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〈第十話〉 小さな魔女の終幕




むかーし むかし

あるところに小さな魔女がいました。


彼女は霊体になる魔法を使って毎日周りの大人たちにいたずらをしていました。

みんな彼女のいたずらにびっくりして、魔女はそんな驚いてるみんなの顔を見るのが好きでした。

もちろん。彼女のその不気味な力に怯えて、誰一人として彼女に近づくものは現れませんでしたが。


しかし、そんな彼女にも一人だけ友達がいました。



それは黒い魔女。



そう。彼女と同じ忌み嫌われているもの。

綺麗な黒髪に特徴的な紫色の瞳の少女だった。いつも笑っていて、とっても可愛らしかった。何があっても、小さな魔女を助けてくれる優しい子でもありました。

元々はひどい親といたみたいだけど、二人が出会ったときは孤児院に入っていました。

そんな優しくて可愛らしい彼女が大好きな唯一の友達でした。

彼女たちはいっつも一緒にいたずらして、一緒に笑って、一緒に育って、一緒に魔法店の魔女へとなれました。

そう。二人は魔女狩りから救済されたのです。



これで、ずっとずーっと 二人でいられるんだ。



小さな魔女はそんな夢を想像して胸を高鳴らせていました。

でも、そんなことはなかった。彼女は気づいてしまったのです。



王の計画に



王は魔女を道具として扱い、最終的には殺す。

つまり魔女は利用されていたのです。

素晴らしい魔法を悪と歌いながら、それを利用していたのです。


小さな魔女はそれが許せなくて、同時に利用されることを怖がりました。

自分たちはどのように利用されるんだろう。

自分たちはどのように死んでしまうのだろう。


だから、彼女は禁忌の果実に手を出してしまいました。

殺して、殺して、殺して、殺して。。。

目がくらんでも、頭が回らなくなっても、禁忌の果実に依存しても。

手をとめずに毎日繰り返す。



これは、友達を助けるためのこと。私は正しいんだ。私は素晴らしいことをしてるんだ。



そう信じて、彼女は自身にとっての「救済」を振るい続けました。

それは心の弱い小さな少女の小さな救済劇だったのです。

そしてそれはだれも救えなかった少女の小さなエゴでもあったのです。






けど、彼女がたどり着いた物語にはハッピーエンドなんて存在しませんでした。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






「もう終わってしまったね。」





そう言って、93番は天井を見上げた。

透き通り始めた体が急かすように窓の反射として彼女の瞳に映る。


「結局、小さな魔女は誰も救えなかったのかな。」


死は救済。

最後まで信じた言葉は、本当だったのかな。

前から殺しつづけた。あいつらに手を貸して殺しつづけた。

でも、一度も救済されたのかはわからなかった。

39番、黒い魔女も救済されたのか最後までわからなかった。


私は正しいことを本当にしたのかな。


手に持っていたお薬を口に運び、93番はさっとテーブルから立ち上がった。




「これにて、小さな魔女の救済劇は終幕。」




「次の人形と花による世界で一番大きな救済劇をお楽しみに」






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「もう、誰も疑いたくねえんだよ。。。」






絞り出したようなか細い声に、わたし、ライナはびっくりした。

まさか、アイさんがこんなにつらそうな顔をするなんて思ってもなかったからだ。


「魔法店に来てから何年、何度も味方を疑ってきたんだ。また味方を疑うなんて、こりごりなんだ。」

「じゃあ、なんでそもそも疑う必要があったの?」


レイさんは笑顔でまっすぐアイさんを見つめた。

アイさんはその視線にいたたまれなさを感じたのかすぐに逸らした。


「だって、いつ裏切られるか疑わなきゃ死ぬかもしれないんだぞ?」


俯きながら、アイさんはすがるように言った。

裏切り。。確かに、だれだって裏切られる可能性がある。逆に裏切るのも。。。


「てめえたちだって、いつ裏切るかわからねえし。。。」

「えっ。レイたちは裏切らないよ。」


驚いたように口を塞いで、レイさんはまじまじとアイさんを見つめた。

ひ、ひぇぇぇ。。。怖いよお。。こういうときのレイさんは本当に怖いのに、アイさんも一緒なんてえ。。。わたし、死んじゃうよお。。


「はあ。みんなそういうんだよ。綺麗事ばっか。本当にキモい。」

「レイはだれも見捨てないよ。だれも置いてかない。」

「っ。。その。。でもなあ。。。」


アイさんは口をもごもご動かしながら、どうにか言葉を紡ごうとした。

が、それよりも先にレイさんが口を動かした。


「裏切らないよ。これは絶対に嘘じゃないから。」

レイさんの一言にぴしゃりと沈黙が流れる。

レイさんとアイさんはお互いを見つめていて、その横でわたしが息を呑んで見つめている。

旗から見たら、ヤバい人たちだ。



「ちょっと、だれかー。ぼくのこと助けてー。」



そんな沈黙を最初に破ったのが、いつも通りのマイペースならさんだった。

誰が行くのか聞く直前にレイさんはならさんの方へと顔を向けて、


「帽子さ〜ん!まって〜〜!!」


と言い残しそのまま二階へとわたしとアイさんは二人を取り残して行ってしまった。


「「。。。」」


レイさんがいなくなったことでまた重苦しい沈黙が流れた。

な、なにか話題。。話題。。えっと。。あっ


「あっアイさんの瞳って綺麗ですよね。。!」

「はああ?なんで今その話題になるの?うぜえな。」


うっ。。。

頑張って絞り出した話題をすぐに否定されるなんてえ。。


「でも、ほら!その、えっと、ずっとアイさんの瞳ってかっこよく輝いてる琥珀みたいだなあって思ってたんですけど、よく見るとミツマタみたいですよね。」


手に持っていたパンを一口頬張りながら、わたしはアイさんの瞳をもう一度よく見た。

やっぱり、彼女の瞳はミツマタの方が似合うように感じる。

なんだろう。大きな宝石一つが輝いてるんじゃなくて、ちいさなお花がキラキラと輝いてる感じなのかな。

自分でもよくわからない。ただの直感でしかない。


言われた本人のアイさんはくすっと笑いながら「変なの。」っと、わたしの肩をぽんっと叩いた。昔のアイさんなら見せてくれない優しく溶ろけた表情にわたしはどこかびっくりしてしまった。本当のアイさんはこんな感じなんだ。


「アイさんも笑うことあるんですね。。!」

「えっ、は、はあ?るっせなあ。そんなことねえし。」


ちょっと怒りながらアイさんは立ち上がり、わたしの後ろをさっと通り過ぎた。


「はあ。うち、少し散歩に行くからな。てめえも少し休みなよ。」


そんな彼女の無抵抗にぶら下がっている手が偶然目にとまった。




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ノイズのなり響く頭を抱えてわたしはアイさんに手を伸ばした。

なんでだろう。今、手を掴まなきゃだめな気がする。


「なに?」

「あっ、ううん。なんでも。」


わたしはさっと自分の手を隠して、軽く微笑んだ。

掴まなきゃ。掴まなきゃ。

そう思っても、わたしはなかなかその一歩を出せずにただただ彼女の背中を見つめることしかできなかった。

彼女の小さな背中にはどこか悲しさと苦しみで覆われているようにみえた。

夕焼け空は外の木々を歪に照らしている。









「ごめんなさい」


第二章完結しましたー!やったー!!!

ここまで読んでくれてありがとうございます!!


第三章もどうか引き続き読んでいってください!!

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