14話
ブックマーク有難うございます!
今日はSS合わせて3話投稿予定です。
1話目です。
夜の帳が下り、街は篝火が使われ、ある程度明りが保たれている。
王城にある一室、魔道具による明かりが点けられ、書類や本など綺麗に並べられている。
その中では三人の人物による、会議が行われていた。
「では、ツトム・タカハシの監視は任せる。他国からの接触には十分警戒しろ。」
「畏まりました、陛下。」
恭しく頭を下げ、部屋を後にする銀髪碧眼巨乳美人メイド。
「・・・あのメイド服は目に毒だな。」
「左様ですな、陛下」
そう言って苦笑するガイラス。
「しかし、行方不明者が2名か・・・どう思う?」
「何らかの原因で別の場所に飛ばされたかと、これ程大人数が召喚されたなど、過去の文献にもありませんので原因は解りかねますが」
その答えに苦い顔をする国王。
「そうか・・・、いかに天職や祝福があっても、未開地に飛ばされていたら厳しいだろうな。」
「現在アスティルの率いる捜索隊が、秘密裏に動いていますが、見つかったという報告はありません。」
魔道具の光に照らされ、窓からは星空が見て取れる部屋の中に、しばしの沈黙が流れる。
「捜索は続行させよ、・・・ただ今は勇者殿の訓練を優先でな。」
「畏まりました。・・・姫様に詰め寄ろうとした男はどうされますか?」
なんら興味のない表情で、机に置かれた書類に目を通す。
「勇者殿が役目を果たすまで、投獄しておけ。」
「ハッ」
短く返事をし、部屋を後にするガイラス。
「本当に面倒だな、異世界人というのは。」
果実酒に少し口をつけ、書類へと向き直る。
・・・
・・
・
案内された部屋は、一人で使うにはかなり広い、寝室にトイレ、簡易キッチンまである。
流石に風呂は無いようだが、メイドに聞いたところ大浴場があるそうだ。
「何か必要な物はございますか?」
扉のそばで石の様に控えていたメイドが、訊ねてきた。
「・・・いえ、特には・・・」
怪しい・・・日本にいた時では、話しかけてくる美人は全員、美人局か保険セールスだと思えと、ネットの友人が言っていたっけ。
「さようですか、何かございましたら、なんなりとお申し付けください。」
「おっ・・・なんでもないです。」
つい欲望を口走りそうになったが、鋼の精神力で持ちこたえる。
ダメだ、このままではペースが乱される。
「あのー、出来れば一人にさせて貰いたいのですが・・・」
「・・・畏まりました。」
よく判らないが、意外そうな顔をして出て行った。
ふぅぅ・・・と紫煙を曇らせる。携帯灰皿が一杯だったのでゴミ箱を探す。
窓の外は暗く、星空が見て取れた。
「月も一つだねぇ・・・」
未だに異世界という実感が湧かない、一つを除けばだが。
「鑑定」
――――――――――――――――――――
異界アイテム:異界の煙草
ランク:ユニーク
異界の植物の葉を乾燥させた物を加工した物。
リラックス効果が有り中毒性がある。
状態異常:薬物依存(小)
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>異界アイテムの鑑定に成功しました。
>異界の錬金術に新たなレシピを獲得しました。
>新たなレシピを確認しますか?Y/N
「・・・禁煙・・・するか。」
何度目か判らない禁煙宣言、だが無駄だろう。
(確認してみますかねぇ・・・)
YESと念じてみる。
>異界の錬金術の初起動を確認。
>対象の記憶メモリよりプラットフォームを最適化します。
>55%
>96%
・
・
・
>最適化が完了しました。
どこのパソコンのアップグレードだよ、とツッコミたくなったがまぁいい・・・。
目の前には本ではなく、青いスクリーンが浮かび上がった。
現在のタブは3つ、『Lv1』『錬金アイテム』『異界アイテム』となっている、そのどれにもNew!と赤い文字でポップがついている。
「どこのゲームだよ・・・」
どこのといえば、最後にはまっていたゲームの生産レシピの画面に似ているか。
異界アイテムのタブをクリックし、タバコを調べる。
異界の煙草:タバコの葉+紙+フィルター(類似品可)
材料を用意し、必要な魔力を溜め、錬成を唱えよう。
「ざっくり!」
異界のアイテムだからだろうかと、錬金アイテムを見てみる。
下級生命回復ポーション:薬草類+水類+瓶(類似品可)
材料を用意し、必要な魔力を溜め、錬成を唱えよう。
「ざぁっっくり!!」
レシピの余りの概括的さに、この世界の錬金術は皆こんなのだろうか?と疑問に思う。
お読み頂き有難うございます。
別作品も投稿中です。
よろしくお願いしますm(__)m
※ガイアス→ガイラス 修正しました。