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その3
エルス。ティアが力を解放した後の彼のぼんやりとした記憶の中で。
これも改定後にカットしたもの。
五感の全てを消失させた光の中、エルスの意識が徐々に薄れていく。
終わらない落下感はどこまで続くのか――終わるのだろうか。天も地も認識できない平衡感覚の中で、永遠にこのままであってもそれはそれでいいのかもしれない、と思った。
(――ティア――桁違いのエーテル――ひかり――閉鎖街――ティアそのもののような青年――鳥の飛べない蒼――死人の棺――テセウスの船――)
混濁する意識の中で、うっすらとエルスは思い出していた。
ティアの足元に広がっていた陣のようなもの。
――あれは、シルヴェステル・アファナシエフのものだ。