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SS バスガイドと少年 ① 

本日3話目です。

 ザワザワと、絶えまく風によって揺れる木々の音が続いてる。


人の荒い呼吸が二つ、重なり合うように続いている。


(クソっ・・・ハードモード杉だろ!)


森の中を走る二人の服装は、あまりにも場違いだが、二人を追いかけるアレもまた場違いだろうか。


「はぁ・・・はぁ・・・?」


先程まで二人を追いかけまわしていた、アレによる音がやんだ。


後ろを振り返り、付いてきていない事に気付くとその場にへたり込む。


 慣れない森の中を全力で走り、服は所々破れ傷だらけだ。


「ハァ・・・ハァ・・・さっきのアレ・・・なんだったの!?」


「・・・知らないよ」


被っていた帽子は落ち、汗で化粧が落ち酷い顔をしている女が問うが、ブレザー姿の男の子はそっけない。


バックパックを開け、水筒を取り出しゴクゴクと喉を鳴らす。


「私にも頂戴!」


そういって女は水筒を半ばひったくり、ゴクゴクと喉を鳴らす。


(間接・・・キス。)


思春期男子の心など知ってか知らずか、制服の女は気にした様子はなかった。


制服とはいっても学生の物ではなく、クロのスカートにチェックのベスト、首元にはスカーフを着けている。


 

 喉を潤し落ち着いたのか、乱れた髪をかき上げ、巻いていたスカーフで結んだ。


「どうしようか・・・?」


「知らないよ・・・」


男の子はそっけない。


・・・

・・


 修学旅行初日、バスに乗っていたはずの二人は何処とも知れない森の中で目を覚ました。


ザワザワと木々が騒めき、虫の羽音が聞こえてくる。


「え・・・?」


「な、何これ?・・・どこなのここ!?」


男の子は辺りを見渡し、意外そうな顔をして驚き、女は何が起こったか解らず騒ぎ立てる。


「ねぇ君!何かしらない?ここどこ?」


先程から騒ぎ立てる女に、黙ってほしいという視線を向けるが、気付いてくれることは無い。


(あの光、それにバスの外に見えた魔法陣・・・異世界召喚だよな?)


ゲーム好きで漫画好き、ネット小説も嗜む、クラスでは若干ボッチ気味であるが、イジメなどもなく本人的には苦ではなかったようだ。


(他の皆は?近くにいるのか?)


改めて近くを見渡すがそれらしい人影は無い。


(落ち着け・・・、皆バラバラに飛ばされたか、僕たちだけ違う場所に飛ばされたか・・・)


「ねぇ!・・・ねぇってば!」


思考の渦に囚われていたが、強制的に戻された男の子は不機嫌そうに問う。


「なに?」


「あなた名前は?さっきから聞いてるでしょ!」


今自己紹介が必要か?と思うが、名前を知らないのは不便だと思い答える。


「堀川健人」


「私は岡本梓、アズサさんでいいわよ。」


久々に人に対して感じる負の感情に、発散する方法が解らず抱え込む。


「わかった」


ガサガサと藪が揺れ、獣の鳴き声が遠くで聞こえる。


「静かにここを離れよう・・・」


バスガイド―アズサ―もこくりと頷く。


耳を澄まし辺りを探りながら、川を探し始める。



 遭難したら沢を下れ、と何処かで聞いたことがあったかもしれない。


だがこれは非常に危険な行為だ、滝や鉄砲水など様々要因があるが、現在異世界にて二人が遭遇している危険は切実だ。


先頭を歩いていた健人が手を横に出し、止まるように指示を出す。


「ひ・・・」


思わず零れたその言葉は森の音で消えてくれたのか、気付かれることはなかった。


運よく風下だったのか、沢で水を飲んでいた化け物に気付かれなかった。


ゴリラ・・・ただ腕が4本あった事を除けばだが。


「別の道を探そう・・・」


水の確保も必要、でもあれに見つかったら瞬殺されそうだと判断した。


 慣れない森での行軍は、精神的にも体力的にもすぐ底をついた。


アズサは木を背に腰を落とし動かない、あれだけおしゃべりだったのに静かだ。


化け物を見たせいで、大声をだすリスクを理解したのだろうか。


そんなアズサに、健人は何も言わず体を休める。


『ステータス、ステータス・オープン、情報開示。』


ブツブツと呟く、彼の偏りがちの知識がフル回転している。


「鑑定・・・」


―――――――――――――――――――――――――

Name: 堀川健人

Race:人族

age:13

job:異界の学生

Lv: 1

MP:145/150

Vit:98

Str:95

Int:105

Agi:102

Dex:110

Luc:120

Skill:【アイテムボックスLv1】

Unique:【ラーニング】【異世界言語】


【ラーニング】:異界の学生の固有スキル、スキル又は魔法を見る又は体験することで一定の確率で覚える。

        覚えたスキルはLv1になり、見るより体験するほうが覚える確率が高い。

        固有スキル、種族により獲得できないものもある。

 複合スキル:【獲得経験値2倍】【完全鑑定】       



「おお!」


「えっ、なに!?」


予想外のスキルに驚きと喜びの声を上げてしまった。


ただ現状を打破できそうなスキルが無い。


(ラックの値が高いし、感で進むか・・・?)


自分が幸運だと思ったことは一度もない、なかなか信じることはできないが、他に手だてもない。


「そろそろ、いこう・・・暗くなるとまずい。」


「・・・えぇ、そうね」


自分の感を頼りに進んでいく。



 どれほど歩いたか、あれから不思議と何にも遭遇していない、それに虫の音も少なくなってきた。


途中なってた果実を鑑定し食べる、ちょっと酸っぱいがまぁ食べれる。


「それ食べるの?」


「食べれる・・・」


オリールの実・・・ビー玉ほどのサイズの緑色で、まだ熟してなさそうだが、鑑定では食用とでていた。


幾つか取ってアイテムボックスに入れてみる。


アイテムボックスの容量はスキルレベルと最大魔力量で決まる様だ。


時間経過が緩やかになり、重さも感じない。


「ねぇ今のどこに消えたの?」


アイテムボックスは他人からは見えないようだ、虚空に黒い穴ができるのでそこに入れている。


「アイテムボックス」


「アイテムボックス?」


わっと驚いていたのでどうやら出せたようだ。そういえばと。


「鑑定」


―――――――――――――――――――――――――

Name: 岡本 梓

Race:人族

age:26

job:踊り子

Lv: 1

MP:125

Vit:110

Str:105

Int:95

Agi:108

Dex:99

Luc:80

Skill:【アイテムボックスLv1】【身体強化Lv1】【踊りLv1】

Unique:【異世界言語】



「・・・アズサってダンスとかやってたの?」


「呼び捨て・・・、そうよ?よくわかったわね。」


そういってヒップホップを踊るアズサ、ダンスの授業は嫌いだったな・・・。


(【身体強化Lv1】があるのに、あまりステが高くない?)


ステータスを強化するものではないのだろうか、そんなことを考えつつどーやって【身体強化Lv1】を手に入れるか考える。


そんな時、唐突にピコンと音がした。まさか、と思い「鑑定!」と呟いた。


―――――――――――――――――――――――――

Name: 堀川健人

Race:人族

age:13

job:異界の学生

Lv: 1

MP:130/150

Vit:98

Str:95

Int:105

Agi:102

Dex:110

Luc:120

Skill:【アイテムボックスLv1】【踊りLv1】

Unique:【ラーニング】【異世界言語】



 初めての【ラーニング】は【踊りLv1】だった・・・。



結局その後、ダンス見ていたのだが【身体強化】を覚えることはなかった。


 森の木々の合間から、不思議なものが目につく。


「あれは・・・遺跡かしら?」


「みたいだね」


 かなりの年月が経っているのか一部の建物以外崩れてしまっている。


中央にそびえる遺跡も苔や雑草が目立つ、人の手入れは入ってなさそうだ。


ただ別方向に石の道ができているので、そちらに向かえばひょっとしたら人里へ近づけるかもしれない。


「いこう」


「ええ!」


崩れた遺跡群へと入ってく。


 先ほどまで聞こえていた虫の声も、獣の鳴き声も聞こえない静寂に包まれる。


「不気味ね・・・」


「・・・」


中央にそびえる遺跡へと近づくと・・・ガラガラと石が崩れる音が聞こえる。


でもその音は崩れているのではなく、集まっている。


「やばい・・・走れ!」


「えっ?」


アズサの手を取り走る、僕の伸長は155cmしかない、女性にしては背が高いアズサを引っ張ると、変な感じだ。


『オオオッォォオオ』


瓦礫や岩が集まり、巨大な人型となったゴーレム、その中央には赤い石がはめ込まれていた。


どこから出しているのか解らない咆哮を上げ、突っ込んでくる、ズシンズシンと地面に揺れが、音が森に響いた。


・・・

・・


「あっちに、さっきの遺跡で見たのと同じ道がある」


「いってみましょ。」


 遺跡の守護者の咆哮を聞き、森の侵入者を討伐に出た者達がいることを、二人はまだ知らない。






お読み頂き有難うございます。

※誤字、MPの消費など修正しました。

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