警告
「え?」
日頃からよく耳にする音のわりには、それが何かを理解できなかった。
「あぁ、死んだ。」
あまりにも短い音だったせいで、どうにも実体を捉えることができない。
「…これで…」
自分の喉がカラカラに乾いている事に気がついた。今すぐにでも水が飲みたい。
「4人目。」
頭のなかで何かがひっかかる。日頃からよく耳にする音。考えを巡らせるが、あと一歩、その記憶に辿りつけない。
「クソッ!…なんだよこれ…」
何故だろう。疑問がまたたく間に膨れ上がった。意識を瞼に集中させ、力いっぱい目を瞑りその反動で一気に光を取り込んだ。目が見える。焦点を合わせ辺りを見回す。自分の体が地面に対して水平である事を理解する。天井にはレール、そこから垂れ下がる薄い布はカーテンだ。その向こうに人陰が見えた。俺は喉を震わせた。
「おい…ここは…どこだ?」
カーテンの向こうのシルエットが振り向いた。
「今、誰か…」
俺の声に気がついたらしい。もう一度、声を出す。
「…おい…こっちだ…」
2人分の足音が向かってくる。どうやら先ほどから会話をしてたのはこいつらのようだ。カーテンが開くと同時にまた音が鳴った。開かれたカーテンの先には見覚えのある顔が並んでいた。
数秒の間を開け、ようやくそれが意味のある音である事を理解する。
あぁ、わかった、これはメールの受信音だ。