結論5:町を練り歩き、爺さんを捕縛します。
今日はお嬢様は用事があるとかで、暇になった俺は街へ繰り出した。
おや、ここで第一知人発見。爺さんだ。何やらお急ぎのご様子で裏路地に入り込んでいく。
ふむ。なにやら事件の匂い。先回りして捕縛しよう。
そうと決まれば、善は急がば回れじゃっ!!
「おーじーいーさー、んぐへっ……」
衝撃。爺さんが向かった先に向かおうと、路地裏に入りかけたら、ぼろぼろの布切れを身に纏った小柄な人影の頭突きが、俺の腹部へ食い込んだ。
「いたた……あ、ごめんなさいです。大丈夫ですか?」
布切れから隠れて見える透き通った髪は、光を反射させるようにライトグリーンに輝いている。
「大丈夫大丈夫むしろご褒美です、ありがとうございます」
「なにがご褒美じゃゴラァ」
この声は……!
「懐かしの爺さん!」
「毎日のようにお前の顔見てるがな。後、爺さんやめろ」
「おっけー(棒)」
「……そんな事よりその娘を引き渡せ」
おや? 爺さんの様子が……。わざわざ(棒)まで言ったのにツッコミが来ないぞ? これは進化の兆しか?
「わ、私何も悪い事してませんよぉ……」
「そうだぞ爺さん。こんな可愛い娘が罪を犯す訳ないっ!!」
「相変わらず頭のネジ外れているなぁ? そいつはおそらく変装だ」
「変……装……!?」
「あ、あぁ。今、指名手配されている“《偽装》のニャム”が、そのお嬢さんの姿に変装する姿を目撃したという情報があってな」
「変装なの?」
「ち、違うです。ちゃんと本物です」
「ほら、変装じゃないじゃないか」
「言葉を鵜呑みにして何の根拠があるんだよ」
「彼女の真摯な眼差し」
「凄くおどおどしているんだが?」
「それはほら、爺さんの顔が老けているから」
「彼女の挙動不審と俺の顔が老けていることに何の関連性が!? それに老けてねぇし、まだピチピチの二十代だ!!」
「ピ、チ、ピ、チ、(笑)」
「……何が悪い」
「二、十、代、末、期、(笑)」
「勝手に末期とか付けてんじゃねぇ!! (笑)とかもいちいち言わんでもいいんだよ!!」
「ふふっ……あ、すいませんつい」
「さすがだよ爺さん。騎士団員とは思えない程ツッコミ入れてくるね。ぐっじょぶ」
「何がグッジョブだよ!」
「そういう訳でさようなら」
「おう、さっさと去ってくれ……っておい!! 何しれっと彼女を連れて行こうとしているんだ!!」
「しつこい男は嫌われるよ?」
「お前には言われたくないんだが?」
「……どんまい」
「だから連れて行こうとするなって言ってんだよ!!」
爺さんはわがままが過ぎる。まるで子供みたいだ。