23話
本日3話目です、ご注意ください。
吹き飛ばされた異国の剣士―アグーシャ、観客席からは今まで一番の歓声が上がる。
そしてゲーム知識と鑑定だよりで、倍率20倍に財産の大半を賭けた男は頭を抱えていた。
「おいおい!にーちゃん、狂獣アムルウに賭けなかったのかよ!ガハハ、とんだにわか野郎だなぁ、はっはっ!!」
後ろにいた歯の欠けた汚いおっさんに嗤われた。
『高橋先生いくら賭けたんですか?』
ヒソヒソと委員長が聞いてきた。
指を1本立てる。
『1万ルクスもですか・・・』
呆れたようにこっちを見てくる。・・・黙っておこう、嘘はついていない。
砂煙に向かい獣戦士―アムルウ・アルドアが走る、止めを刺すつもりのようだ。
煙を巻くようにして、何かが飛び出し獣戦士へと襲い掛かる。
棍棒を盾にし弾く。キンっと音をたて鉄の棒が地面へと落ちる。
砂煙がはれ姿を現す、派手に飛んだように見えたのだが。
どこも怪我をした様子はなく、何事もなかったように立っていた。
『ガァアアア』
またしても咆哮を上げ、棍棒で突きを放つ。
2メートルもの鋼鉄の棍棒による突きに、剣士は臆することなく突っ込んだ。
ように見えたのだが、一歩横にずれ上から思いっきり棍棒の先端を叩きつけた。
フェイントが混ぜられたせいか、獣戦士は何の対応もできず棍棒を落としてしまう。
「ぐうぅ」
手首を抑えるアムルウ、静まる観衆、だがそんな好機を逃すはずはなく、アグーシャによる追撃が加えられる。
『ガァアアアア』
苦しまぎれに咆哮を唱え、拳を振り回すが当たることはなく、膝、手首、首と急所を狙われる。
ついには剣士による連撃により、その巨体は地に伏せることになった。
「は!?」「おいおいまじかよおお」「うあぁ今月の宿代があああ」
闘技場は阿鼻叫喚の渦に巻き込まれた。
口を開け、起こったことが信じられず固まるおっさん。
(ざまぁあ!)
と思いつつも可哀想なので、「どんまい。」とだけ言っておいた。
思った以上に緊張したのか、手がずっと震えている。強化失敗すると消失する+15武器を成功したとき以来だ。
なんとか火を点け、一息つける。
「おめでとうございます、ツトム様。」
そんな言葉を笑顔で掛けてくれるミレア、100万スッたって言ったらどんな顔をしたのだろうか・・・。
「大番狂わせ!大番狂わせだぁぁ!!グレイド男爵の隠し玉、異国の剣士アグーシャの勝利!」
高らかな勝利宣言、それと同時にブロイ伯爵と呼ばれた白豚は顔を真っ赤にしてでていった。
グレイド男爵の爽やかな笑みで今日の闘技場は閉められた。
2000万コルト以上を当てた男も、だらしのない笑顔だった。
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