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act.0 opening ‐dive to hell or heaven
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曇り空が川のように流れ、空を滑っていく。
朧な空に薄い色の髪が溶けそうになりながら、一人の少女が廃墟と化した地面に立っていた。
少女の眼前では重厚な金属の隔壁が、錆付いて耳障りな音を立てながらゆっくりと開いていく。隔壁の下にはさらに隔壁があり、何層にもなったそれが地響きを起こしながら次々と解放されていく。暗闇が口を開け、地下を窺い知ることは出来ない。
少女はただ一層の強風に煽られるがままに佇む。やがて完全に解放された垂直な入り口とその奥底に待ち構える混沌に、刹那見入ってから一息に飛び込んだ。
たったそれだけの事が実に数年ぶりの、地下と地上の接触だった。