13話
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精悍な顔つきに、服越しでも解る鍛えられた体、菖蒲色の軍服に肩掛けのマント。
髪は金髪だが、王女のような輝くブロンドではなく、黒に近い落ち着きのある色をしている。
瞳は同じく黒色をしている。
歳は同じくらいか少し年上といったところか、どう見ても国王には見えない。
「確認お願いします。」
そう言って鑑定板を渡す。
「ふむ、ツトム殿でよいかな?なるほど・・・錬金術師か。」
何がなるほどなのか解らないが、自分には日本語にしか見えないそれを確認していく。
「【錬金術】のスキルは持っていないが、ジョブを持っているならすぐに獲得できるだろう。」
こちらを威圧しないように抑えているが、彼から感じる存在感はやはり国王だった。
「この世界ではジョブを持つことは非常に重要だ、スキルの獲得に影響を与えるのでな。」
魔力を感じようと生徒達が騒ぐ中でも、彼の声はよく通る。
「スキルを得た後も、絶え間ぬ努力でレベルを上げる必要があるが、それでも天職や祝福を持つのは羨ましい限りだ。」
そう言った彼の瞳にはとくに、羨望や嫉妬などは微塵も見えない。
「ただ錬金術師というのは、ちょっと厄介でな。錬金術師のギルドに所属して、どこかの師に弟子入りする必要がある。」
どこか面倒そうな、初めて見る感情の見える顔をしていた。
「各ギルドは国に所属せず、個別の組織として成り立っているので、私としても協力するのが難しい。」
ただ「金銭面や紹介状などは都合しよう。」とフォローも欠かさない。
「ご配慮頂き有難うございます。ご確認はよろしいでしょうか?」
相変わらず感情の読めない、完璧な笑みで返された。
「あぁ、問題ない。十分に休んでくれ。」
・・・
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その後、全員の確認が取れるのに少々時間が掛かったが、問題無いと判断された。
「そろそろ皆の部屋も用意できたろう、今日はもう十分に休んでほしい。明日これからのことについて話そう。」
そう言うと、メイドや執事が部屋に入ってきた。
「オォォオ」「お嬢様って呼んでもらえるかな!?」「先生っメイドさんですよ?よかったですね!」
まるで俺がメイド好きみたいではないか・・・、いや嫌いではないけど。
メイド服には様々なタイプがあるが、生徒達についたメイドは、所謂ヴィクトリアンメイドと呼ばれる、公序良俗に乗っ取ったロングスカートで装飾もすくない。
しかし、俺のところに来たメイドさんは、スカートが膝上くらいしかなく、胸元の膨らみと背中が見えている、そしてホワイトブリムとニーソ完備だ。
なにが狙いだ国王よっ、とつい睨んでしまったが、国王は笑みのままで。
「そちらの世界では成人男性のもてなしには、ああいったメイド服が好まれるのだろう?」
誰だそんな、伝統を持ち込んだ奴は・・・。
音もなく忍びより、「本日よりお世話せて頂きます。ミレアと申します。宜しくお願いします、ツトム様。」
そんなことを宣ったメイドさんは、銀髪碧眼の巨乳美女だった・・・。
お読み頂き有難うございます。
まったり進行ですが、よろしくお願いしますm(__)m
まだ少し王城です。