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結論3:釈放されても行き場は失われています。

 さってぇ? おかしいなぁ。釈放されたはいいが、やることも行く宛も無い。いっそ監視員、もとい爺さんの家へお泊まりするか?


「今後は……無いように……注意」


 冗談は置いておくとして真面目にどうしようか。文無しニートと変わらないこの現状では、街に出されればその時点で詰む事は目に見えている。ならば────


「金無し職無しの駄目ニートなんで今夜泊めて貰えませんかね?」


 寝床を確保し、尚且つチート能力を確認する時間を稼ぐ。正に────


「ぱーふぇくつっ!!」


「…………?」


 牢屋で、爺さんがぺこぺこ頭下げていたくらいなのだから、それなりに権力は持っているはず。いや、持ってないとおかしい。むしろ持っていて欲しい。


 せっかく異世界なのだから金持ちの家に転がり込むのは当たり前というものだ!! 故に、何としても────


「何を騒いでいるんですか? お嬢」


「カルラ……丁度……いいところ……に」


 茶髪というか、オレンジに近い色の髪をボブに切りそろえ、傭兵のような服装の若い女がこっちに向かってきた。


 うむ。そもそもあれはボブなのか? そもそもボブって何だ? おかっぱじゃないのか? ボブってぼさぼさになっているイメージ。おかっぱよりボブの方が、とあるプロレスラー彷彿させるからいいよね。その人の髪型はボブじゃないけど。まぁどうでもいいか。


「お嬢。この方は?」


 身長は俺と同じくらいだが、同級生というより姐さん的な雰囲気だな。態度も爺さんよりも好感触。


「えっと………………奇声の……人?」


「寄生の人!? ……この方は人では無いのですか? 人に寄生するんですか?」


 お、いいねぇ。人に寄生出来るチートなら色々出来そう。…………特に思いつかねぇな。でもまぁ、やるは一時のなんちゃら、やらぬはなんちゃらのなんちゃらだ。やるしかねぇ!


「ぐぬぬぬぬ…………寄生せよ! はぁっ!!」


 そこら辺を歩く老人に向かって、両手を前に突き出して寄生を試みる。だが何も起きない。


「くっそ失敗したァァァァァァァァ相手は老人なのに失敗したァァァァァァァァ」


 頭を抱え石畳の地面に倒れ込む。


「…………奇声の……人」


「……確かに“きせいのひと”ですね」


「奇声の……人……お家……無い……?」


 お家? …………はははは。


「ははは、金無しです職無しです家無しですつまりニートですね、ははは。身包みはがされたような状態のまま街に一人ぽつんですか。何の説明も無しにポイ捨てですか。神様というのはいいご身分ですね。せめて説明一つくれたっていいんじゃいいですかね。そもそも死んでもないのに転生っていくら望んでいたとしてもいきなり過ぎやしませんかね。転生させるなら転生させるって言っといて欲しかったんですがね。前提として──────」


「……こわ……れた……?」


「……お嬢、早くお家に戻りましょう。この方は……非常に危険です」


 危ない物を見ているような顔つきの女傭兵さん。僕は至って正常だよ?


「はっ!! この感じ……監視員か!!」


 爺さんの気配は察知し、彼女らをおいて人混みを掻き分け行く。そこで探し求めていた、ある一人の男の肩を叩いた。


「なっ、お前」


 この反応……まさか────


「俺に惚れた?」


「ふっざけんなよ!? 脳内お花畑にも程があんぞ!? それに俺はそっち系じゃない!!」


「え? じゃあこっち?」


 振り返るがそこに居るのは見知らぬ老婆。


「あ、こんちわ」


「はい、こんにちわぁ」


「あ、どうもこんにちは……って方向の問題じゃねぇよ!!」


「それより爺さんや。監視の仕事ほっぽりだしよって、何しとんじゃ!!」


「俺の本業は騎士団なんだよ! お前のせいで一時的に監視役やらされていただけだ」


 ふむ、騎士団員なのか。全然そう見えないな。


「お足元の悪い中ご苦労様です」 


「ここ最近快晴のおかげでお足元は絶好調だよっ!!」


 うーん、なるほど。爺さんは性格に難ありですな。

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