51話
今日は2話とSS1話予定です。
「申し遅れました。イーナ・アルドールと申します。派閥『生命と星の調和』の幹部の一人ですわ。」
そう言って挨拶してきたのは赤髪の女。しょうがないのでこちらも挨拶し返す。
「ツトムですか。私のことはイーナ様でかまいませんわ。」
「・・・」
俺は呼び捨てでそっちは・・・様付け?
訳が分からないよ、ここは異世・・・異世界だった。
カルチャーショックを受けつつ、錬金術師ギルドから郊外へ向け、しばらく歩けば目的地についたらしい。
錬金術師ギルドの敷地以上の広い敷地、煙突付きの石造りの建物が立ち並ぶ、どちらかといえばアーロンの素材屋のような倉庫に作りが似ている。
「研究に実験はつきものですから、なかなか町中に拠を構えるのは大変なんですのよ。」
多少、中心から外れているとはいえこれだけの敷地だ。
やはり相当儲かっているんだろう。
その中で白塗りの木造2階建ての建物へ入っていく。
他の建物とは違う印象を受けるここは、来客用って所か。
そちらへ、そう言ってソファに座るように促され、飲み物が来る前に話始めた。
「単刀直入に聞きますが、こちらを作ったのはあなたですね?」
コトリ、テーブルの上に置かれる、ピンク色の液体の入った瓶。
「さぁ?どうでしょうか・・・。見ただけでは判りませんね。」
実際問題、鑑定するまで判らなかったし・・・。
「調べはついていますから、とぼけても無駄ですわよ。」
赤茶色の瞳が大きくなり、ギラギラと好奇心に満ちている。
ミレアの碧眼もこちらを伺っている・・・。
(嘘で誤魔化した方がいいのか・・・?)
適当な話をでっちあげてもすぐにバレるだろう、勿論本当のことは言えないんだが。
「それで、それを作ったと言ったらどうなるんです?」
「私の派閥に入って頂きますわ。」
「・・・」
光栄でしょ?と言わんばかりに控えめな胸を張る。
この世界の錬金術師の派閥に入るには、紹介状や仲介料を取られる。
この派閥が有名なところであれば仲介料も高いだろうし、入るのも難しいのかもしれないな。
「結構です。」
まぁ俺にはなんの魅力も感じないのだが。
「なんでですの!?」
木造の部屋に甲高い声が響いていた。
その後さっさと帰ろうとしたのだが、研究施設を見ていけとうるさいので見学している。
「製造方法などを見せるわけにはいきませんから、私の個人施設ですが。」
そういって案内されたのは研究室というより、私室部屋、生活感に溢れていた・・・。
本や書類は散乱し、ベットには衣類が脱ぎ散らかしてあった。下着は赤で揃えているらしい。
「このように、幹部になれば個人施設も持てますわ。」
片づけられない女性の典型なのだろうか。
とはいえ、部屋に置かれる機材は興味深く、魔女が使うような大きな鍋や、棚には白い壺がづらりと並び、人の顔の形をした根っこがぶら下げられている。
(錬金部屋というより、魔女部屋だな。)
その中の一つ、水晶のような魔石にも近い、綺麗にカットされたソレに目が行く。
「エンチャントストーンですわ。それに興味を示すとは、さすが『深淵の錬金術師』の後継者といったところかしら。」
また・・・なんだよその中二臭い二つ名。
「『深淵の錬金術師』って何?」
「知らないのですか?ギルドマスターのことですよ。『深淵の錬金術師』フラット・マシュトワルドと言えば大陸でも1,2を争う錬金術の使い手ですわよ。」
あのエロ爺が?訝しむ顔をしていたのか補足してくれる。
「若かりし頃は自らダンジョンに潜り、新しい素材を発見し様々なレシピを考案した人物です。魔術の腕前も相当なものだと聞き及んでおりますわ。」
たしかにすばしっこい爺さんだったが・・・。
「その発見した一つがエンチャントストーンと呼ばれる特殊な鉱石ですわね。未だ研究もあまり進んでおりませんが。」
そう言って、紫色の不思議な力を感じる石を手に持ち見つめている。
「でもなんで後継者?」
そんなことを言われるようなことは何もしていないが・・・。
「帽子ですわ。儂の後継者にならくれてやってもよい、と言ってましたので。」
またあの帽子か。さっきも危うく死にかけたし、呪われてるんじゃないのか!?
お読み頂き有難うございます。




