33話
本日2話目です、ご注意ください。
篝火が焚かれ始め、人々の喧噪が絶えない雑踏を歩いていく。
「高橋先生。お風呂にいきませんか?」
黒のとんがり帽子を被る委員長が提案してくる。
「大浴場があるんだっけ?」
「王城の物とは違いますが、公衆浴場が御座います。」
混浴ですか?とは聞けず、この3日濡らした布で体を拭いただけだったので、拒否するわけがない。
・・・
・・
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錬金術師ギルドの一室で、テッペンハゲで白髪の長髪、帽子が無いせいでイマイチなちょび鬚の老人が怒鳴っていた。
「ぐぬぬ!あの小僧ふざけおって・・・!儂を誰だと思ってぇ!」
「自業自得です。ギルドマスター。」
ギルドマスターと呼ばれた老人―フラット・マシュトワルドは、青筋を浮かべながら先程出ていった男の資料を見ていた。
「ふん、ジョブは持っとるようじゃが、スキルすら持っとらんではないか!しかもLv2?ふざけおってぇえ!」
個人の情報をベラベラ大声で喋るギルドマスターに、侮蔑の視線を向ける青年。
錬金術師でありギルド職員でもあるため、この老人の尻ぬぐいをさせられてきた故しかたない。
「一般人に手を出したらいけませんよ。」
新人にちょっかいを出すのはいつものこと。
たまに一般人にも手を出すが、金の力でギルドの名に傷がつかないように揉み消してきた。
「あれは儂のお気に入りじゃぞ!?一体いくらしたと思っとるんじゃ!」
自分のせいだというのに、この老人ときたら・・・。
「では、どうしますか?除名でもしますか?」
ギルドマスターの権限を使えばたやすい。
「阿呆。そんなことできるかい・・・。」
普通ならばだ。あの印を持っていた従者がいてはマズイと、それくらいの判断はつくらしい。
「各派閥に連絡し入門は断らせろ、それにガニロワに帽子を回収させい。」
「・・・はぁ、畏まりました。」
本当にわかっているのか、まぁ何かあったら責任取らせればいいかと、仕事に掛かる。
・・・
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石造りの大きな建物、プールの様な大きな風呂にどこからか陽気な音楽も聞こえてくる。
「安いのに豪勢だねぇ・・・」
入場料は3銅貨と手ごろな値段か、一般家庭じゃ毎日入るのは厳しいかもしれない。
まぁ残念ながら混浴ではなかったが。
茶色っぽい石鹸は泡立ちが悪く、なんだか臭かった。
シャンプーとリンスは持っていたので鑑定しておく。
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異界のアイテム:異界の洗髪剤
ランク:ユニーク
髪を洗うことに特化した洗剤。
いい匂いがする。
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異界のアイテム:異界の髪柔軟剤
ランク:ユニーク
髪のための化粧。
いい匂いがする。
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なんだか適当な説明文だが、気にしたら負けだ。
「高橋先生。シャンプーとか貸してください。」
女湯のほうからそんな声が聞こえる、しょうがないので放り投げる。
昭和のドラマのようなやり取りを終え、外で一杯飲みながら出てくるのを待つことに。
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月明りの下、艶やかな銀髪を肩に回すポニースタイル、僅かに上気し赤らむ頬、濡れた前髪の隙間から見える碧眼がこちらを見る。
「先生。有難うございました。」
湯上りのミレアに見とれていると、委員長が放り投げてきた。
「おう・・・」
メイド兼護衛、それに監視でもあるのだろう。まぁ俺も彼女の双丘を監視してばかりだが・・・。
「シャンプーとリンスというのは素晴らしいです。」
珍しく表情が解りやすい、よほど気に入ったのか。これは量産するしかあるまい。
人々の行き交う街道を歩き、今日の夕飯は何にするか話し合っていると。
「どうした?」
「・・・いえ。問題ありません。」
ミレアが立ち止まり後ろを見詰めていた。
僅かな篝火の明かりと、月明りでは遠くを見渡すなど不可能だ。
そういえば、眼鏡壊れたままだった。
『・・・』
闇に紛れ、遠ざかる人物がいるなど分かるわけもない。
お読み頂き有難うございます。




