30話
ブックマーク有難うございます!
一部残酷な表現があります。
苦手な方はご注意ください。
今日は2話+ss1話UP予定です。
まだss書き終わってないのであくまで予定です・・・!
『合成』なんてことをせずとも、素材集めて錬成すれば?と思うかもしれないが、【異界の錬金術】のレベルが足らない。
雑貨屋で見かけたので鑑定しておいたのだが、レベルが足らずレシピが灰色で見ることができない。
なのでこの調子で上級生命回復ポーションを作るつもりだ。
上級ポーションは未だレシピが解明されておらず、ダンジョン産のみと希少なんだとか。
3つだと結構失敗するので、4つで作成する、体感7割くらいの成功率だ。
38個使って6個の中級が出来た、次はこれを使って上級を作る。
中級生命回復ポーションを床に3つ並べ呪文を唱える。
『合成!』
>レベル不足の為合成に失敗しました。
呪文を唱えたが素材が光ることすらなく、手に集めた魔力も離散した。
「まじか・・・」
壊れた獣戦士を安く手に入れて、上級ポーションで直し忠誠心UP計画が、開始前に頓挫した。
公共トイレから出てトボトボと二人の下へ近づく。
「どうしたんですか?お腹でも壊しましたか。」
「いや、なんでもないよ・・・」
計画は失敗したが、とりあえず行ってみる、ひょっとしたら中級でも十分な壊れ具合かもしれないし。
広場から更に歩き、若干行き交う人の種類が変わってきた。
もっといえば露出の高い女性や強面の男性、冒険者か傭兵かといった感じである。
「こっちのほうってひょっとして・・・」
「こちらは歓楽街へと続く道です。」
まだ日中なのでそれほどでもありません、と付け加えられた。
「奴隷商館にいくにはこの道を通るほうが近いです。」
委員長の教育上よくないが、まぁ仕方ないな。
とりあえずここは後でくるとして、今は奴隷商館へと急ぐ。
木造の建物が多く、時代劇にでてくるような檻に女性が入れられ、歩く人へと声を掛けている。
ミレアと委員長を連れているせいか、ほとんど声を掛けられず通れた。
決して俺がモテないからではないと信じたい。
「こちらが、奴隷商館です。」
そう言って案内されたのは、大きな屋敷だ、2階建てで洋館といった感じ。
厳つい護衛が二人、扉の前で守護している。
「入りずらいな・・・」
「さっさと入ってください。高橋先生。」
奴隷商館に行くといってから微妙に委員長の機嫌が悪い。
「いや、そのね、心の準備が・・・」
委員長にせかされ護衛が開けてくれた扉を通る。
中に入れば悪趣味な調度品で飾られ、奇奇怪怪な道具が溢れていた――などということは無く。
これまでで一番清潔感溢れる、白を基調としたシンプルなロビーだった。
「いらっしゃいませ。本日はどういったご用件でしょうか?」
落ち着いた声、その方向を向けばモノクルを着けた老人、いや白髪ではあるがまだまだ現役といった感じの紳士が立っていた。
「あー、奴隷を見せて頂きたくて、来たのですが・・・」
「そうでしたか、当商館の館長を勤めております、ロッドと申します。」
ロッドと名乗った紳士は、慇懃な態度を崩さず丁寧な挨拶を返す。
応接室へと入りソファに腰を掛けロッドの話を聞く。
「どういった奴隷をお探しですか?」
奴隷であろうか、首輪にエプロンドレスを纏った給仕が紅茶を入れてくれる。
どうするか・・・、直接名前を出す?それとも全部見るか?
「えっと、最近入った面白い奴隷とか?」
「・・・面白いですか?」
どんな要求でも答えます、といった顔が崩れ困った表情を作る。
「廃棄奴隷を見せてください。」
淡々とミレアが告げる、てか廃棄奴隷って・・・。
「廃棄ですか・・・。面白い奴隷はおりませんよ?」
「奴隷商人が奴隷の不利益を故意に誘発することは、禁止されています。」
ロッドの眉がピクリと動く、紳士な表情は崩さないがその雰囲気は明らかに異なる。
ミレアさんもひょっとして奴隷商人嫌いなのか?
まぁ好きな人なんていないだろうけど。
「解りました、全てお見せしましょう。ですがよろしいのですか?」
そういってモノクルは委員長のほうを向く。
「私はここに残りますね、興味ありませんし。」
委員長を残し、暗い地下へと降りていく。
1階部分の清潔さとは異なり、どこの地下牢?といった感じ、僅かな明かりが確保されている。
状態の酷さでまとめられているのか、入り口近くの部屋はまだ動く人がいる。
「お願い助けて!嵌められたっ!嵌められたのよ!!」
ガシャンと鉄製の檻を勢いよく打ち付け、怒鳴るような懇願を向けてくる。
見れば体はボロボロで、顔は全体を覆うように包帯をしている。
ついロッドを見てしまうが、彼は苦笑し何も語らない。
どんな地雷が埋まっているか判らないので、俺もスルーを決め込む。
これから見つけようとする人物も、地雷度でいえば上なんだが。
あの白豚伯爵にムカついたからだろうか、それとも単なる哀れみか、あまり自分らしくない行動だったなと思う。
あまりに酷い状態の奴隷が多く、そんなことを考え後悔していた。
奥へと進むごとに動け、喋れる奴隷は減っていく。
そして一番奥の部屋までやってきた。
(これは・・・)
薄暗い地下の部屋、石の床に寝かされる彼の人物は、予想以上に酷い状態だった。
2メート近い鋼鉄の棍棒を振り回した両腕はなく、全身は火傷を負っていた。
ぱっと見ただけでこれだ・・・他にも怪我をしている可能性はある。
「有名な御仁ですが、彼の伯爵の怒りを買いました。・・・どういった御関係なのか存じませんが、覚悟が必要でしょう。」
ロッドの表情は真剣で、その覚悟が何を示すのか考える。
関係なんてないし、引き取ってもすぐに死んでしまうかもしれない、白豚伯爵に睨まれる可能性もある。
とても中級ポーションで治せる状態でもない・・・。
なのにどうしてこんなことを言ったのか、今でも理解できない。
「・・・買います。」
その回答にロッドは不思議と笑みを向けた。
・・・
・・
・
あまりに酷い状態であり、今すぐは動かせないので商館のまともな部屋を一室借りた。
一日5000コルトと市井の宿が3000コルトであることを考えると高いが、ある程度面倒を見てくれるそうなので安いほうだろう。
とりあえず、持っていた中級ポーションを飲ませ、体に振りかけておく。
残りの4本を置いていこうかと思ったが、1本30万コルトはするのだ、購入した奴隷の三倍である。
ロッドが信用できない、というよりすべきではないので自身で足を向けるしかないだろう。
「やっちまったなぁ・・・」
そんなことを呟き、タバコに火を点ける。
ミレアには委員長の所に行ってもらっている、こんな所にあまり一人で居させるのもよくないしな。
中級ポーションの効果か、淡い光が全身を覆っている、治療している箇所が光るようなので全身治療中である。
火傷や骨折などは後4本も中級を使えば治るだろうが・・・。
「フゥゥ・・・。あーもう考えるのやめっ!」
タバコがまずくなるっと、なかば諦め考えることを放棄する。
突然訪れた非日常、偶然得た稀有な能力、探し求めた異世界。
少し調子に乗っていた所に突きつけられる現実。
「帰りてぇ・・・」
元いたなんの刺激もない世界に帰りたい。そんなことを呟いていた。
お読み頂き有難うございます。
合成などの仕様は、徐々に明らかにしていく感じです。




