34話
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食事を終え、宿屋の簡素な部屋へ帰ってきた。
机の上に硬貨を並べる。金貨207枚小金貨6枚銀貨20枚銅貨30枚鉄貨5枚で20,783,050コルト。
今後の目標はこれを生かして、スキルのレベルを上げ、さらにオークション用の資金も増やすこと。
「ゲームならレベ上げ優先なんだが・・・」
イベントが増えたり、装備できるものが増えるわけでもないしなぁ、と硬貨を【インベントリ】へと仕舞い、瓶に水を詰める。
「面倒だな・・・水このまま入れられるか?」
水差しから水を流し、そのままインベントリへと入れていく。
これはイイと、水差しの魔石が使えなくなるまで水を確保した。
『錬成!』
淡く光り下級ポーションが姿を現す。
「さてまた寝落ちまでやるか・・・」
魔力枯渇により意識を失うまで、淡い光の発光は続いた。
・・・
・・
・
夜の帳が落ち、完全な暗闇が辺りを覆いつくしていた。
ツトム達の泊まる宿の外で、猫耳の飛び出したフードを被った人物が一人、溜息を吐いていた。
「マズったニャ・・・、あの従者完全こっち側ニャァ・・・」
自身と同じ裏の人間、任務の遂行のためなら手段は選ばない。
盗賊ギルド所属ガニロワ、それが今の彼女の名前。
盗賊といっても、調査任務がほとんど、たまにこうしてギルドには頼めない依頼もくるが。
「なにが、帽子盗ってくるだけの簡単な任務ニャ・・・、あんなのがいるなんて聞いてないニャア。」
錬金術師ギルドの依頼は金払いはいいが、毎回何か落とし穴がある、もう絶対受けないと決心する。
だが受けた以上は任務は遂行せねばならない、さてどうしたものかとズボンから出ている尻尾をクネらせる。
『ネコ』
そんな声を不意に後ろから掛けられる、全身の毛が逆立ち、尻尾はピンと張り臨戦態勢に入る。
誰にも負けない俊敏性で振り返りつつバックステップするが。
「ギニャ・・・」
首を喉輪され、壁へと叩きつけられる。
月明りに照らされる銀髪、顔はよくわからないが、青い瞳だけがよく見えた。
死を覚悟するには十分なほど、その瞳には熱がなかった。
・・・
・・
・
「それで・・・それは?」
朝、気絶から覚め朝食へと階段を降りていくと、二人の傍に正座して食事しているデカイネコがいた。
「ポチです。」
ペットです。と委員長がほざくが、それネコっぽいけどポチなのか。
「ポチですにゃ・・・ワン、捨てないでくださいにゃ・・ワン!」
訳が分からない、猫耳に尻尾、それに全身も毛がありふさふさである。
「・・・飼ってもいいけど、世話は自分でしろよ?」
もうめんどくさいので、丸投げである。
食事をしながら事情を聞いた。
「任務に失敗したら高い違約金を払わないといけないワン、払えないと奴隷落ちワン!」
だからといってペットも奴隷みたいなものじゃ・・・。
「ペットになって取る隙を窺っている、ということにするにゃ・・・ワン!」
ミレアのほうを窺い、ビクビクしているポチ。
「まぁ二人がそれでいいなら、俺はなんでもいいけど・・・」
そんなので誤魔化されるのだろうか?・・・いや絶対無理だろう。
ご飯に魚と異世界らしくない朝食を摂り、宿を後にする。ちみなみに味噌汁は無かった。
石畳の路地を歩き、素材屋を目指す途中。
「本日のご予定はどうされるのですか?」
ミレアから質問されるが答えに困る。
能力のことを話す訳にはいかないが、昨日の今日で素材を使い果たしたなど、言って大丈夫だろうか?
「まずは素材屋かな。その後奴隷商館に薬をやりにいきたいんだけど。」
「畏まりました。」
二日連続でも、特に何も言われなかった。まぁ使い果たしたとは思わないか。
「洋服とか見に行きたいです。」
珍しく、委員長が女の子らしいことを言ってきた。
「あぁ、着替えも欲しいよな。」
王城を出るときにいくつか貰ってきたが、せっかく収納系のスキルがあるんだし色々持っててもいいだろう。
「ポチに着せるやつです。」
キラキラした瞳でポチを見詰める委員長。動物好きらしい。
ポチは130cm程で黒のズボンにヘソだしの短いシャツ見たいのを着ている、ヘソは毛で判らないんだけど。
「ニャ!ウチに買ってくれるのニャ?」
「ワンでしょう?」
表情を変えないミレアだが、声が怖いよ!?
「ワン!ワワン!!」
悲しい遠吠えが朝の街並みに消えていく・・・。
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