29話
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下級幸運のポーション、ランクはコモンで、2時間ほどLuc値を20上昇してくれる物だった。
20上がったからといって、ラッキースケベが起こるわけでもなく、大勝できるわけでもなかったが。
「50万プラってとこかな。」
ルーレットで勝負し、買ったり負けたりでトータル6割勝ちといったところ。
「お強いのですね・・・?」
ミレアが若干疑っているような視線を向けてくる、昨日いくら勝ったかは教えていない。
「勝利の女神ぎゃついて・・・」
臭いセリフを言おうとしたら、神が許さなかった。
「先生が胡散臭いのは、いつものことです。」
委員長が辛辣なのは、いつものことです。
昨日のように襲われることはなく、早めにカジノは切り上げた。
カジノから出れば少し日差しが強い、丁度正午くらいか。
「なぁ奴隷商店?ってある?」
急に飛び出した奴隷という言葉に委員長は少し驚いていたが、ミレアはさして気にする様子もなく答える。
「奴隷商館や奴隷市場、それにオークションでも出展されます。」
泊まった宿屋で給仕していた子や、街行く人でもたまに首輪をしていた。
この国では一部を除けば、それほど待遇が悪いわけでもなさそうだ。
「奴隷をお求めですか?」
「ちょっと気になる話を聞いてね。」
というのも先程カジノである人物を見かけたのだが。
・・・
・・
・
眩い照明に照らされる王都賭場にて、煌びやかな衣類に身を包み、デカいだけの趣味の悪い指輪をつけた白豚が、怒りをぶちまけていた。
「ぶぅう!赤!赤くるのよおお!」
カラカラカラと音をたて円形の斜面を回る白い玉。
(うるせーデブだな・・・)
白い玉の勢いは弱まりカッカッと敷居を跳ね、『0』と書かれた場所へ収まった。
「プギイイイ!」
(ざまぁあ)
と思いつつ自身も外したので、微妙な気分だ。
「本当にツイてないないよぉ・・・、それもこれも全部あいつのせいだぉ!!」
激高する白豚を置き去りに、ディーラーが次のベット開始のベルを鳴らす。
「ブヒィ!今度こそ赤がくるよぉ!!」
(うぜ・・・黒フラグいただきますた。)
白豚とは逆の黒へと全員がベット、別にプレイヤー同士で戦う競技ではないのだが。
カラカラカラとボールが静かに音をたてながら回る。
「グレイドの田舎者が調子に乗りおってぇ・・・、クッヒヒヒ今に見ておれよ!」
どんだけフラグだすのよと思いつつ、玉の行方を追う。
委員長はモンスターレースがお気に召した様子で、ミレアはそれに就いていてくれてる。
カッカッと跳ね不規則に玉が動く、入ったのは赤!だけど零れるように隣の黒へと吸い込まれた。
「ブヒイイイイ!」
(ざまぁあ!)
別に恨みなんてないんだが、人の不幸は蜜の味である。
「ほんとついてないよぉ・・・、もう帰るぉ・・・新しい奴隷買って憂さ晴らしよぉ。」
どうやら本物のクズようである、連れていた護衛を連れて出ていく。
「アルドアの馬鹿はもう壊れちゃったし、新しい玩具も買うよぉ!」
最後に気になる一言を残し、白豚ことブロイ伯爵は賭場を後にした。
・
・・
・・・
「まぁそんな感じで、掘り出し物が見つかるかも。」
我ながら酷いが、結果は変わらない、試して見たいこともあるし。
壊れた玩具はどうするのか、捨てるか押入れの肥やしになるかといったところだろう。
それが人であったなら、奴隷としてうっぱらえば一石二鳥である。
「うーん、相当怪我してて、あまり表には出せないんじゃないかな。」
「・・・となると、ここではなく迷宮都市にある奴隷商館かもしれません。」
あまりに酷い状態の奴隷や、存在自体を消したい曰くつきの場合、肉盾や囮として使われ消されてしまうのだとか。
ただ昨日の今日で運ばれるだろうか?
移動だって大変だ、ある程度荷物はまとめてから運ぶはず。
「じゃ奴隷商館に連れて行ってもらっていいかな?」
歩きながら屋台で軽食を買い、近くにあった広場で少し休む。
「しかし広いな・・・、闘技場に賭場、それに最初に行った市場もかなりのモノだったし。」
「結界のおかげです、普通は城壁で覆わなければならないため、ここまで広くなりません。」
城壁の外に勝手に作る場合もあるらしいが、それでもここまではならないとか。
「ちょっと、トイレ」
そういって公共トイレへと駆け込む。
以外なことに中は清潔で、きちんと敷居が建てられている。
臭いもほとんど無い、ただのボットン式なのに不思議だ、スライムでも中で飼っているのか?
奴隷商館に行く前に試したいことがあった。
【異界の錬金術】を起動し青いスクリーンが展開される。
「『合成』のやり方は・・・」
載っていない・・・早期アクセスゲー並みの不親切さである。
【異界の錬金術】元いた世界のゲームに似ている所が多いので、恐らくイメージしたものだとは思うが。
「とりあえずやってみるか。」
ポーションを二つトイレの床へ置く。
『合成!』
>合成に失敗しました。
>素材が失われました。
ポーションは光の粒子となって消えた。
「・・・」
なんだろう、よくゲームのログで見たなと少しほっこりした。
ポーションを3つ並べる。
『合成!』
>合成に成功しました。
ポーション3つが発光し、魔力と混ざり合っていく。
トイレの床の上に1つの瓶が残り、ピンク色の液が満ちていた。
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錬金アイテム:中級生命回復ポーション
ランク:コモン
飲む又はかけることで対象の生命力を徐々に回復させる。
回復量が多く、骨折や失った血液も回復する。
部位欠損には効果はない。
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(よし!)と一人トイレでガッツポーズ。
合成でランクを上げるタイプのモノだったらどうしようかと思ったが、チートのほうで良かった。
お読み頂き有難うございます。




