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〈第六話〉 ナニモノコラナイ?

今回は結構長めになってしまいました。。

ちょっと変なところもあるかもしれませんんが暖かな目で見てください。


注意;ほんのちょっとグロイ表現が入ってるので気をつけてください。






「ノア。。?」








さっきまで白黒に見えた町に一気に色がついたように見えた。


私、レイは昔よりも身長が伸びたノアの顔を見上げた。

ノアは昔、よくいろんなことを教えてくれた大好きな初めてのトモダチ。でも、昔に離れ離れにさせられた人。もう会えないと思ったのに。

ポロリ。

なにかが私の頬を伝った。手でふき取るとそれは涙だった。

あれ?どうして?いつもなら泣かないのに。それに、泣くのはいつぶりだったっけ。


「あ、ど、どうしたんですか。。!?」


ノアが慌ててこちらの顔を覗き込んだ。ノアの顔が一気に私に近づく。暖かな見慣れた瞳が私をやさしく見つめる。


ぎゅっ。


私はノアを傷だらけの両手で思いっきり抱きしめた。理由はわからなかった。でも、なんとなくそうしたかった。ノアの体温が全身から伝わってくる。昔もよくこうしたっけ。


「ちょっ、お嬢さま!?」

「うう。。会いたかったよお。。」


ノアが驚いた顔をしながらこっちを見た。それでも、私は構わず抱きしめる力をもっと強くした。もう永遠に離れられないように。私はノアのマントに顔をうずめた。マント越しに伝わる温もりで安心して眠れそう。


「ノアが居なくなったあとも私頑張ったよ。。」


かすれた声は賑やかな町の中でかき消されそうになる。それでも、ノアの耳には届いていたみたい。ノアは少し見つめてきた後に私の頭を大きな手で優しく撫でてくれた。


ああ。いつものノアだわ。私の知ってるノアだ。


ノアは昔から私の面倒を周りの大人に変わってよく見てくれた。ケガをするとすぐに駆け寄ってくれていつも手当してくれた。ご飯をもらうとすぐに分けてくれた。

辛いことがあるとすぐに私のことを慰めてくれた。


そんなノアは私が唯一頼れた人だった。そして、唯一好きだった人だった。



「ノアはさ。。」

「ノア~!」



私の声をかき消すようにかわいいらしい声が聞こえた。その声に、びっくりして私はノアの手を振り払いながらすこし距離を置いた。

バフッ。

気がづくと、ノアのマントの上から銀髪で翡翠色のかわいらしい女が抱き付いていた。


え?


私たちの間ですこしの沈黙がおきた。私は目の前の状況を理解できずに女とノアを交互に見つめた。


「なあ、外なんだからやめろよ。」

「えへへ。ごめ~ん♪ ついつい。」



最初に沈黙を破ったのはノアだった。とても、ノアらしい行動だったと思う。それでも、心には不快な気持ちが残った。気が付くと、女はこちらを見つめながら勝ち誇ったような顔を向けてきた。




どういうこと?




頭の中が真っ白になった気がする。



このこはいったい誰なの?

なんでノアを探してたの?

このこはノアの何なの?

ノアはやっぱ幸せなの?





心の深いところで黒いナニカがあふれていく。



ノアは私がいなくてもいいんだ

私がこんなボロボロになってても幸せになれるんだ



思ってもない言葉が心の中で響く。そんなこと思ってないのに。



チガウ アナタもわかってるんでしょう


アノコはアナタなんかいらないんだよ

いるのはかわいくて守りたくなるようなコ



アナタはいらないコ

アノコの横が空いてないからね




ノイズがかった知らない声が頭の中で喋り続ける。まるで、私が閉まっていた黒いナニカを心の中の扉から引きずり出すように。




そうだよ



じゃあ、■さなきゃだね





私の影がゆっくりと女の足に近づいていった。さっきまで足を示していた影は原形を留めてなく、ナイフのように鋭くなっていた。これなら、女の体を切り刻める。影が女の背中に刃先を向けた。そして、影が素早く心臓に向かって飛ぶ。






■せる







「あの。。」




ハッ。

気がつくとさっきまでいなかったはずのライナちゃんが側にいた。ライナちゃんは私が握り込んだ手をそっと優しく包んでくれていた。


「レイさん、大丈夫ですか。。?」

「え、あ、う、うん。平気よ。」


私はどうにか自然な笑いかけた。それでも、動揺はとても隠せなかったと思う。

どうしよう。ライナちゃんにバレた。。?というか、さっきの声は一体何だったの?


「ねえねえ。このこだ~れ?」


私の心の声を上書きするように女が私に人差し指をさしてきた。挨拶もなしで、まるで私が展示物のように。

いらつく態度に私は彼女を睨みつけた。が、女は自分のほうが優位な立場にあると思い込んでるみたいで効いてないみたい。横のライナちゃんは空気を読んだのか、それとも私たちの圧が怖かったのか、私の背中にそっと隠れてしまった。


「よく話してた、昔仕えてたお嬢さまだよ。」


ノアが咄嗟に言った。たぶん、ノアも空気が悪いのに気づいたんだと思う。

それでも、空気の読めない女はじーっと、値ふみをするようにこちらの足から頭の天辺まで見つめてきた。


「お嬢様にしてはボロボロだね〜?」


クスクス

少しの間の後、女はバカにするように笑ってきた。どうやら彼女は私を敵とみなしたみたい。


「そう?ごめんなさいね。あなたも、もう少し態度を変えたほうがいいんじゃないかしら?」


わたしもすかさず嫌味を言った。もちろん笑顔で。

女のほうはというと、顔を歪め始めた。さっきまでのかわいらしい表情とは違い人間らしい醜い、恐ろしい顔になっていた。


「ねえ、もういこうよ~?」


どうにか作り笑顔を張り付けながら、女はノアに訴えかける。

そして、ノアの返事を聞かぬままに女がゆっくりとさっきまで私たちが通ってきたほうに向かおうとノアを引っ張った。

ノアは私と女を交互に見た後に、眉を八の字にしながらこちらに目を合わせてきた。


「それじゃあ、お嬢さま。また今度お会いしましょう。」


ノアが手を軽く振って、女に導かれるままに歩き始めた。



あれ?どうして?



ノアたちは私たちの後ろをどんどん進み続ける。聞きなれた足音がどんどん遠ざかる。



なんで?なんで?可笑しいでしょう?

なんで、その子の言うことを聞くの?



また、黒いナニカがあふれる。でも今度はさっきよりももっと。もっと。



アナタよりもあんなコのほうがたいせつなんだよ

それくらいわかるでしょ?



「あ、あ。」



また、知らない声が話し始めた。頭を痛みが襲い始める。やだやだ。そんなことないわ。


ホントに?



クスクス

さっきの情景がフラッシュバックする。



違う 違う 違う

私のほうがいいんだよ

私のほうがノアのことをこんなに思ってるんだよ?

私のほうが素敵なんだよ?


そう?

それじゃあ なんでアナタを選ばないんだろうね

それじゃあ なんでアナタは笑われたんでしょうね


それは。。



影が人影のようにどんどん大きくなっていく。そして、ソレは笑いながらノアの方を指さした。



ほら行っちゃうよ

アナタの手は何であるの?

それはホシイモノを捕まえるためでショウ?

ほら








マタ ナニモノコラナイママニナッチャウヨ?










ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー












「ふう。。。」


ノアさんたちが通り過ぎるのをこっそりまった後にわたしはレイさんの背中からそっと離れた。流石に、ずっと隠れてて申し訳ない。レイさんのほうを見ると、レイさんは体をピクリとも動かさないで黙っていた。聞こえたのは手から伝わる心臓の音だけ。


「レイさん。。?」


なんでだろう。なんか、嫌な予感がする。。

わたしは慌てて俯いているレイさんの顔を覗き込んだ。

さっきの女の子とぶつかったときから様子が変だったけど、ノアさんと再会してから尚更おかしくなった気がする。でも、レイさんの表情を見る前に何かがわたしの背後にいた。


振り返ると、最初に飛び込んだのは影だった。

それも普通の影じゃない。おかしな形の影。無数の尖った影だったものがレイさんの背中にいた。まるで、蜘蛛の足みたいにレイさんの体を守っているようにも見えた。


え?


もう一度目を開けて見ると、そこにはレイさんはいなかった。あったのは、さっきの黒い影みたいなナニカだけだった。


ドンっ


黒いナニカに押されて体がさっきの路地裏の壁にぶつかった。


あれ?結構歩いたはずなのに。どうして戻ってきてるの?


体は全身がずきずきと痛み出した。多分、ぶつかったからかな。。。

全身の痛みを抑えながら、わたしはどうにか立ち上がった。

すると、上から叫び声が響いた。


「きゃああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


慌てて上を見上げると、ノアさんとさっきの女性が黒いナニカによって空に浮かんでいた。女性はパニックになっていて、ノアさんが女性をなだめようと声をかけ続けている。


(どういうこと!?さっきの?)


いろいろな考えがわたしの頭を飛び交う。

うう。何が起こってるんだろう。。?


気が付くと、レイさんみたいな人影が空から降りてきた。



「レイさん。。!!」



よかった。。レイさんは無事みたい。。!


わたしはできる限り急いで、レイさんのほうに近づいた。

でも、そこにレイさんはいなかった。



いたのは、レイさんだったもの。


右の目玉が空へ飛び出しており、後ろからはさっきの影みたいな黒いナニカが出ている。そして、顔も黒いナニカのせいで見えない。スカートからは蜘蛛の足みたいなのが出ている。それに、路地裏のせいか禍々しく見える。




「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■」



唸り声が悲しげな路地裏を包み込んだ。ソレは女の人を持っていた黒いナニカに向かって合図を送るように手を動かした。そして、ナニカは女の人をブンブン振り回した。縦に横にいろんな方向に。


「いやああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


女の人の叫び声が悲痛なほど響いた。

それでも、ソレは止めなかった。何度も、何度も、振り回させた。何度も、何度も。無慈悲に。


「誰かああああああああああああああああああああ!!!助けてよおおおおおおおお!!」


彼女はただただ叫び続けた。ノアさんに向けて、わたしに向けて、ソレに向けて。

それでも、誰も助けられなかった。

ノアさんも捕まってるから助けられないし、ソレはそもそも声が伝わってないと思う。それに、伝わってもソレが助けることはない気がする。


もしかして、助けられるのはわたしだけ。。?


わたしは女の人をただ唖然と見つめてた。

空にいる未知のナニカから助けなきゃいけない。だって、わたしにしかできないから。

でも、それはとても難しいこと。そんなのは分かっている。傍観はだめだ。


助けなきゃ。助けなきゃいけないのに。それが、「正解」なのに。


それでも、わたしはただただ傍観することしかできなかった。

袋に入れてた野菜たちがぐしゃぐしゃに地面につぶれている。つぶされた野菜たちがまるでわたしに訴えかけるように見えた。




「■■ナ■■ん?」



気が付くと、目の前にはソレがいた。でも、さっきよりもレイさんみたいに見えた。

よかった。レイさん、今なら話が伝わるかも。みんなを助けられるかも。

わたしはレイさんのほうに手を伸ばした。

でも、その手はレイさんには届かなかった。その前に、わたしは黒いナニカに捕まってしまった。


「■■ナちゃ■は泣■■■で。そ■■、ま■ていて。」


あ、あ、あ


レイさんがどんどん離れていく。一歩、また一歩。



(どうしよう。。!?このままじゃ、みんな。。)


どんなに手を伸ばしても、もう手は届かなかった。


さっき、もっと前に助けられたら。。

もっと前に手を伸ばせたら。。


レイさんが手を動かすと黒いナニカが刃物のようになった。そして、刃先を女の人の心臓に向けた。


「や、やめて!!誤るから!!だから、殺さないでええええええええ!!!!!」


泣きながら女の人は叫び続けた。それでも、レイさんはそのまんま手を振り上げた。

そして、同じように黒いナニカも一緒に上がった。



もう だめだ

もう なにもできない



わたしは黒いナニカの隙間から外の景色を見つめた。このままじゃ、死んじゃう。あの人が死んじゃう。

もう、体は動かせない。なにもできない。わたしは傍観者のまま終わっちゃう。

だれか、わたしの代わりに助けてくれる人いるかな。。町の人はきっと、だめだし。。



ならさんなら。。




わたしは胸元の服を握りしめて深く深呼吸をした。

そして、あの人に届くように今のわたしにできる限りの声で叫んだ。








「ならさん。。!!!」






次回は短くなるかもしれません。。!

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