〈第七話〉 メイ探偵・レイ!!
注意・グロいシーンが入ってます!苦手な方は気をつけて下さい!!
「。。。まだなの?」
指をなんどもなんども小刻みに叩きながら、96番さんがレイさんにいった。
体を揺さぶって、目の焦点も合わない。それに、彼女の額にはきらりと光る汗もみえる。
「先に始めましょうよ。庶民を待つ意味なんてないわ。」
「もう少しまっててね〜!!ねむねむさんとくりさんが来るはずだから!!」
「っ。。」
レイさんはそういいながら、ゆっくりと自分のポケットに入っていた紙を取り出した。
あの紙にはレイさんが頑張って描いたノートがいっぱい詰まっているらしい。
はあ。
だれかの大きなため息がわたしの耳へと届いた。
今は、レイさんの推理を聞くために皆さんを集めているところだ。
窓からキラリと太陽の温かい光がわたしの背中を照らした。
もう見慣れた潰れた丸の形のテーブルに空いてしまった悲しき席は、魔女たちの心の虚しさを語っているようにも見える。真ん中に置かれているスズランが外からの春風に揺れるたびに、わたしたちを嘲笑ってくる。でも、それ以外テーブルにはなにもなかった。今は食事の時間でもないから、ナイフも食器もテーブルクロスもなに一つとして置いてない。そんなダイニングテーブルに、魔女の皆さんが静かに座っている。キッチンに一番近い席のならさんから左に、あいさん、かいさん、レイさん、わたし、そして96番さんの順番で座っている。
そんなことを思ってると、見慣れた白いサイドテールが見えた。93番さんだ。
彼女は眠そうにあくびをしながらも、小走りにテーブルの方へとやってきた。
そんな彼女を見て、かいさんは自分とレイさんの間の席をひいてあげた。93番さんはうんともすんとも言わずにそのまま腰を下ろす。
「んまたせー。」
「も~~!ねむねむさん、遅すぎるよ〜。ね!ですわさん!!」
「っあ、そうよ!貴方、庶民のくせして遅すぎますわ!!立場をわきまえてもらいまし。」
二人からの言葉に耳を貸さずに、93番さんはまっすぐとわたしのほうを見つめてきた。
一体、どうしたんだろう。。?
急に目線が合い、わたしはサッと逸らしてしまった。
まさか。。ね。
「もう早く始めなーい?ぼくも暇じゃないんだけど。」
そういって、ならさんは退屈そうに足をばたつかせた。手にはクッキーも持ってるのに、どんだけ待てないんですか。。っていいたい気持ちを抑えてわたしはレイさんに目配せした。
レイさんも周りの反応を見てか、少し咳払いした後にばっと立ち上がった。
「魔女さんたちも知ってる通り、ここの寮には皆を殺そうとしてる殺人鬼がいます!」
「そんくらい分かってるから。さっさと、本題に入って。誰が犯人なの?」
「えっ、も〜。分かったよ〜!」
ならさんの言葉にどこか不服ながらも、レイさんはもう一度大きく息を吸った。
手の下の拳をぎゅっと握りしめて、わたしもレイさんへと体を向かせた。
「これまでの事件を起こした犯人。。それは。。。。」
「それはー?」
「それは、あなたです!!」
ばっとレイさんの指がわたしの前を通る。視界の半分が彼女の手によって分けられてしまった。指された方をみると、人差し指は人間とは思えないほど顔が青くなった縦ロールの女性に向いていた。
「そう。ですわさん、あなたが殺したのです!!!」
かいさんもあいさんも、93番さんも、ほとんどの席に座っている人たちが驚いたようにレイさんと96番さんへと視線を集めた。それに気づいた96番さんは慌てたように、レイさんへと驚きが丸見えのまま彼女に懇願するように語りかけた。
「わっ、わっ、わたくすぃ。。??ちょっと、その言いがかりはやめてちょうだい!!」
「まあ、まあ。まずは、レイの推理を聞いてみてよ!!」
そういうと、レイさんは手に持っていた紙を頼りにどこか突拍子のない夢のような現実味のない話を語り始めた。
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レイの推理だと
まず、ですわさんは一昨日39番さんや他のみんなが寝た後に殺したの。
凶器はきっと、外とかに投げたり、どこかに隠したと思うけど、たぶん大きめの剣で一突き。そして、急いで傷口をお得意の「念力魔法」で止めたの。そしたら、匂いも漏れないし、血も吹き出ない。完璧でしょ?
そして、その日のうちに彼女を棚の上に隠した。足から窓へと紐を繋いでね。
翌朝、ですわさんは何気ない会話をしながら下へと降りていった。それでね、窓をまたまた魔法で開けて、93番さんの死体を棚から落としたの!繋がっていた紐に引っ張られて、あの位置にね。窓も開くから、下へと彼女の腐臭が来るようにもなるし、ある意味天才的な考えだったのかもね。
次に、真面目さんの殺害方法!
レイの予想だとね、毒で殺したんだと思うんだ。
知ってた?スズランって毒なんだって。あんなにかわいい見た目なのにね。
ですわさんはスズランを真面目さんのルーティンだったコーヒーに入れて毒殺。
階段から落ちたのは、たまたまだったのか、それともまた魔法でやったのかはわからない。
それでも、毒の回る時間をつかってアリバイを作ろうとしたんだと思うんだ!
ほんと、回りくどいね〜!!
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「んね!やっぱり、ですわさんが殺したんだよ〜!」
レイさんの推理を聞いた96番さんはどこか疲れたような、怖がったように、下を見つめていた。肩はさっきよりもひどく震えていて、汗が滝のように流れている。
でも、やっぱりおかしい気がする。なんか、違うような。。腑に落ちないような。
「ちょっと待って。」
わたしは自分の手をぴしっと挙げた。本当はこういう目立つのは苦手だけど、人の命がかかってるししょうがない。って思っても、胃は痛いけど。。。うう。。
「その、二階じゃ魔法は使えないからさ、その、えっと、あれだよ。その、推理はちょっと間違ってると思うんだあ。」
「うちも同意。」
ふと、そういったのはまさかのあいさんだった。彼女は真剣な目つきで、レイさんを見つめた。その瞳はどこか弾けそうなたくさんの星が散りばめられたような感じだった。
「あんたの推理には穴がありすぎる。聞くけどさ、どうやって誰にも気づかれずに殺したんだよ。どうして。。あー。もうとりあえず、ただの言いがかりにしか聞こえねえんだよ。てめえのクソ推理は。」
どこか乱暴な口調だけど、あいさんの言ってることも最もだと思う。わたしはそっと、あいさんのほうへと視線を向けた。いつも通りの怖そうな顔に今はどこか驚きが混じってる気がする。
「あ~!そんな事もあったね〜!でも、魔法は使えるよ。工夫さえすればね!」
「ったく、あんたの頭はお花畑かあ?真剣に考えろよ。」
あいさんのきつい口調にもレイさんは怯まず、わたしをまじまじと見つめながらドヤッとした顔を見せてきた。
「だって、あれは魔法を消してるんじゃないんだよ。魔法を「一時的に」吸収してるだけだよ!!」
「吸収?一時的に?」
かいさんが追いついていけないように、隣りに座っていたあいさんへと助けを求めるように見つめた。が、もちろんあいさんは反応せずに、ただじっとレイさんを見つめていた。
「レイもさっき気づいたんだけどね、多分二階の壁はパンなんだよ!
一時的に魔法を吸い込んで、時間差で魔法を発動させる。まるで、パンにスープを浸す感じ!それに加えて、一階から発動させとけば大丈夫。ってのもあると思うんだ。」
「それには、あーしも同意だ!あーしがライナに焦りの感情に一階でしたのも、二階でも続いてたみたいだしな!」
「まって、かいさんなにしてるんですか!?!?」
ばっと席を立ち上がって、わたしはかいさんに詰め寄った。やけに、焦りまくるな〜って思ってたけど、全部かいさんのせいだったなんて。。
そんなわたしをみても、かいさんはえへらへらと笑ってるだけだった。
「それで?あいつは事前に魔法を発動させて殺したってことか?」
「正確には、真面目さんが二階全体に発動させたであろう透明化魔法を使って下に行って、殺した後に下から止血をやって。だと思うけどね。あと、窓開くのも事前にかな。」
「確かに、43番ならやりかねないな!!あいつは、慎重だからな!!!」
「でしょ?でしょ??レイは天才だからね!!ちゃーんと気づいてたもん。」
そういって、レイさんはくるっと回った。彼女の灰色の瞳は今まで見た中でも輝いていて、自信がめっちゃ感じられる。
視線を動かして96番さんの方を見ると、今にでも泣きそうな瞳でこちらをみていた。
やっぱり、96番さんが。。。
「。。。さい。」
「えっ?あの、なんて言いました?」
彼女の絞り出したような、掠れた声がわたしの耳へと伝わる。
わたしはどうにか聞こうと、耳を澄ませた。
「ごめんなさい。。」
その言葉が聞こえた頃には、わたしたちのまえには頭の飛んでしまった彼女の真っ赤で塗られた死体しか見えなかった。
とっても、唐突なラストシーンになってしまいました!
この話を楽しんでいただけたら嬉しいです!
どうか、次の話も楽しみにまっていてください!!




