〈第八話〉 新しい依頼が届きました
「うーん。。」
目をこすると、みたことのない天井が広がっていた。
急いで起き上がって、周りを見わたすと質素な部屋の風景が広がっていた。どこか、魔法店に似ている作りだから魔法店に帰ってきたんだと思う。
「ライナちゃん 起きましたかー?」
バンッ。
隣りにあった扉から勢いよく純白様が入ってきた。
「あ、おはようございます。。?」
「今は、夕方よ。」
にっこりと純白様が笑った。でも、細めた瞳はとても笑っているようには感じられない。
こ、こわい。。
「えっと、あ、作戦は、あの、成功しましたか?」
どうにか空気を変えようと勇気を出して話題を振ると、純白様はちょっと目を見開いた。多分、わたしから話しかけたのにびっくりしているんだと思う。
わたしも話しかけるぐらいできますよお。。
作戦とは、レイさんもしくは「黒いナニカ」を倒すための作戦のこと。この作戦はならさんが考えたみたい。
内容としては、
まず、純白様が黒いナニカを最大限「浄化」させる(消す)
次に、弱体したところを純白様の魔法でわたしをレイさんの精神世界に送る(精神関与魔法っていう魔法で)
そして、わたしがレイさんを納得させて現実世界に引き戻す(邪魔されそうなら逃げる)
という、とってもシンプルな作戦だった。
といっても、納得させるのはとても大変。なぜならレイさんは普通の人とは違って、魔女改革に関与してきているから。
魔女改革はわたしたち魔法店、大きく言えば王の敵。
彼らは今の魔女に対しての対応に不満があって、魔女のための改革を行おうとしているらしい。
そして、魔女改革は「呪い」をレイさんに与えたみたい。呪いは一人の魔女の魔法を人間に分け与えること。純白様もこんな感じだけど、純白様とは違って普通の人間なら魔法に体が対応できずに死ぬらしい。けど、レイさんは元々過酷な環境で育ったのと、呪いの量が少なかったから大丈夫だったみたい。それでもやっぱり人間だから、制御ができなくなってさっきの事件が起きたみたい。
まあ、普通なら魔法を分け与えるなんてそもそもできないけど。魔女改革は研究を繰り返して魔法の兵器を作り上げてきたみたいだからちょっと納得。
って、今話している途中なんだった。。!
急いで横を見ると、やっぱり純白様が笑顔のままこちらを見つめていた。でも、笑っているのに圧が。。すごい。。。。。
「半分成功、半分失敗ってところかしらね。」
「え?」
純白様の言葉に驚いていると、やっぱりね。っていう感じの顔をされた。
どういうこと。。?まさか、レイさん。。?
バンッ。
嫌な空気の中、またさっきの扉が開いた。開けたのは見覚えのある人だった。
「レイさん!!」
顔や腕などの傷が全部きれいさっぱりなくなっていて、瞳もキラキラ光っている。髪もぼさぼさじゃなくて可愛らしくみつあみに結ってあった。そして、右目を大きな真っ白な包帯で巻いていた。左上のほうには結び目がかわいくついている。
「ライナちゃんも元気そうだねー!」
レイさんは呑気にわたしに話しかけた。
よかったあ。。いつものレイさんだあ。。
「あの、右目はどうしたんですか。。?」
あ、こういうのって言っちゃダメなんだった。。
レイさんはちょっとびっくりしたような顔をしながら、純白様のほうを見た。視線に気づいたのか、純白様はいやいや説明しだした。
「呪いのせいよ。そのせいで、右目が使い物にならなくなったのよ。」
純白様はそっけなく答えた。
わたしは純白様のほうを信じられないっていう顔で見つめた。レイさんも困惑した顔をしていた。
「たしかこの子、もとから傷だらけだったわね。それらは私の魔法でほとんど治せたわ。でも、私の魔法でも右目だけは治せなかったわ。」
白魔術には癒しの魔法っていうすべてのものを癒せる魔法がある。しかも、純白様のものならほとんどの物が癒せる。それでも治せないなら相当なものだと思う。
「ほんと、びっくりだよね。気が付いたら、目が使えなくなちゃってるんだもん。」
「え?レイさんは理由知らなかったの?」
「そうだよ。だってお買い物に行ってたはずなのに、いつの間にか魔法店で寝てて、包帯ぐるぐるなんだよ。それじゃあ、理由はわからないよ。」
ふと、レイさんの発言に疑問が出た。
あれ?ノアさんと会ったの覚えてない。。?
「あn、んむうう!?」
気が付いたら、純白様が口をふさいでいた。
さっきまで、気絶してた人に対しての対応じゃない。。!
「さてと、レイちゃんは先に戻ってくれるかしら。」
「あ、分かりました!」
ま、待ってええ。。!!
逃げようと、必死に体を動かしても、なかなか口を塞いでた手は動かせなかった。
そんなことをしていると、レイさんは部屋から出て行ってしまった。
「ライナちゃん。さっき、何を言おうとしたのかしら。」
「むぐ。。!んむむ?」
「そうだったわ。この状態じゃ喋られなかったわね。」
思い出したように純白さまは手をパッとどかした。どこか笑っているように見えたけど、そこには触れないことにしておこう。。
「それで、ライナちゃんは何を言おうとしたのかしら?」
「え、あ、えっと、ノアさんについてです。暴走する前に会ったんですけど、覚えてないみたいで。。」
わたしの話を聞き終わると、純白様はどこか遠くを見つめた。いつもは恐ろしくみえた紅色の瞳が、今はとてもきれいに見えた。
「記憶喪失よ。屋敷でのこと、彼らと会ったこと、呪いのことも忘れているわ。」
「え、どういうことですか。。?あ、やっぱり、呪いのせい、ですよね。。?」
「いいえ。呪いのせいじゃなくて、私達がやったわ。」
え、どうして。。?
そんな戸惑っているわたしのことを気にもとめずに、純白様は顔色一つ変えずにただただ語り続けた。
「そっちのほうが都合が良かったのよ。呪いのことや暴走の原因を思い出したら、また暴走するかもしれないでしょう?それに、屋敷でのことを覚えていたら違和感にすぐ気づいてしまうしね。」
ってことは、ただただ、純白様は敵なのかな?でも、純白様たちは助けてくれたし。。。信じてもいいのかなあ。。?
頭の中で考えていても、結局は答えは出なかった。
「それよりも、今は他のことに集中しなさい。新しい依頼が来たわよ。」
純白様はそう言い終わると、そっと席を外した。
一人、取り残されたわたしたちはぼーっとさっきまで座られていた椅子を見つめた。
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「遅いよー。」
「ご、ごめんなさい。。」
小さな部屋でならさんの声が響いた。
わたしは謝りながら。ソファに座っているならさんに向かって頭を下げた。
「ほらほら!ライナちゃん!横、座ってよ!」
手をぽんぽんしながら、ならさんの前に座っているレイさんがわたしに話しかけてきた。
わたしはちょっと考えた後に、ゆっくりとレイさんの横に腰を下ろした。
「えっと、あの、なんでいるんですか。。?」
「あれ?聞いてないの?私、これからここで働くことになったんだよ!私こうみて賢いし、人手不足みたいだからね。」
「そーそー。人手が増えるのは助かるからねー。」
な、なるほど。。?
レイさんは一応人間だけど、そこはいいんだ。
「さてと、依頼の話を始めよっかー。」
ならさんが手をぽんと叩きながら、わたしたちの注意をならさんに向けた。
そして、ポケットから手紙を出した。依頼書かな。。?
「今回の依頼は純白様からだよ。依頼内容はこれに書いてあるけど、読むの面倒くさいから略すね。」
「略していいんですか。。?」
「そこは置いとこーか。」
置いといちゃだめなんじゃあ。。
わたしの疑問を無視しながらならさんは続けて話した。
「最近、隣の町の山にある孤児院で行方不明者が続出しているらしい。で、それをぼくたちに解決してほしいんだって。」
「はいはい!質問です!」
レイさんが横で手を上げた。どこか横にいるレイさんが前よりも幼くみえる。
「それって、他の魔女でもできるんじゃないんですか?なんで、サヨナラさんがやることになったんですか?」
「いい質問だね。理由は簡単だよ。」
ならさんが体をソファに向かって沈めた。そして、指を一本わたしたちにむかって指してきた。
「人手不足さ。」
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