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SS バスガイドと少年 ②

本日3話目です、ご注意ください。

深い森の中、石の道だけを頼りに進む二人。


「喉がカラカラ・・・」


「・・・」


精神的な疲労もあり、体力も底を突き始めている。


(野営できそうな場所を探したほうがいいかもしれない)


辺りは薄暗く、じきに夜が訪れる。


『動くな!』


不意に掛けられる怒声。


友好的ではないその声に、バッと身構える。


「な、なに!?」


辺りを見渡すが誰もおらず、森に反響するように声が聞こえてくる。


『貴様らは何者だ?どこから来た!?』


「どこにいるの!?」


アズサの問いかけで、なぜかこちらに向けられていた殺意が少し和らいだ。


少しの間を置き、3人の男女が音もなく木の上から姿を見せた。



「お前たちどこの氏族だ?どこから迷い込んだ・・・本当にエルフか?」


話しかけてきた男は、非常に美形で、痩せているが筋肉はしっかりとつき、無駄な贅肉が一切ないといった感じだ。


弓や短剣を持っているが、自分が気になったのはやはり長耳か。


(エルフって言ったし・・・この人たちやっぱり・・・)


「エルフ?よく分からないけど助けてほしいの!」


相手は表情を崩し、なにやら話あっている。


「どうする?」


「見た目もエルフではないな。」


「・・・助ける」


見た目は少女な緑の瞳に金髪ロングの言葉に、他の二人は決めかねている様子だ。



「なぜそんなにエルフ語を喋れる?」


「エルフ語?日本語しゃべってるけど・・・」


「ニホン語?」


こちらが武装などはしていないせいか、それほど警戒の色は強くない気がする。


「スキルの影響。」


「そっちの小僧も喋れるのか、というか何か知ってそうだな?」


頼れるのはこの人達しかいない、なので自分の考えを話してみた。


エルフよりもアズサが一番驚いたような顔をしていた。


「異世界からの召喚か、たしかに勇者召喚は異世界から呼ぶらしいな。」


「ではお前は勇者なのか?」


3人の内基本的に話すのは、金茶色の髪でオールバックにしている男、勇者に反応したのは金髪ロングの男。


「いや、違うと思う。巻き込まれただけ・・・」


「そうか・・・、とはいえ助けるべきだろう。」


どこか警戒の色が強かった金髪ロングの男も、助けてくれるようだ。勇者の力は偉大らしい。


エルフ3人に連れられ、森を歩いていく。


「遺跡の盗掘者かと思ったのでな、排除しにきた。」


危うく排除されるところだったようだ。


こちらから自己紹介をすれば、相手も返してくれた。


「私はアーサーだ」


「シーク」


「・・・リア」


シークとリアは兄弟らしく、どことなく顔立ちが似ている気がする。


前方を歩いていたシークが止まり、警戒をあらわにする。


「くるぞ」


ドオォン!と巨体が木の上から降りてきた。


『ガルアアア!』


咆哮を上げ胸を叩く、ドラミングと呼ばれる威嚇動作。


水辺で見かけた4つ腕のゴリラ。


「モウルか・・・」


ドラミングしたまま残りの手足で突っ込んでくるモウルと呼ばれた4つ腕のゴリラ。


「キャアアア!」


アズサは悲鳴を上げたままへたり込んでしまった。


空気の震えに中てられ体の芯から震えがくる、高速で突っ込んでくる3メートル近い巨体。


『風の精霊よ、我が敵を打ち抜く必中の矢となせ。』


先程までボソボソと喋っていたリアが流暢に呪文を唱える。リアの周りに風が集まり、金の髪がなびく。


『ウインドアロー!』


何本もの風の矢がモウルに激突し、その勢いを弱める。


ヒュン!とシークの放った矢がモウルの目を射抜く。


『ギアア!』


刺さった矢を掴み上を向き抜こうとするが、その隙だらけの首をアーサーが切り裂く。


『ガ・・・グ・・・』


(すげぇ・・・!)


一瞬にしてモウルと呼ばれた怪物を討伐してしまった。



 「今夜は御馳走だな。」


 「あぁ」


首を掻っ切られ、鬼の形相を浮かべるモウルの前でそんなことを言っている男エルフ二人。


腰を抜かしているアズサに手を貸して上げる。


「ありがと・・・」


相当参っているのか、顔が青い。


「それ食べれるの?」


「うむ、見た目は悪いが美味いぞ?丸焼きにして食べるのさ。」


エルフなのか、蛮族なのか判らないな。


逆さに吊るし、腹を開き内臓を取り出している。


「う・・・」


「・・・」


アズサは吐きそう、僕も吐きそう。


リアは石を集め囲み、木をいれただけの簡単なかまどを作っていた。


『火の精霊よ、小さな息吹となれ。』

  

ボッっと火が点き、かまどに火が点る。


 薄くスライスした心臓を、平べったい石を焼いただけの即席フライパンへと移す。


ジュウウと音をたて香ばしい香が漂う。


ゴクリと喉がなり、唾液が口に溢れる。


取れたての新鮮な心臓の石焼き、どんなゲテモノ料理なのか、猟師料理というべきか。


エルフ達は他の内臓を焼いて食べてる。豆とかキノコとかを食べる、草食なイメージが崩れ去る。


「この森では塩分を摂るのが大変なんだ。」


よく解らないが、内臓は塩分が含まれてるんだっけ・・・。


 心臓を食べてみればコリコリした食感は悪くない、血の匂いが少し苦手だが一口食べれば力が漲る。


全身の血行がよくなったかのように、体がポカポカしてきた。


「意外とイケるわね。」


「モウルの心臓は滋養強壮にすぐれている。食べたら出発しよう。」


辺りはもう完全に暗いのだが・・・どうやら野宿するのは夜の森を歩くより危険らしい。


石の道を辿り、エルフの集落へと急ぎ移動していく。



「着いたぞ。」


そう言われて、辺りを見渡すが、蔓に巻かれた石像のような物しかない。


「上だ」


シークの声に反応して上を見ると、思わず息を飲んだ。


「わぁ・・・」


幹が太く背の高い木の上には、ツリーハウスが立ち並び、木の橋が架けれられていた。


(エルフっぽい!)


僕の中のエルフ像が僅かに残り、安堵した。














お読み頂き有難うございます。


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