彼らの足取りは軽い。
そもそも膝丈よりも短いズボン、上はジャケットやタンクトップにベストとバラバラだが。
とても魔物討伐にいく恰好ではない。
「はぁ・・・それに元からダンジョンは在ったらしいから一番のりじゃないわよ。」
「はぁ!?マジカよぉおお!」
オカッパ頭の女の子の発言に、天を仰ぐ馬鹿。
辺りは暗く、満天の星空が見えた。
「・・・でも、新しいダンジョンが出現してしまったみたいだよ・・・?」
大人し気な声、黒髪のポニーテールが揺れ、年齢に不釣り合いな胸元もブルンブルンと揺れていた。
「おぉぉ!そっち行こうぜ!!」
ダンジョンは一番乗りじゃなきゃ美味くねぇ! そんな叫びを上げながら速度を上げる。
彼らの足取りは軽い。軽装だからという意味ではなく、先頭を走る少年の能力によって。
「前のほうになんかいっぱいいるぜ!大悟!!」
「おっけえええ!優香は水瀬の護衛な!水瀬っ明かりよろしくぅ!!!」
走りながら指示を出す、アイテムボックスから一瞬で幅広の剣を取り出した。
「・・・エンチャントライト!」
走行しながらの魔術の行使は難しい。魔力制御に失敗すれば、魔力を無駄にするか、最悪は魔力暴発を起こす。
そんな危険な詠唱を難なくこなす少女。前を走る男の子4人が光に包まれ発光する。
「・・・アンデット系が出るらしいから、光属性付与にしておいたよ・・・」
「さっすが!愛してるぜぇ!!」
唐突な愛の告白。自身の名前、水瀬 愛を彼はモジっているだけなのだが、思わず、頬が赤くなる。
「「「ヒューーーー!!」」」
「ほら!来るわよっ馬鹿共!!」
ギン! 岡本大悟の振る剣に何かが当たる音がした。
「弓!オーラこのまま!遠距離ユニットから制圧するぞぉおお!!」
「わかった!」
「ほい」
「ウイ」
A、B、Cもそれぞれアイテムボックスから武器を取り出す。
少し体格のいい少年Aは大剣、ノリの軽い少年Bは槍斧、笑い上戸な少年Cは両手剣。
どれも扱い辛い大型武器。
だが自身の背丈以上のソレを難なく振り回す少年達。
「ほんとデタラメね。」
「アワワ・・・。」
迫りくるスケルトンやゾンビ。それをなぎ倒す少年達についていく。
・・・
・・
・
30はいたであろう魔物の集団を簡単に圧倒する少年達。
すでにその実力はDランクでは到底及ばない。
「死体が残らないのは楽でいいな。」
「だなぁ。しかしこの石うれんのかね?」
「魔石だろ!魔石!」
どうせ解体せずロビーでぶちまける癖にと、楽し気な少年達を見つめるオカッパ少女。
「うひいいいいぁぁああ!」
ドロップアイテムである赤い石を拾わず、一人、紫色の液体の入った瓶を呷る少年。
「UUUURRRRYYYAA!!!」
頭を抱えた両手の肘が地面についた、失意体前屈の姿勢である。
「ほら、次はどうすんのよ、リーダー。」
そういって悶える男の上がった尻を蹴るオカッパ少女。
「うぐぅ・・・誰だこんな物つくったやつは・・・」
「・・・」
涙目な少年を見て、絶対に飲まないと誓うポニテ少女。
「で?いつまで隠れてんの?」
唐突に岩陰に向かってそんな声を掛けるリーダー。
「気づいてたのか。」
そう言って姿を現したのは、黒っぽい上下の服、布で頭を覆い防具は革のベルトで足や手足を巻いているくらい。
冒険者にしては軽装だ。少年達よりはマシではあるが。
短剣を腰につけているが抜くことはせず、近寄ってきた。
「冒険者ギルドの依頼で斥候として来ている。」
依頼とは言ったが冒険者とは言っていない。雰囲気も違う物を感じる。
こんな場所に一人で来るぐらいだ、相当な実力者なのだろう。
こちらが身構えても、なんら気負った様子はなく淡々と告げる。
「大人しく帰った方がいいぞ。」
危害を加えるつもりはない、ただの忠告。ダンジョンはなにが起こるかわからない危険な場所だ。
碌な装備もしない子供だけで行く場所でない。
「一人占めするきだな?」
「・・・なに?」
少年達を心配して助言したつもりだったが、返ってきた答えは予想外だった。
「ダンジョンのお宝を一人占めするつもりなんだろ!分かってるぜぇ!!俺たちもそのつもりだからなぁあああ!!!」
グワン!と急に体重が何倍にもなったように重く、膝をついてしまう。
「行くぞぉ!!!」
「「「おう!」」」
ダッダダダッ! ダンジョンがあるであろう方向へ走り出した少年達。
「ちょっとぉ!?」
「アワワ・・・」
後を追う少女達。
膝についた土を払い、地に膝を付けさせられるなんて、いつ以来だろうかと立ち上がる。
「・・・変な恰好の奴らだったな。」
どこか楽し気に呟き、子供たちが向かった方角へと走り始めた。
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