十字のバトル
そう言うと老婆は、めにも止まらぬ早さで十字の前に移動した。はっはやい。
拳を十字のお腹に深くめり込ませた。
十字はうっと嗚咽をもらした。十字が休む間もなく老婆は十字のお腹に連続でひとつきふたつきとどんどん鉄拳をくらわした。十字、血へどはいてるじゃない!大丈夫?
十字はお腹をくの字に曲げてゴホッゴホと咳をした。咳をするたびに血が地面に滴り落ちる。
十字が立ち上がろうとすると老婆が肘で頭を殴った十字は地面に叩きのめされた。
十字私のためにそんなにまでしてくれるなんて。
うざがってた私が馬鹿みたい。十字は私と本当に友達になりたかっただけなのよ。
命をかけてまで私のために戦ってくれている。十字、それが今ボコボコにやられそうになっている。
十字を守らなきゃ!いくら神様とは1度しか戦えないと分かっていても私はやるしかなかった。
ポケットにある式神をとりだしてふっと吹いた。
そこには式神が大男になって現れた。
老婆は十字にダメージをくらわせるために必死だった。
大男は老婆に近づいていきむんずと首根っこをつかんだ。
「なにやってんだい!1度戦った相手とは戦わない、決まりなのに!」
老婆は苦しそうにもがいた。
「そんな決まりしらないわ!私は私のやり方でやるだけ!」
老婆はうっーとうめいて口から泡を吹きはじめた。
「分かった、分かった。呪いはとくねずみも返す、だからこいつをなんとかしてくれ」
「十字の呪いもといてくれる?」私は十字も呪われている事に後ろめたい気持ちがあった。
なにせボコボコになってまで私の呪いを解いてくれようとしたのだから。
「分かった。分かったからこいつをなんとかしてぐで」
老婆は白目になっていった。このままじゃ死んでしまう、いくら神様でも老婆だ、いい気はしない。私は大男を元の紙のに戻した。
「これだから人間はいやなんだよ。ずるいことばかりするから」
そういうとお父さんを置いて老婆はきえてしまった。
そして、なんだか気持ちがスッーとスッキリするような気がした。