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D《ドラゴニク》  作者: しもさん
【女子校ライフを楽しみなさい!】
3/4

視線が痛いです………。



この前は日曜日に更新出来なくて申し訳ありませんでした(>□<;)今週からテスト期間なので、早めに更新しておきます。来週更新できなかったら申し訳ないです(T_T)



 現在の時間は十二時三十分。今行われている四時限目のDドラゴニクの構造と歴史についての授業が終われば、はれてお待ちかねの昼休み兼昼食タイムにはいるわけだ。

 この時間帯の授業というのは空腹と睡魔に襲われ大変授業に取り組むのが難しい状況となるが、入学してそうそう授業を寝るのいうのはどうだろうか?と、俺の僅かな良心の心がそれを食い止めている。


「みなさんも知っての通り、Dドラゴニクを形成する元になっている金属が十七年前に発見された《レス》です。この《レス》は、名前の通り全ての金属に属さず、それでいてどのような形状にも変化させる事が出来る途轍とてつもなく応用がきく金属です。それでいて、形状記憶合金であり所持者の掛け声とDNAをドラクから回収して呼び出す事もできてしまいます。これによって、これによって、所持者は常に重いDドラゴニクを持ち運ばずに小さなドラクから掛け声一つでいつでもどこでもDドラゴニクを装備する事が可能になりました」


 現在しゃべっている先生は、確か花菱はなびしと名乗っていたような気がする。その花菱先生はとても大人とは思えない小さな体を必死に使って授業の説明をしてくれてる。

 栗色のポニーテールをブンブン揺らし、これまた可愛らしい声で説明をし、小さ過ぎて黒板の上まで届かず台を使って黒板に書き、自身よりも長い指差し棒を使いながら授業する先生を見ていると、何だかいけない事をしている気分になってくる。………俺の気のせいだろうか?

 そんな考えとは別に、花菱先生は可愛らしい声で授業を進めている。


「そして、《レス》の中には無尽蔵に溜まる特殊なエネルギー《エレメント》という物があります。この《エレメント》は、地球上に存在するどのエネルギーよりも質が高く、どのエネルギーにも変換可能、変換率は平均して九○%という驚異的な数字を叩き出した、素晴らしいエネルギーです。人によってはその凄さから、魔法マジックなどと呼ばれてたりします。この《エレメント》の使用によってDドラゴニクは浮遊できたり光線銃レーザービームを撃てたり出来るのです」


 チラッ。最後の言葉を言い終えた時、花菱先生は俺の方を向いていた。というか、確実に見ていた。とりあえず、俺は今出来る最大限の笑顔と共に軽くお辞儀を返す。

 ちなみに、このやりとりはこれが始めてではない。

 ご存知の通り、俺は杉並学園すぎなみがくえんー女子部ーに通う男子・・なわけで、否が応でも注目を浴びる羽目になっている。

 俺も好きで女子部の方に入ったわけではない。俺は元々男子部に入る予定だったし、今でもこれが間違いであって欲しいと思い続けている。でも、それができない状況になってしまってーーーというか、追い詰められてーーー仕方がなく女子部の方に入学したのだ。話せば長くなるから、とりあえず今はこの話は置いておく。

 どうやら俺の存在は教師側でも異例の異例、異常の異常であるらしく時限が変わるたびに先生に二度見されるわ授業中やたらこちらを見てくるわ、挙げ句の果てに痴漢か何かと同じくらいに警戒されるわで、そんな待遇にあっている俺はたまったもんじゃない。………こう見えてもガラスのハート何だぞ?

 そして、先生がこちらを見るたびにクラスメイト(女子たち)の視線も俺の背中に集まってくるのがわかり、俺は入学して早々肩身の狭い思いをしいられている。

 休み時間は俺の噂話と異物を見るような視線の嵐、授業中も先生方に注目される始末………。もう、学校辞めたいと思ってしまうぞ。

 あと少しで昼休みにはいるから、そしたら速攻でこの教室を出て出来るだけ人目のつかない所に行こう!俺はその僅かな希望にすがるようにして、残りの授業を聞く事にした。


Dドラゴニクを命名・設計から開発まで一人で行った人物が五月女さおとめ皐月さつき博士というのは、みなさん勿論知っていますよね?五月女博士は《レス》を創り出した人物でもありますが、どちらかと言ったらDドラゴニク制作の方が名前が売れているような気がきます。まぁ、それは先生の意見なのですが。Dドラゴニクとは機体、つまり機械装甲アーマードの事を指します。操縦者は含みません。操縦者を含んだ場合は呼び方が二パターンあり、DドラゴニクM・マニピュレーターDドラゴニクM・マニピュレーターD・ドライバーです。この二つの違いですがーーー」


ーーーキーンコーンカーンコーン。


 現在の時刻十二時四十五分。午前の授業の終了を教えるチャイムが学園全体に響く。

 花菱先生が「では、今日の授業はここまでです」と授業を切り上げ、号令をする。それが終わると同時に待ちに待った昼休みがとうとう来たと言わんばかりに速攻で先程の授業の用意を片付け、すぐそばにあるドアに手をかけ外へーーー。


「あ、雨宮あめみやくんでしたっけ?少し待っていてもらいますか?」


 出ようとした矢先、後ろから聞こえる可愛い声を持つ小柄な先生に呼び止められ俺はその場でフリーズ。そして、俺の頭もフリーズ。

 何か言い訳をつけてこの場を切り抜けてしまおうかと考えたが、完全に思考が止まってしまった今いい言い訳など思いつくはずもなく、それに先生が呼び止めたという事は俺に何かしらの用事があるのだと思い、本当はこのまま逃げてしまいたい気持ちを隠したまま先生の方に振り向いた。

 そして改めて花菱先生を見たのだが、小さい。いや、小さ過ぎる!これは先生という前提がない状態で街中で出会ったら確実に幼女だと思うレベルだぞ!?少なくとも、おれが街中で先生が一人で歩いていたら間違いなく声をかけて交番に届けてしまうだろう。


「?そんなに見つめて、私の顔に何かついてますか?」

「あっ!いえっ!!何でもないですっ!」

「ああっ!さては、私の事小さいって思いましたねっ!?幼女みたいだって思いましたねっ!?」

「えっ!?それは………」


 やばい、その通りです。


「私はバリバリでピチピチの二十代ですっ!コレでも、去年よりは背が伸びたのですよっ?」

「去年はさらに小さかったのですかっ!!??」


 ウソだろっ!!??去年はコレよりも小さかって、もう犯罪レベルだぞっ!?ってか、まだ成長止まってないのが驚きだ………。全然成長してないみたいだけど。


「毎日牛乳を飲み続けた甲斐があって、等々140cm超えたんですっ!」

「………」


 ………えっと、こんな時俺はどのような顔をすればいいのだろう。今の俺はどのような顔をしているのだろう。

 というか、「バリバリのピチピチの二十代ですっ!」って言っている時両手で握りこぶし作りながら訴えてる所や「140cm超えたんですっ!」って言ってる時の胸の張り方とか、もう完全に幼女なんですけど………。


「って、そんな話はどうでもいいんですっ!」


 と、脱線していた話を戻そうとする花菱先生。たぶん、これ以上はこの話はしたくなかったのだろう。俺もこれからはなるべく身長の話題には触れないようにしようと心に誓った。


「学園長が呼んでいたので、私と一緒に学園長室まで来てくれませんか?」

「学園長が、ですか?」

「はい。そんな構えなくて大丈夫ですよ、ただ話がしたいだけなそうですから」


 何かいきなりやらかしたのかと思ったが、それは杞憂に終わったみたいだ。学園長といったら、たぶんあの人・・・の知り合いだろうし学園長自体も何と無く想像がつく。なら、一度会って話しておくのがいいだろう。

 俺は花菱先生に頷く事で了承の意を示し、「では、ついて来てください」と言われたのでそのまま先生について行く形で教室を出た。

 当然ながら、この学園内に男という生き物は俺を除いて一人もいない事を俺は改めて実感することになる。廊下を歩けば教室を出てくる女子たち、購買部に向かう女子たち、廊下で楽しくお話をする女子たちetc...とにかく、何処を見ても女子の姿が絶えず確認でき学園唯一の男子である俺はやはり否が応でも目立つ。さらに、花菱先生と一緒にという所も影響しているのか注目している人数がやけに多い気がする。単に昼休みだからって可能性もあるが。

 俺は数多あまたの女子たちの視線と俺に関する話し声を何とか切り抜け、ようやくの思いで学園長室の前に立った。

 学園長に会う前に既にライフポイントがレッドゾーンにまで差し掛かっているのだが、このような状態で果たしてあって大丈夫であろうか?先程の数多あまた女子軍団エンカウント回復剤ポーションはドロップしなかったし、このまま学園長フロアボスと戦わなくてはいけないのはかなりキツイぞ?


「学園長、雨宮くんを連れてまいりました!」


 そんな事を考えている事など知らない先生は、既に学園長室の扉をノックしていた。もう後戻りは出来ない。………いや、今更逃げるつもりはないんですが。


「はいよー、いれてくれー」


 学園長室から女性の声、少し男勝りな感じの声色が聞こえて来た。それと共に花菱先生は扉を開け「失礼します」と言って学園長室へ入って行く。俺も数拍遅れて「失礼します………」と言って学園長室へ足を踏み入れる。

 そこは、これと言って特に何もない普通の学園長室だった。

 目の前にテーブルとソファーが向かい同士で二つ並び、左右には本棚やクリアケースがある。さらに一番奥に立派な書斎の机らしき物が置いてあり、そこに学園長は座っていた。


「よく連れて来たな、ありがとー」

「いえいえ、学園長」


 先生と学園長が簡単な会話を交わす。書斎の後ろが大きな窓になっており、ちょうど今の時間帯だと日の光が差し掛かってくるらしく、逆光で学園長の顔が確認出来ない。

 だが、俺は彼女が発する声と全身から出る雰囲気で既に誰だか何と無く想像がついていた。


「雨宮優斗ゆうと

「は、はいっ!」


 突然に名前を呼ばれ、無意識に反応してしまう。それが面白かったのか、学園長は笑いながらこう告げて来た。


「どうだ?女子に囲まれながら受ける授業というものは?」

「………最悪サイコーですね」

「そうかそうかっ!あははっ!」


 その悪意しか感じられない笑い声を聞いた時、俺は再びこの学園を本気で辞めたいと思ってしまった。







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